進化残酷愛
マイクロチップを脳に埋め込む事を頑に拒否する人達は、独自のグループを広げて行った。
そこで政府は、新たな自治区を設置。
特区11。
他の国々でも、同様に特区が設けられ、全ての国で特区11と名付けられ、バーコードの刺青で管理されていた。
そこでは自然のままに、積極的に体を機械化しない取り組みがなされていた。
ただし、義足、義手、クローン豚による内蔵作成は行われていた。
特区というだけで、非国民扱いされ、時代遅れの異端者扱いされていた。
特区の独立国を創設したいと、クーデターが勃発。
それ見たことかと、政府の機械化治安部隊がその度に力づくで鎮圧。
そんな時代。
ある日から、特区の子供達が出稼ぎから帰ってこなくなる事態が多発。
政府は知らぬ存ぜぬの一点張り。
出稼ぎに特区から出た子供達は、怯えながら、それでも生活ポイントの為に出稼ぎに行くしかなかったー。
これはそんな時代。
北海道。
採掘場。
?「なん・・何だコレ・・」 小さい男の子。
3ヶ月間。
?「嘘だろ・・」
ここで働いて帰れる筈だった。
?「何で・・何でこんな・・こんな事・・」
2時間前。
寮で寝ていたら、下の段で眠っていた親友が連れ出され、居てもたってもいられず、通気口から後を追ってきた。
親友は下で解体された。
脳を取り出し、容器に入れ、詳しく分析をしているようだ。
研究員1「おい!?こいつ違うぞ!?」
研究員2「何!?」
研究員3「本当だ・・数値が低い・・何故?」
研究員4「分からん・・とにかく殺し損だな・・捨てろ」
?「あ・・」
思い出した。
脳の検査をサボった時があったのだ。
親友がお肉の代わりに行ってくれた。
?「(まさか・・俺のせいで?)」 涙が溢れる。
無造作に壁が開き、そこに親友の体も、脳みそも捨てられた。
研究員1「ゴミが紛れ込んだ原因は?」
研究員2「デコイかな?」
研究員3「だとしたら・・コイツと同部屋の奴が怪しくないか?仲良くなるだろうし」
研究員1「それだ」
研究員2「ああ、そいつなら、ゴミを連れて来る時まだ寝てたぞ?」
研究員3「よし、今すぐ連れてこよう」
研究員1「よし行こう」
〈ガタン・・プシュ・・プシュ〉
行ってしまった。
?「・・ボルガ・・ごめんよ・・俺のせいで・・うう・・ごめん、ごめんよお・・う、うう」
這って進んでいった。
現在。
〈オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ〉
脳みそが入ったカプセルが並んだ場所に居た。
番号が付けられている。
?「何でこんな事・・何がしたいんだ?」
歩き回る。
博士「やあ、元気かい?」
?「!?」
白人、髪が長いおっさん。
髭が細かく生えている。
眼鏡をかけて、頭をボリボリ掻いている。
博士「ああ・・はは・・あはあ・・こんな所に居たのかい?皆さん君をお探しだよお?ふふ」
近づいて来る風でもなく、ぼんやり周りを見ながら語りかけて来る。
?「白い服着てるって事は・・医者なの?」
博士「ふひゃひゃひゃひゃ、ああ・・うんうん・・そんなとこ?」
?「ここで何してるの?」
博士「・・んふふ・・知りたいかい?」
?「〈コクン〉」
博士「んふふ~・・機械の体を手に入れた・・それはそれは素晴らしい事だよね~・・だけどね~・・それってさ・・仕方なくっての?まあ・・そんな感じなんだけど」
?「・・」
