序:ごくありふれた決闘の光景
荒涼とした荒野の中に、書き割りを貼り付けた見栄っ張りの掘っ建て小屋が立ち並ぶ……。
ラモーデ大陸辺境部では一般的な田舎町の通りで、三人の男と一人の少女が静かに向かい合っていた。
男たちの装いを端的に言い表すならば、これはもうならず者と呼ぶ他にあるまい。
ズタボロのハットといい、汚れに色あせたポンチョといい、真っ当な仕事についている男の服装とは到底言えぬものだ。
一方の少女はといえば、これも年頃な女の子の装いとは程遠い。
派手な刺繍を施されたシャツといい、しなやかな太ももを丸出しにするホットパンツといい、十を超えたか否かという娘の格好としては少々攻撃的に過ぎるだろう。
短めに揃えた金髪を逆立てんばかりのその様相は、子猫が牙をむいているかのようだ。
まるで共通点の見出せぬ四人であるが、唯一共通しているのは腰にホルスターを下げている点だろう。
これはこの四人が、ある能力を有している事の証左であった。
周囲を見回せば町の通りだというのに他の人影はなく、ただ回転草が転がっていくばかりである。
その内の一つをうっとうしそうに蹴り飛ばしながら、男の一人が口を開いた。
「お嬢ちゃん……もう一度、聞こうか?」
「何度だって言ってあげる! あんた達なんか、あたしがやっつけてやるんだから!」
これを聞き、男たちはくっくと笑い声を漏らす。
大の男たちに向かって年端もいかぬ少女が啖呵を切っているのだから当然の反応ではあるが、右手だけは油断なく腰に回しているのが通常とは違うところだ。
それは少女も同様であり、緊張に張り詰めた指先は今にも腰のものを引き抜かんばかりであった。
「それがどういう意味なのか、分かってるんだろうなあ?」
「と……当然でしょ!?」
いよいよ、両者の間に漂う空気が剣呑な色を帯び始める。
互いにそれをぶら下げている以上、もはや次に取るべき行動は一つしかない。
「「「顕造!」」」
「――ッ! 顕造!」
先に男たちが……次いで少女がその言葉を叫ぶ。
同時にホルスターから引き抜かれたのは……プラモデル、である。
一見してロボットのプラモデルであると知れるそれは、ただの玩具ではない。
その証拠といえるのがプラモデル全体に飛び散る紫電の光であり、それは見る見るうちに充実して膨れ上がると巨大な光球となって手にした者たちを包み込んでいくのだ。
次の瞬間、田舎町の通りに現れたのは――四機の巨大なロボットである。
そのうち三機は全く同じデザインをしており、少女の立っていた場所に現れたロボットのみが異なるデザインとなっていた。
そしてその四機は、光が発生する寸前に四人が掲げていたプラモデルと全く同じ姿をしているのだ。
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自らの思いを込めて作り上げたプラモデルを、本物として顕現させ自在に操る能力者達……。
人は彼らを、模型戦士と呼んだ。




