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私の目に狂いはなかった

文章、ストーリー評価いただきました!

ありがとうございます(*^^*)


「はい到着!もう目を開けて良いよ」

「……え?」


アーデルハルトは驚いたように周りを見回している。そこは私が借りた宿の一室。

この部屋にはベッドとテーブル、二人がけのソファがあるだけのシンプルな部屋。豪華な所もあったけど、私は豪華過ぎるのはあまり好きでは無い為、清潔感がありシンプルなこの宿を選んだ。

アーデルハルトはまだ実感がないのか周りを見た後は自分の体を確認するように見ている。まぁ、いきなりさっきとは違う部屋にいれば驚くのも無理はない。しかも自分が移動したという感覚もなければ尚更。

驚いているところ悪いけど、話は進めないといけない。


「んじゃ、これからのこと話していこーか!やることは簡単、これから城に行きます。アーデルハルトを剣闘士に陥れたやつの所に行きます。とりあえずそいつぶん殴って、王様んとこ行きます。男のしたこと洗いざらい伝えます。たぶんそれだけじゃ解放とか難しいだろうから、そこは私が交渉します。交渉後には晴れて自由の身です。以上!じゃ、質問があれば聞きましょう!」

「………どこから質問していいのか、わからないんだが」

「あはは、だよねー。とりあえず一個ずつ、基本的になんでも答えるよ」


アーデルハルトは少し困ったというより、戸惑った様子だったが、私の言葉に今聞いた話を整理するように一旦口を閉ざした。私は急かすこともなくアーデルハルトを待つ。暫くするとアーデルハルトが口を開いた。


「……君は俺を陥れたやつと言ったが、なぜそいつを知っている?というより、なぜそのことを知っている?」

「神ですから」

「………」

「はい、つぎー」

「……城に行くと言ったが警備もあるし、そもそも俺を連れて入ることは難しいと思うが出来るのか?」

「神ですから」

「………」

「はい、つぎー」

「……陛下に会うと言ったが、そう簡単に会えるものでは「神ですから」

「………」

「はい、つぎー」

「……真剣に答える気ないだろ」

「神ですから」

「………」

「あ、ごめん」


なんだかアーデルハルトが一気に疲れたような感じに見えるのは気のせいじゃないはず。

はい、ふざけすぎました。ごめんなさい。


「わかってるよ。ちゃんと答える。まず初めの質問、これは本当に神だからとしか言いようがないのよ。申し訳ないけどちょっとアーデルハルトの過去を見せてもらったの。だから、私はあなたが何をして剣闘士になったのか、誰が関わっているのかなんてことは簡単にわかってしまうわけ」


アーデルハルトは私がやっと真剣に話し出した答えを聞いて、少し考える仕草をする。内容が内容だ。すぐに信じられる人の方が逆に疑わしい。だから私の話を聞いてのアーデルハルトのこの態度は不快に感じるものではない。

アーデルハルトは一旦考えるのを止めたのか私に先を促すように見てくる。


「次に城に行くのは、さっき見たというか実際にやったでしょ。空間移動を使えばなんてことない。王様に会うのだって空間移動使うなりすれば、別に問題は無い。って感じかな」


アーデルハルトは最後まで聞き、再度考えるように黙っている。

これが神であるというものは今の段階では正直ない。

空間の移動もやってみせたけど、それだって難しいけど魔法で出来ないこともない。だいぶ複雑だけどね。数人の魔術師が魔方陣組んで行うものだから、一人で出来るかっていうと難しいし魔力も足りないかもしれないけど。

彼の過去についてだって、言ってしまえば想像とか予想なんかでも言えてしまう程度しかまだ言ってないし。


「君が神というのは正直疑っている。」


アーデルハルトは私を見ながら、はっきりと自分の意見を伝える。たぶん過去のことからも見ても今の態度を見ても実直な人間なんだろうってことは分かった。

助かりたければ私が神かどうかなんて気にせず流れに身を任せればいいし、それで生きようが死のうが彼としてはどちらでも結果オーライだろう。それなのに疑っていることを本人に伝えるなんて、本当に真っ直ぐすぎる。だから今こんなことになってるんだろうしね。でも、少しでも人を疑うことを覚えたというか身につけたのは彼にとって幸運というのかな。