博士「んふふ、ずるいんだよね~・・進化って奴は・・気付かない内にもう始まってたなんてさ~・・なあ?君もそう思うだろ?進化ってずるいよな~後出しジャンケンだと思うだろ?コッチは必死に命令されてさ~・・義体化技術を確立してさあ・・一生懸命にお国の為に尽くして来たって~のに・・なあ?」
?「・・何の話し?義体化したんならそれでいいじゃん、永遠の命だっけ?」
博士「完全に脳みそを理解してなかったんだ~」
?「・・?」
博士「脳みそは脳みそだけじゃ不十分だったんだよ~・・何か体にも、脳みそを維持する物質があるんだよね~はは」
?「・・」
博士「だから、定期的にその物質を摂取する必要があるんだ、でもまあ、それはもう確立されてて、ゴミのミキサーから簡単に抽出できるからいいんだけど、問題は・・さっきも言ったね?ずるいずるい進化の話し」
?「だから何ソレ?」
博士「君だよ」
?「・・は?」
博士「ここに並んでる子供達もそうなんだ~〈スリスリ〉」容器に顔をすり寄せる。
?「〈ゾゾオオ〉・・」
博士「君達はずるいよ~、何で義体化しなくても生きられるんだよ~・・でももう少しなんだ~もう少しで解明出来そうなんだ~んふふふ、だから、義体化した人類脳と、バーチャルの世界で暮らしてる15億の人類脳の為にさあ~・・」
?「〈ッゾ〉」
博士「その身を私に捧たまえ?〈カツ、コツ〉」 歩いてくる。
?「い、嫌だ!勝手に脳みそだけになったんだろ!母ちゃん言ってた!絶対に罰が当たるって!神様は絶対に生きられるように人類をしてくださる、見捨てないって!お前らの自業自得だろ!?脳みそだけになったさ!お前らが選んだんだろうがあああああ!!!」
博士「そうだね、その通りだあ・・でもでも~?だから何?〈ニタア〉〈カツカツカツ〉」
?「ひう!?」 逃げ始める。
博士「言ったろ~?もう少しだと、本当にもう少しなんだあ・・だから~ふひょふひょ、頼むよ~?」
?「い、嫌だあ!!」 走る。
博士「無駄だよ、ここは密室だから、どこにも逃げ場なんて無いよ?諦めて人類の為にその身を捧たまえ?」
?「絶対に嫌だって言ってんだろハゲ!」
博士「人類はイケルって思ったんだあ・・これはイケルってね~?でも駄目だったんだ・・このままじゃあ、脳みその餌も無くなってしまうんだ・・君たちが強くなれば・・餌が強くなれば・・もう餌がとれなくなる・・もうすぐ完全氷河期が来る・・でも新人類の君達は僕たちが残したこういう施設で悠々自適に暮らすだろう・・脳みそだけの僕達は見捨てられ、朽ち果てるのみ・・ああ・・なんて悲劇だい!!」
?「強くなる?強くなるって?」
博士「君達新しい世代には特殊な能力が備わってる」
?「・・?」
博士「寒さに異常に強い肺と、血管、それだけでも羨ましい・・だが・・それ以上に・・魔法が使えるんだ」
?「はあ?魔法?」
博士「まだまだ分からない事だらけでね・・正確には魔法らしきモノだよ・・何もない場所から、電気を起こせるんだ・・まるで電気ウナギみたいにね〈カツカツカツ〉」
?「電気?」
博士「ああそうだ・・人間の体は電気で動いている、微弱だがね・・それと何の関係があるのかは分かってないが・・いいなあ・・羨ましいよ・・僕もその能力をくれよ~〈カツカツ〉」
?「知るかばあか!!」
博士「旧食料科学プラントもまだ稼働出来るし・・本当・・何で・・神様はこんな仕打ちを?」
?「お前らが先に神様を裏切ったんだろうが!」
博士「〈ピタ〉・・それは・・どういう意味かな?」
?「は?分かんねえの?頭いいんじゃねえの?馬鹿か?」
博士「・・いいから言い給え?」
