アンディール
奴隷についての描写があります。
歴史に詳しい方ではないので、奴隷に関しての解釈、考え方について不快に思われることがあるかもしれません。
あくまで個人の意見として受け取っていただけると助かります。
はい、到着-。
え、早すぎる?
いや、私だって初めは普通の冒険者っぽく道を歩いてたよ。でも同じような風景で飽きてきちゃったんだよね。途中魔獣なんかにも出くわしたけど、適当に魔法とかで倒しちゃったし。
おかげで貴重な魔石なんかが結構な数、手に入りました。
半分まで来たところでダッシュ。普通の人の足だったら、1週間かかるところを1日で到着。朝出発して夜到着だから半日だね。
アンディールの町並みは、石造りの家や店が並び道も石畳で馬車も通っている。大きな国だが、国全体を石の塀で覆っている。華美な感じはなく、どちらかといえば要塞に近いような気もする。基本的にこの大陸は一年通して厳しい季節が続く為、他国での争いも絶えないみたいだから守りも頑丈にってことなのかもしれない。
その割には入国はそこまで手間は掛からなかったけど。
まぁ女一人で入国なんて事情有りな雰囲気バッチリだったけど、不審がる様子はあったもののなんとか入れたし。
もう夜だし魔石をお金に換えて宿探して泊まりますかね。
大国だし、良いところあると良いなぁ……。
「おう、ねぇーちゃん、黒髪たぁ珍しいな。しかも美人とくりゃ……。」
「いいだろ?俺らにつきあえよ」
若い女一人で歩いてれば、まーこうなるよね。
はい、男二人に絡まれました。
魔石を換金した後、宿を探すべく道を歩いていたところに、お決まりといったがたいの良い男二人組に行く手を阻まれました。
周りの人達は関わりたくないという感じで、遠巻きに私たちの横を流れていく。
男二人は私が黙っているのを自分勝手に良い方向に捉えたらしく、更に一歩近づいてくる。
「怖がってんのか。大丈夫だって、俺ら優しいからよ」
「そうそう。優しいからなぁ!」
厭らしい笑みを浮かべ、更に一歩近づいてくる。
「めんどくさい」
「……あぁ?」
私の言葉をちゃんと聞き取れなかったのか、聞き返す男にもう一度言うのも更に面倒なので、無言で男たちを避けて進もうとする。
もちろん、それを男達が許すはずもなく。
「どこ行くんだよ」
「ってか、無視すんじゃねぇ!」
一人の男の手が私に伸びてくる。
本当に面倒。でも、ここで騒ぎを大きくするのはもっと面倒。
私は男の手をサッと避けると、もう一人の男が今度は体ごと私を止めようと動いた所で、私は足払いする。男はそのままバランスを崩し、もう一人の男の方に倒れ込んだ。
「うわぁ!何してんだよ!」
「い、いや、なんか足引っかけて……って、おい。あの女いねぇーぞ!!」
「え!?」
私は男達が倒れ込み、視線を私から外した瞬間に人混みに紛れすぐに距離をとる。そして建物陰に入り、そこで一気に跳躍し建物の屋根に着地する。
これで追いかけてくることもないでしょ。
数百メートル先にいる男達を確認して、私は宿探しを再開した。
「いいね、彼。」
今私がいるのは闘技場と呼ばれる場所。
なぜ、私が闘技場になんてきているのかというと、お目当ては剣闘士である。
話は少し遡る。
実はこの世界を確認した時に、奴隷の情報があった。
そう、奴隷。しかも場所によっては道具のように扱われているところもあるとか……。
ふふふふふふ、可笑しいよねぁ、確かこの世界を創った時に種族に優劣はない、平等に仲良く暮らしなさいって言い聞かせたつもりだったんだけど。
なんか人間が優位みたいになってるし?
人間に比べて他の種族の奴隷が圧倒的に多いし?
それぞれの大陸の大国は一カ所除いて全て人間の国みたいだし?
たった数千年で神様から言われたこと忘れちゃうんだ。ふーん、あ、そう。
確かこの世界、最初からすごい調子良くって調整らしい調整も殆ど必要なかったんだよね。
だからって、少し目を離した隙にこうですか、そうですか。
別にね、奴隷がいるのを完全に否定はしないよ。
どの世界だって、奴隷や奴隷とはいわなくてもそれに似たものはある。そして、世界が発展していくなかで、差別だの人権だの色々出てきて無くなったり別のものになったりする。
でもね、それは神としての意見。
今の私は神であって神でなし!
元々が人間で、しかもある程度文明発達して人権とか法律とかが確立してた世界で生きてた私としては、奴隷って生理的に嫌。しかも物扱いとか、ない。
この先奴隷制度がどうなるのか、種族がどうなるのかなんて無数の未来があるけれど、それはそれ。今ここにいる私には関係ない。
普通に生きていれば百年位軽く生きられちゃうけど、力使いまくって好き勝手やってしまおう!
今は私もこの世界の一部(だいぶ特異だけど)になってるわけだし。
世界壊さなきゃ別に良いよね☆
奴隷については、もう奴隷という存在が人々の中で根付いてしまっている今、完全に無にすることは難しい。例え私が奴隷を解放していったとしても、また新たに奴隷という存在は生まれるだろう。
それに、借金返済の為とか奴隷になるのも色々理由があるだろうし。
あ、でも奴隷にする為に村や集落を襲ったりなんてものがあるみたいだから、そこらへんは潰していこう!
奴隷については正直気に入らないけど、全ての奴隷を解放なんてことは正直私でも出来ない。それこそこの世界のバランスを崩してしまう。でも、奴隷にならなくても良かった人を奴隷にすることに関しては許せない。
んー、この世界に来て短時間だけど元の人間としての感覚が戻ってきてる気がする。
とりあえず、探し出して殲滅っていうのもバランス崩しそうだから、私が行く先で見つけたらって感じで☆
ただ世界を見て回るより何でも目的があった方が面白い。後は初めに神様が付けた制限に自分なりの制限も付けていこうかな。
……ふぅ、こんなもんかな。
私が制限として考えたのは三つ。
・お金の作成
・死者蘇生(ぎりぎり生きていればOK)
・新しい生き物・大陸の作成
そして神様からの制限として二つ。
・世界の情報確認
・時間の調整(過去・未来に飛ぶ、時間の停止)
これがなくても物の作成とかほぼ不死身とか、力・魔力の高さとか知識とか……上げれば切りがないほどの能力があるんだけど。そこはほら、イージーモードは好きじゃないけど、ハードモードはキツイ、ちょっと特典付きだと嬉しいなってやつですよ。
特典付きな時点でイージーじゃないかって?そんなこと知りません。私がルール!
だって私は人であって人でなし!
まぁ、制限っていっても私が勝手に設定しただけだから、ゆるーい制限なんだけど……。
気にしない気にしない!
アンディールについては中世ヨーロッパとか騎士とかをイメージしてもらうと良いかと。
騎士、鎧、剣……大好物です!