「だが、これからのことはあんたに任せてみようと思う。」

「……いいんだ、そんな簡単に任せちゃって」


一応揺さぶりもかけてみるけど、彼はその場から動くこともせず、ただ真っ直ぐに私の目を見ている。


いいね、やっぱり。彼にして良かったと思う。


「ふふ、私の事とりあえずだけど信じてくれたから。プレゼントあげよっかな」

「プレゼント?」


これは別に信じてくれたお礼じゃなくてもやろうと思っていたことなんだけどね。

私は彼の失われた左腕の付け根に触れる。彼は一瞬身動ぎしたけど、本当に私に任せるみたいで特に何も言わず事の成り行きを見ている。淡い光がその箇所を包み込みすぐに消える。

光消えた後には、傷一つ無い綺麗な腕が生えていた。

アーデルハルトは今までの中で一番驚いた様子で、髪で見えにくい目を大きく見開き左腕を見ている。次にゆっくり肘を曲げ、指先を曲げる。表情は見えないが信じられないといった様子で私を見てくる。


「……本当に神なのか?」

「だから、そう言ってるじゃない。あ、ついでに神様じゃなくてレイナって呼んでね」

「レイナ……様?」

「なんで様付け?」

「いや、神だとしたらやはり敬称は付けるべきかと」

「いらない、いらない。ついでに敬語で話そうなんてこともしなくていいから」


今ので彼の中で私が神だということに一気に信憑性が出てきたらしい。傷を癒やすことは今の魔法でも出来たはずだけど、欠損した部分を治すなんてことは今の魔法では出来ないことだからね。

あ、これ先に見せれば神だってもっと早く信じてもらえたんじゃ……ま、いっか。

そんでもって今後の予定について彼の了承を得たし次の行動に移りますか!


「まずはお風呂に入ろうか!」






「格好いい!」


アーデルハルトは部屋についていた入浴所で体も髪も洗い、その後ぼさぼさの髪を襟足で整え、髭も綺麗に剃る。すると現れたのは綺麗なブロンドに青い目の男らしい美形。誠実そうな顔をしている。

体を綺麗にすることだって魔法で出来てしまうけど、入浴ってリラックス効果もあるからね!私も緊急じゃない限りはお風呂に入ってるしね。

当の本人は、なんと答えて良いのか分からず困った顔をしている。

衣類も新しく私が作って(隠す必要もないので、今回は彼の前で作ったよ)それにアーデルハルトが驚きながらも服を受け取り着用する。

ダークブラウンのパンツと上着は中にモスグリーンのシャツ、同色のロングコートを羽織る。そして膝下まである黒のブーツ。

イケメンは何を着てもイケメンだということがわかった。

彼は王子タイプじゃなくて騎士タイプだね!服装は騎士というより傭兵だけど。

なんて、私が人間だった頃よく読んでいた少女漫画や小説に出てくるキャラを勝手に想像していると首元の奴隷の首輪に気づく。せっかくの美形が台無しだ。


「首輪外してなかったね。」

「いや、これは」


私がアーデルハルトに近寄り、首元に付けられていた無粋な首輪に手を伸ばすアーデルハルトは拒否をするように体を一歩後ろに下げようとするが、私は構わずに首輪に触れる。触れると同時にあっけなく首輪は外れ重力に逆らわず床に落ちる。

アーデルハルトは床に落ちた首輪を見て驚いているけれど、今までのことを考えれば大したことではないのかとすぐに納得した様子だった。

本当は主以外が外すことは出来ない仕組みになってるからね。でも私が外したいと思えばそんなものプレゼントのリボンを解くように簡単に外せてしまう。

私はアーデルハルトの手を取り、にこっと笑いかける。


「それじゃ、お城に行こうか」


金髪に青い目は王道ですね!

服装は私が好きなゲームのあるキャラが着ている物を参考に。

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