?「待たなかっただろ?俺達は待った!母ちゃんも待ってた!今の話じゃ新しい世代?そいつらしか生き残れないんだろ?けど、母ちゃん言ってた!」
《ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオ》
家。
ベッド。
母「ううう・・寒い・・寒いねえ・・うう〈ガタガタ〉ダヤン・・ダヤアアン!?コッチ来て~?」
ダヤン部屋。
ダヤン「ううん?〈コシコシ〉なあにい?〈ギシ〉」 目を擦りながら起きる。
母「寒いんだよお・・寒くて寝られないから、お前と一緒に眠りたいんだよお、早くおいでえ・・」
ダヤン「んもう・・またあ?・・仕方ないなあ・・」
一緒に寝る。
母「はあ・・暖かい・・どうしてお前の体はこんなに暖かいんだろうねえ・・」
ダヤン「知らない」
母「うふふ・・そういえば・・お前みたいな歳の子はあんまり寒がらないねえ?」
ダヤン「うん、皆寒いって言った事ないよ?」
母「・・・・そう・・」
ダヤン「・・?」
母「もしかしたら・・あんた達若い世代だけ・・生き残るのかもねえ・・」
ダヤン「え?」
母「・・」
ダヤン「嫌だよ、そんなの!母ちゃんも生き残るよ!大丈夫、これからずっと一緒に寝てあげる!」
母「うふふ、いいんだよ、いいかい?良くお聞き?」
ダヤン「・・」
母「古い人間が皆死んでも、悲しんじゃいけないよ?それが自然の摂理、ルールなんだから」
ダヤン「ルール?」
母「そう、ルール、新しい寒さに強い人間だけが今からは生き残っていくんだ、あいつらの食料を作るプラントはまだ使える筈だから、それを使って皆で生き残るんだよ?いいね?」
ダヤン「やだ・・やだやだああ、母ちゃん死なないで?死んじゃ嫌だよお?」
母「馬鹿だねこの子は・・ふふ・・もしもの話しだよ・・も・し・も・・ね?」
ダヤン「・・うん・・もしも・・ね?」
母「そう、もしも」
ダヤン「・・ん・・分かった」
母「ようし、いい子いい子」
博士「なんと・・気づいてる奴が居たとは・・まあ・・寒さに強い子供ばかり生まれるんじゃあね・・」
ダヤン「だから、お前らの自業自得だろ!?全部、全部、ぜえええんぶ!!母ちゃんを見習え!馬鹿!諦めろ!」
博士「悪いがそれは無理だ、私にはこの研究を成し遂げ脳人間達を救わなくてはならない使命がある」
ダヤン「何が使命だ!自分が助かりたいだけだろ!?」
博士「ふひょふひょふひょ・・〈ニタア〉ああ・・全くその通りだよ・・特区君?」
ダヤン「く・・」
逃げ惑うが、角に追い詰められた。
博士「さあ・・追い詰めたあ〈ニタア〉」
ダヤン「で・・電気起こすぞ!?」
博士「うひひひ、どうぞどうぞ?」
ダヤン「ん~~、?、ん”ん”~~?」
博士「うははははは、無理無理、ある程度訓練しなきゃ~」
ダヤン「くっそ!出ろよ~、出ろ出ろ出ろ」
博士「ほおら、捕まえ・・」
ダヤン「く!〈ダダ〉」 低く躱しまた逃げた。
博士「いつまで続ける気だい?諦めようよ?人類の為にさあ?」
ダヤン「くっそ!出ろおお!!」
博士「無理だってばあ・・〈ピピ〉」
〈ガチャコン〉 壁が開いた。
ダヤン「!?」
身長3Mの戦闘ロボット3体出てきた。
博士「やれやれ、すばしっこい君がいけないんだからね?・・スタン銃は使うな・・ゴム弾セット、殺すな・・体にも興味が出来た・・やれ」
1、2、3《アイサ》《ガチャン、ガチャン》 2足歩行。
ダヤン「う・・うわああ」 走るがー・・。
1、2、3《バララララララララー》
ダヤン「うがああ!?」 倒れた。
右腕、背中に命中。
