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始まりは浜辺にて。

この小説を読んで頂いている皆さんにとって、異世界って言葉を聞いたとき、真っ先に思い浮かぶものって何でしょうか?





「・・・・・・う~ん、ハッ!」



・・・・不意に目が覚めた私は、取り敢えず起きて辺りを見回す。



「なんだここ?こんなところ見たことも聞いたこともないぞ?」



私は気がつけばどこかの浜辺にいた。



「えっと、取り敢えず確認、私は何故かいつとも知らないうちに浜辺にやって来ていた、(ガサゴソガサゴソ)、服装が濡れてないのと浜辺っつっても陸地よりの砂地にいることからどこからか流されてそのままと言う線は薄い、とすれば何でこんなところに私はいるのだ?、落ち着け取り敢えず何があったのかを順に思い出して見よう」



私にはこんなところに自分がいた理由が分からない、そのため順を追ってこんなことになった経緯を思い出そうとしたが、そうしようと頭を捻っている内にもっと大事なことに気がついてしまった。




「・・・・・・・・ヤバい、そもそも私は何者だ?」



・・・・そもそも自分が一体何者なのか、全く解らなくなっていたのである。
























「やっべえ、ひょっとしなくともコレ記憶喪失だ、」


記憶喪失ネタではお馴染みの「ここはどこ?私は誰?」を地で行く機会を己の人生の中で得ようとは思いもよらなかった。



洒落にならないことになったと思ったその時、私は自分が右肩にショルダーバッグを下げていることに気がつき、もしやと思いながら中身を漁る。



「コレは学生証か?書いてある大学名は・・・うーむ日本の大学であることがわかるから私が日本出身っぽいのだが・・・、名前は天樹 蒼治・・・・あまぎ そうじ、か・・・・多分私のなのだろうが確証がないな、仕方ない、色々と思うところはあるがこの名を借りるとするか。」



手持ちのバッグには幾ばくかの本と、学生証、電車の定期券が入った定期入れがあった。


私の物と思われるその定期と学生証に書いてあったことを確認してみると、私は天樹(あまぎ) 蒼治(そうじ)と言う大学の学生らしい、


まぁそれが真実なのかどうかはわからんが。

(違ったらそれはソレで何でこんなところに他人のがあるとかと言う疑問につながる)











せっかくだからカバンの他の中身も確認する。


さらりと見て目についたのはコンビニで買ったのであろういくつかのパンとおにぎり、ついでに緑茶、学生として何かしらのために必要だったのかいくつかの本、ペンやらなんやらの入った筆箱、ノート位のサイズのメモ帳、そのぐらいだろうか。



「まぁそんなもんだよなぁ、至近の食料はなんとかなりそうだが、」


取り敢えず起きて周辺の様子を探ってみる。






「何か目印になるもんは・・・・ん?港か?」



水平線を暫く見渡すと海を見るようにして右側の遥か遠くに港と思われる場所と、三方向を山に囲まれてる大規模な都市と思われる物が見つかった。




大規模な港湾施設が見えるわけだが、自分の知る港と比べると、あまりにも違和感が多い。



「停泊してるのは木造船中心だな・・・・まさか中世にタイムスリップしちまったか?しかし、鉄製の船と造船所っぽい建物はあるんだよなぁ・・・・」


遠巻きから見るに港に停泊してる船は殆どが木造である。


殆ど、というのは一部鉄鋼製の船と思われるのも確認されてるがゆえことなのだが、少なくとも自分のいた世界の造船レベルから考えると、少なくとも自分の知る貿易港とは考えられなかった。




「こりゃぁ多分私の知ってる世界とは別かなぁ」


今自分のいる世界がそれまで生きていた世界とは違う・・・・私の記憶喪失について探るとき、重要なピースになりそうだと思った私は、カバンからノートと筆記用具を取り出し、自信の現状について書き上げて行く。



砂浜の事、自分が記憶を失っていること、自分がどうやらそれまで生きていた世界とは違う世界にいるらしいこと・・・・思い浮かぶ限りを書き終えた後、いい加減砂浜から移動してどっかに向かわねばと思い、まだ見てない、港とは反対側の方向を見たそのとき、不思議なものを私は見つけた。



「・・・・何だあれ?洞窟っぽいが・・・・中が光っている?」



確か海蝕洞と言っただろうか?


沿岸部の反対側には、緩やかな長い坂道とそれに合わせて形成されている崖、そしてその下側にある洞窟のようなものがあった。



しかしその洞窟、日の昇っている状態のここからでも見えるほどの強い緑色の光を放っており、さらによくよく見れば陸地が繋がっていてここから歩いてでも中に入れそうであることにも気が付いた。




「・・・・・・行くか」


私は気になった。


潮の満ち引きあるから今からいくと帰り危険じゃ?とか、そもそもなんでそんな光ってるんだよあからさまに怪しいだろとか、後になれば冷静に考える要素はあったが、それでも私はその洞窟に向かっていただろう。


私は何故その洞窟が光っているのかが知りたかった。


理由はそれだけだったが、私が他の心配要素を全て放置してでもその洞窟に行きたくなるには、それで十分であった。



「・・・・面白い、港へ言うことも考えたが、その前にあの光の正体を探ってみせようじゃないか」




私は歩く、ただ歩く。



飯はどうする水はどうする、寝床どうするそもそもここどこ?



思うことは幾らでもあったが、今はそれを頭の片隅に移して洞窟へと向かう。



私の、記憶を失った私の旅は、今まさに始まったばかりなのだから・・・・








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