砂漠の中で
皆様、おひさしぶりです。
気がつけば1ヶ月……前回より間が空いてしまいました。すみません。
今回は最後に少しグロテスク?残酷?な表現があります。苦手な方はご注意ください。
「おぉー砂漠だー、何もなーい!」
あのまま町を見て回ればまた絡まれそうな気がした為、砂漠に行きたいという私の希望によって砂漠に来た私たち。
砂漠に向かう途中、私たちのあまりの軽装備ぶりに町の人に止められたりしたけど、問題ないと言ってスルー。
なんだか死地に向かう人を見送るような目を背中に感じた。
私は見た目、いつもの格好の上にマントを被ってるだけ。魔法で周りの温度を調整してる。でも全く感じないのも面白くないから、少し熱いなぁ程度にしている。
アルは雪山の時と同じ理由で魔法は掛けてない。日差しが強い為、日に焼けないように私と同じようにマントを被っている。足下の砂は歩きづらかった為、二人とも魔法を掛けている。
「それで?砂漠に来た理由は?鉱石でも探すのか?」
「ん?来たかっただけ」
「……そうか」
私の言葉に一々反応するのも面倒、あと慣れでそれだけ返すアル。
歩けど歩けど見渡す限りの砂、砂、砂……時々赤いサソリの魔獣が出てきたけど、後は砂、砂、砂……
「飽きた」
「だろうな」
分かっていたというようなアルに、もう戻ろうかと声を掛けようとした時、前方に動く陰を見つける。
魔獣かと思いそちらを注視してみるが、それは魔獣ではなく人だった。
瘤が四つあるラクダのような生き物が荷馬車をひいている。その周りに二頭同じ生き物が瘤の間に人を乗せ歩いてくる。
向こうもこちらに気が付いた様子で近づいてくる。そして私たちが二人であることと軽装であることに驚いている。けれど、それだけ。助けるような素振りは見せない。
ここは特に弱肉強食の世界。ここで人を助けたとしてメリットはあるかもしれないが、それよりデメリットの方が大きい。私たちの見た目が豪華でお金を持ってそうであれば、話は少し違うかもしれないけど。
それでも一応声は掛けてくれるらしい。荷馬車の中から、他の人より身なりの良い男が出てくる。
「こんなところでどうした?鉱石でも探しに行くのか?」
助けることはしないが、軽装な二人組(しかも内一人は女)に少なからず興味を持ったらしい。男は遠慮なしに私たちをつま先から頭まで見ながらそう言う。
「えぇ、そんなところです」
「……見たところ奴隷を連れてるようには見えないが」
普通の人が探そうとすれば見つからないことはないが、運が良くない限り見つけることは難しい。だから、奴隷が必要となる。特に獣人の奴隷が。
「そういうあなたたちも奴隷を連れてるように見えないけど」
質問に質問で返す形をとったが、相手はさして気にしていない様子で答えてくれる。
「あぁ、行きは連れてたんだけどな。鉱石を取り終わる頃には使えなくなっちまって、捨ててきたのさ。結構使い勝手が良くってここ数年使ってたんだがーー」
そう話す男の声を聞きながら、私は自身を落ち着かせるように気づかれないように息を吐く。
分かっていたこと。ここでは奴隷を使い、鉱石を採り、そして利益を得る。この大陸の多くの人はそうやって生活している。鉱石は船に乗り他の大陸へ渡り人々の生活の糧となっている。
だから、今は我慢しなければいけない。そこら辺の奴隷ハンターから奴隷を解放させるのとは訳が違う。
目の前の男の話がやっと終わりかけた頃を見計らって声を掛ける。
「もし良ければ、鉱石を見せてもらっても良いですか?私たち冒険者で鉱石がどういった形で埋まっているか知らないんです」
「あぁ、良いぜ」
男は荷馬車の中から片手からはみ出す程の石の塊を取り出す。見た感じ普通の石のようだが石を裏返せば、割れ目がありそこから微かに緑色が見える。
「今日採ったやつだ。砂を掘っていけば、鉱石がある場所だったら砂とは違う土や石の混ざった地層が見えてくる。そこに鉱石が埋まってる」
まぁ、その地層を見つけるのが大変なんだけどなと男は笑いながら言う。
その後、男たちと別れ反対方向つまり男たちが歩いてきた方向へ歩き出す。
暫くして男たちの姿が見えなくなったところで、それまで何も言わなかったアルが口を開く。
「探すのか?」
「よく分かったね」
私がそう言うと苦笑しながらも優しい顔を向けてくる。
「まぁな。……この砂漠で探せるのか?」
「大丈夫、さっき鉱石に触れてその子の気を感じた。それを辿っていけば見つけられる」
私は男が鉱石を持って話していた時、鉱石に興味を持った振りをして鉱石に触れ、そこからここにいる男たちとは違う気を感じ取っていた。
弱々しいけど、まだ無くなっていない。
「行くよ、アル」
「分かった」
私はアルが目を瞑ったのを確認し、空間移動を行う。
着いた先は一見すれば移動する前と同じ場所。でも、この近くに先ほど感じた気の持ち主がいる。
「……砂に埋もれてる。アル、私の傍を離れないでね」
「あぁ」
アルの返事を聞いて私は風の魔法を使う。私を中心として半径百メートルほどの砂が一瞬にして消える。見えたのは砂とは違う土のような石のような地層、そして私たちから数メートル離れた所に……いた。
うつ伏せで倒れていた為、ゆっくり仰向けにさせる。
「……」
酷い状態だった。町で見たぼろきれのような服ともいえない布を着ている体は栄養が足りておらず骨が浮き出ている。顔半分を覆う茶色い髪もボサボサで見た目の年齢で言えば十歳位、頬も本来は丸みを帯びているはずなのに、げっそりとしている。足は裸足で灼熱の砂漠を歩いたことで皮が捲れ爛れている部分も多い、そして砂や地層を掘り起こしたのか細く小さな指先は爪は剥がれ肉が見えている。そして頭の上には髪よりも少し暗い焦げ茶の猫耳。それも所々切れている。恐らく刃物で切られた跡。お尻の上から耳と同じ色の長い尻尾が生えている。そして体の至る所に見える傷。首には当然のように奴隷の首輪。
あまりにも痛々しい姿に泣きそうになる。
もっと酷い状態の人を見たこともある。けれど、それは神として見守っていた時の話。それは仕方ないと遠くで見ていた時の話だ。
こんなに酷い状態になるまで……。
私は人としての感情が大きくなるのを感じた。悲しみ、憐れみ、そして怒り。
そういえば、人ってこんなだったと頭の片隅で思った。
これからは、またゆっくり定期的に更新していきたいと思います。