1、2、3《ウイイン・・ググ》 1がダヤンを持ち上げる。
ダヤン「う・・ああ」
1〈任務完了しました〉
博士「はい、ご苦労様、オペ室に運んで」
1〈了解〉〈ガチャンガチャン〉
ダヤン「うう・・」
{新しい人達だけでも生き残るのよ}
{嫌だ}
ダヤン「うう・・」
{馬鹿だねこの子は}
ダヤン「ううがあ~・・〈ググ・・〉」 手を伸ばす。
{もしもの話よ}
ダヤン「がああ〈グググ〉」 スタンガンの銃に。
{・・ん・・分かった}
ダヤン「うがあああ!!!!」
博士「ん?・・おい!?馬鹿!そいつに電気をー」
ダヤン「うがああああああああ!!!!〈ガ、ズボオ、グ〉」 引き抜き、自分の二の腕に押し当てる。
博士「よせえええ!!」
《バチチジジ・・》 撃った。
1〈ブピピピ・・再起動までニシバラク・・〉〈ガチャアアアン〉
博士「ああ・・おい!早くそいつを押さえろ!」
2、3《アイサー》
2、3が倒れているダヤンに触った瞬間。
《ビジジジチチチチ》《ガチャアアアアン》 2機共倒れた。
博士「ああ・・やっばい〈カチ〉」《ウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ》
サイレンが鳴る。
ダヤン「・・〈ムク〉〈ジジ・・バチチ・・チチチチ〉」 青い光を時々走らせながら、ゆっくり起き上がる。
物凄い人数が駆けつけ、電気防止の服を着用し、ゴム銃を構えた。
ダヤン「・・」
博士「こいつは絶対殺すな!ゴム弾、撃て!」
皆《バラララララララララララララララララララララララララ》
ダヤンの足元周りの鉄板が《グン!!》持ち上がり、《ドルルルルルルルルルル》ゴム弾をガード。
博士「は!?はあああ!?」
ダヤン「・・お前らどうせ・・脳みそだけなんだろ?つか・・俺捕まったら死ぬんだろ?要は・・殺し合いだろ?俺は死にたくないし、誘拐したのはそっちで・・俺の・・俺の友達を・・」
{なあ、お前名前なんてえの?、一緒の部屋になったんだし、仲良くしようぜ?}
{ああ!?俺が下だよ!お前は上!}
{ああ?脳検査が嫌~?はは、しょうがねえな・・この肉で手を売ってやるよ}
博士「だめだ!やっぱり殺せえええ!!脳みそ以外は撃って構わん!やれええ!!」
ダヤン「返せえええええ!!〈バチチチチチチイイイ〉」〈グウン!!〉1枚の長さ2M、幅1Mの鉄板が持ち上がり、〈ヒュヴン!〉ブーメラン。
皆『「うわああぎ!〈ボギャン〉」「ぎゃふ!?〈ザシュ〉」「うぎゃああ!?〈ボ!〉」』
周りの敵を高速回転しながら薙ぎ払って行く。
博士「ひ、ひうう!?〈プシュ、ピピピプシュ〉」部屋から逃げた。
博士「まずいまずい・・まさかまさかあそこまでいきなり・・まずいぞおお・・施設は全て電気が通用する鉄だし・・電気が通用しない服なんて鉄板使われたら終わりだし・・完全に対策したあの・・あの・・ロボティクスを使うしか・・迷ってる暇はない!」
どこかに行った。
ダヤン「はあ・・はあ・・はあ・・〈バジジ・・ジチチチ・・〉結構疲れるな・・コレ・・はあ・・」
部隊全滅。
機械頭部からは黄色の液体が溢れ、脳みそがぐちゃぐちゃだ。
ダヤン「さって、皆にもこれ・・あ~・・なんていうのかなコレ?とにかく特区の皆に電気ショックを与えればー《ガアアアアアン》!?」
見ると、大きい壁が変形している。
《ガアアアアアアン》 どうやら壁の向こうから無理やりコッチに来たいようだ。
ダヤン「・・何が来ようが・・」
《バガアアアアアアア、ガランガラン・・ウイイイイイイン》 見えた、巨大なロボット、人が乗っている。
