矛盾する思い
おひさしぶりです(*_*;
気がつけば年越えてました……
今年もよろしくお願いします。
第二十二話矛盾する思い
座り込む私にアルは何も言わずに後ろに立っている。
私は柔らかくその子の体を包み込み、体の傷を癒やしていく。体は細いままだが、傷は消えた。猫耳も綺麗な三角形をしている。ついでに体の汚れも綺麗にする。
首輪ももちろん外して、その辺に捨てる。
「アル、この子を」
私は抱きかかえた子をアルに渡すと、何も言わずに受け取ってくれる。
私はそのまま辺りを見回して地層の切れ目を見つけ、いつも通り中に異空間を作った。
岩で出来た空間に入り、アルには奥にある部屋にその子を寝かせるように伝える。
アルが部屋から戻ってくると、私たちはそれぞれ向かい合う形で椅子に座り暫く沈黙が続く。アルは私が話し出すのを待っているような様子だった。気づかない内に詰めていた息を短く吐き出す。
「……もっと酷い状態の人を見たことがある。神の時に。でも今は駄目。一気に色んな物が胸に込み上げて来て、こんな感情久しぶり。……それから、『あぁ、そうだった。人ってこんなにも無力で嘆くことしかできない存在なんだ』ってことも思い出した」
私は口元に自嘲するような笑みが浮かんでいるのを感じる。アルは黙って聞いてくれている。
「でも私は今、人じゃない。……神、ともはっきり言えないけど。それでも人に比べて大きな力を持っていて、それを使うことが出来る。……正直、全ての奴隷を解放してあげたいとも思うんだけど、それだと世界のバランスが崩れちゃうから、それはできない。それは私がすることじゃない。でも目の前にいて助けられるなら、助けたいと思う。……矛盾してるよね」
「……神の言うことに意見は出来ない」
「ふふ、そうだよね」
私の独り言にも似た話にアルは真面目な表情を崩さずに返してくれる。それに私は苦笑を浮かべる。そんな私を見て、表情を変えずにアルは話す。
「でも、レイナの言うことには意見できる」
「ん?」
私が不思議そうに見ると、アルは表情を少し崩して口元に微かに笑みを浮かべる。
「世界のバランスとかは、俺でもなんとなくわかる。神がそれを簡単に崩すことが出来ないことも。でも、今は良いんじゃないか目の前の命を救うくらい。レイナが自分で言ってたろ。人の感覚に戻ってきてるって。だったら今は神のレイナじゃなくて、人のレイナとして行動すれば良いんじゃないか」
「アル……」
「限度を超えない程度にな」
「……ありがとう」
最後は苦笑気味に言うアルに、自然とお礼の言葉が口を出ていた。
旅の途中に私の状態を話したこともあった。人のようで、人ではなく、神のようで、神ではない存在。それが今の私。
でも今は人として行動しよう。……限度を考えて、ね。
「それで、あの子をどうするんだ?」
「そうだねぇ。家族がいるなら返してあげたかったんだけど……」
「……」
アルは私の言葉で悟ったらしい。あの子の寝ている部屋を一瞥する。
そう、いればの話。あの子には申し訳ないけど、抱きしめた時に過去を見せてもらった。その中でどうして奴隷になってしまったのかがわかった。
どうということはない。奴隷ハンターに村を襲われ連れてこられた。その時にあの子の家族は殺されている。
かといって、このまま放り出すのも後味悪いし。でも、あんな小さな子を旅に連れて行くのもなぁ。
「ちょっと考えとくよ。汗……はそんなにかいてないけど、お風呂入ってくるね」
「あぁ」
特別汚れている訳ではないけど、気分的にさっぱりしたかったから、お風呂場へと向かう。
あの子いつ目が覚めるかな。魔法で大分回復させたけど。
別に時間に追われる旅でもないから、あの子が起きるまでここにいることに問題は無い。アルも反対はしないだろう。
早くあの子の声が聞いてみたいな。
短くてすみません(;_;)
次も近いうちにあげられるようにしたいと思います!