博士「なははははは、これはいずれこうなる事を予期して作らせておいた戦車だよ!試作品だがね?図体が大きいのであまり、センスがないトコが傷だが、許してくれたまえ?なんせ試作品なモンでねえ?」
ダヤン「・・ふん!!〈バチチチ〉」 機体に直接電気を送る。
博士「はははは〈ブウウン〉 機械腕を振り回す。
ダヤン「あれえ?く?〈ビュウウン〉」躱した。
博士「無駄無駄あ、言ったろ?このロボットはこういう時の為に作ったと!電気が効かないようにするのは当然じゃないかね?はははは〈ブウウン、ブウウン〉」
ダヤン「く!?・・なら・・〈ジジチチチ〉〈ヴン!〉」さっきと同様に鉄板を操り、反撃をー。
〈ガキャアアン〉 跳ね返された、かなり頑丈なようだ。
博士「無駄だと言ってるのが・・分かんねえのかあ!〈ブウウン、ブウウウン〉」
ダヤン「くうう!?」 逃げまくる。
博士「ほれほれえ、ああああん?どしたああ?無敵だとでも一瞬でも思ったか?ああ?〈ブンブン〉」
ダヤン「はあ、はあ、はあ」 逃げまくる。
博士「お前ら特区の人間はなあ!奴隷なんだよお!脳みその餌のままで居れば良かったモノをさあ!ああ?調子に乗りやがって!何でてめえらだけ進化してんだってのお!ふざけんじゃねえよお!俺達だって生きたいんだよお!〈ブンブン〉」
ダヤン「はあ、はあ、はあ、はあ」
博士「それが、今になって・・電気能力まで・・まじでふざけんじゃねえってんだよおお!〈ブウウウン〉」
ダヤンにぶつかるー・・。
《ギギイイイ・・キギ・・》 動きが止まった。
博士「ああ?・・あれ?・・〈ガチャガチャカタカタ、パチパチガチャガチャ〉あれえ?」
ダヤン「はあ、はあ、はあ、やっとか・・はあ、はあ」
博士「あれ?あれええ?お、お前?おまえええ?何しやがったああ!?」
ダヤン「知りたい?」
博士「・・く・・〈ガチャガチャ〉くっそ・・〈ガチャガチャ〉」
ダヤン「小さい鉄・・あいつらの武器とかを、関節に最初は挟んでたんだけど・・一瞬で潰されるから・・今度はずっと温めた」
博士「あ、温めたあ?」
ダヤン「電気は通さなくても熱は通すだろ?関節は何かゴムっぽかったからさ」
博士「うう・・〈ガチャガチャ〉」
ダヤン「体は鉄っぽいのに電気通さないって事は・・何かそのコックピットだけ何かで囲ってんだろ?だから、全部ごと温めてゴムっぽいモンを溶かした・・つか・・ 今 も 温めてるけどな」
博士「〈ッゾゾゾ〉うお!?熱い!?何か熱くなってきた・・やばい・・やばいい〈ピピ、ブヴー〉あれ?開かない?ハッチが開かないいいい?〈ピピブヴー〉〈シュオオオオ〉熱い?熱いいい!?感度センサーオフ!!」 体の感度センサーをオフ。
ダヤン「〈ジジジチチチチ〉罰が来たんだ」
博士「嫌だああああ、死にたくない、〈ピピブヴー〉死にたくないいいい〈ピピブヴー〉」
ダヤン「ボルガの仇だ!喰らえええええ〈キイイイイイイイイイイイ〉」
博士「よせええ!!止めろおおお!私が死んだら人類がああ!日本の、いや、世界の脳人類があ!!」
ダヤン「人間を食わなきゃ生きていけない人間なんか人間じゃねえええ〈キュン、ジジジジジジイイイイイイイシュオオオオオオオオオオ〉」
博士「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”溶けるううう!?体が溶けて・・あ?〈ヴヴ〉ああ?〈ヴヴヴ〉視界が・・モニターが・・〈ヴヴヴヴヴガガ〉シヌウウ〈ピシューーーン〉」
ダヤン「はあ、はあ、はあ、はあ〈ドサ〉」 尻餅。
暫く考えた後、立ち上がった。
相変わらず煩いサイレンの中、歩き、部屋を出た。
施設内の敵は既に退却命令が出ていて、自爆スイッチが押されていた。
残った特区の出稼ぎの子供達は待機を命じられ、どうしていいか分からず、ただ黙って採掘現場で待機していた。
ダヤン「お~い、皆~」
皆『「おい、あれ・・」「あ!ダヤンだ!」「ダヤアアアン!」「お~い!」「これ何の騒ぎ~?」』
ダヤン「いいから皆で手を繋ごう!早く!」
起爆5分前。
皆『「何で~?」』
ダヤン「ふふ、面白い事が起こるからさ!ほら早く!」
皆『・・』 皆手を繋いで行く。
起爆1分前。
ダヤン「いっくよおお!?」
皆『えええ?なになに?』
7、6、5
ダヤン「せえ~の!《バチ
《カ!》
《オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ》
唯一テレビが見れる酒場。
アナウンサー「~~です、この爆発により、この区画一帯は汚染区域とされ、北海道の特区11の出稼ぎ労働者全員が絶望的との事です、なお、この事故の死亡者数は少なく見積もっても3000人規模と推定されます、この事故を受け政府は、最低5年はこの一帯に立ち入り禁止期間を設け、市民の安全に考慮するとの声明を発表しました、この事故の原因は今だ調査中との報告が・・」
ダヤン母「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
他の母達『うあ”あ”あ”あ”あ”』
夫達『う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”』
ダヤン「〈ガチャ〉ただいまあ〈ギイ〉」
皆 《シーーーーーーーーーーーン》
ダヤン「あれ?皆何で泣いてるの?」
他の子供達『ただいまあ、ただいまあ〈ギイ、ギイ〉』
大人達『わあああああああああああああああああああああああ』
その後、反乱軍が組織され、子供達が活躍し、北海道に新人類の為の国が設立された。
時は流れ、20年後。
火星に行った人々は、放射線にやられ、全滅。
地球に残った人々でも、脳人間達は、次々に謎の病に倒れ、全滅。
《ビュホオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ》 吹雪。
施設内。
ダヤン33歳。
ダヤン「ほうら・・ヨチヨチ~いい子でちゅねえ~」
赤ん坊「きゃっきゃっきゃ」
?「もう・・パパったらでれでれでしゅね~」
ダヤン「・・素晴らしいよ・・ありがとうダリヤ〈チュ〉」
ダリヤ「ふふふ、そうよう?すっごい痛かったんだから、んね~?こしょこしょ」
赤ん坊「きゃっきゃっきゃ」
《ガコオオオオン》
ダリヤ「なに!?何の音?」
ダヤン「ああ、また進入してきたらしい、クグリムが」
ダリヤ「怖いわ・・あの生き物、電気を食べるんですもの」
ダヤン「なに、心配要らないさ」
〈ガチャ〉
?「ダヤン、ここに居たのか!早く来い!進入された!」
ダリヤ「気をつけて?」
ダヤン「ああ、分かってる〈バタン〉」
駆けつけると、工場内に、巨大な蜘蛛?みたいな化物達が30匹はいて、暴れている。
工場の発電機から、電気を吸っている。
ダヤン「寒さに適応していくのは・・人間だけじゃないって事だな・・野郎共、構~え~」
《ギリリリリイ》弓矢を構える皆。
ダヤン「貴重な食料だ、今夜は鍋だぜ、撃てえええ!」
《ヒュボボ!》
Fine。