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冒険って突然始まるよね

第一話が説明文なら、今回はやっと物語の始まりみたいなもの。

まだまだ説明が多いかと思いますが、お付き合い願います。



「……い…だい……か」

「うーん、もう少し寝かせてよ」


肩を揺さぶられながら声を掛けられる。それを煩わしそうに払いのける。


まだ眠たい。もう少し……………………って、声??


私は急速に意識がはっきりしてくる。そこに再度、声が今度ははっきりと聞こえる。


「おい、ねぇちゃん。こんな所で寝てちゃ、あぶねーぞ」


目を開けてみると、私を見下ろす四十代くらいのおじさん………って。


「おわっ!あぶねぇな。いきなり起き上がるなよ!!」


私はすぐに横にしていた体を起こし、立ち上がる。驚くおじさんには申し訳なかったが、そんなことを気にしてはいられない。


ここはどこ?


私はさっきまであの空間にいたはず。

周りを見渡せばそこは森のようだった。森といっても木や草が生えてはいるがなんだか全体的に活気がないというか、痩せた大地という印象を受ける。それに、おじさんの格好を見れば厚手の衣類を着ている。たぶん今が冬だからか、元々ここがそういった土地だからか。なんとなく後者のような気がした。


「それにしてもこんな場所でそんな格好でいたら、凍えちまうぞ。とりあえずおらの村に来たらいい」


おじさんがそう言っているのを聞いて改めて自分の格好を見ると、白いワンピース一枚。


うん、寒そう。


寒そうっていうのは、私の周りは常に一定の温度を保つようにしている為、寒さも暑さも感じない。だから、服装がこんなでも寒さを感じないのだ。


でも寒さは感じないが、なんとなく体に違和感を感じる。

おじさんはあぁ言ってくれているけど、早くこの世界を確認しないと、それになんで私がここにいるのかも。そして、この違和感の正体も。


「おじさん、起こしていただいてありがとうございます。でも、すぐ近くに連れがいるので、そちらに合流しなければいけないんです。それに衣類なら、ほらここにありますし」


そう言って近くの木の陰に手を伸ばして一瞬で鞄を作り、それをあたかも木の陰に隠してありましたといった風に手に取る。そして、中からおじさんが着ている厚手の上着に似た物を取り出して見せる。


うん、物の作成は問題なし。


もちろん、連れというのも嘘だが正直ここがどこかもまだ分からない中で、この世界の人と長くいることはあまり好ましくない。

おじさんは連れという言葉に少し疑うような表情もしていたが、誰かも分からない人間にそこまで深くつっこむことはせずに「気をつけてな」とだけ言って去って行った。





「……帰れない」


おじさんと別れて、周りに人がいないことを確認してすぐに戻ろうとしたんだけど、なぜか上手くいかなかった。

とりあえず、他の人なんかに会うと面倒な為、一時時間を止める。生き物はもちろん、舞っている葉や風も全て止った。


「とりあえず確認しますか」


私はまずはこの世界のことを確認しようと意識を集中した。


「戻れんぞ」

「………いきなり出てこないでもらえます?」


目の前には私に「じゃ、あとよろしく」と言った神様がいた。

以前に会った時と全く変わっていない。その老人は「すまんな」と口では言っているが、悪びれた様子は全くない。

神として先輩であり、現在進行形で神様なので敬語で話すが、とりあえず文句は言っておく。


「前に会ったときに一つ言い忘れててな。いやぁ、長く神なんてやってると忘れることの一つや二つ……」

「わかりましたから、早く話して下さい」


「近頃の若者はこれじゃから」とかなんとか言ってたけど、この状態が今から話すことに関係しているのはわかったから先を促す。


話をまとめるとこうだ。

なんでも神は力が強すぎるが故にある程度、発散しておかなければならないらしい。世界を創ることも力を使うし、調整もそれなりに使う。だが、世界を創らなかったり調整もほとんど必要がなく、行わなければ力は溜まる一方。爆発してしまうという。

さっきまでの私の状態がその爆発一歩手前だったらしい。それでこの神様が気づいて私の力を別の形にして爆発を防いでくれたということだった。


………っていうか、爆発一歩手前って私そんあ状態だったの!?全然そんな感じなかったけど!でも、それでこの体の違和感の正体がなんとなく分かった。


「別の形、つまりこれですね?」

「その通りじゃ」


私は私自身を指さすと神様も頷く。

つまり私の力を使いこの世界に私という存在を作りあげたということ。

おそらく本体は今もあの空間にいて、もう少ししたら普通に目覚めるんだろう。

いくら神とはいえ、自分と同じものを作り出すのには大きな力がいる。見た目はもちろん中身、力まで殆ど一緒だ。

私がこのまま戻れば本体と合体してどっかーん。……それは嫌だなぁ。

爆発が言葉の意味そのままを表しているかはわからないが、良いものではないことは確かだ。それは私の直感がそう言っている。神の直感なんてほとんど予知みたいなものだけど。


「戻ることは出来んが、力はほぼそのままだし。怪我や病気で死ぬこともない……と、お前さんだったら、もうわかっとるな」

「えぇ、もう大丈夫です。この体のことも、私のことも」


それにこの世界のこともね。

私は話しを聞きながら、この世界のこと、そして私自身を確認していた。

とりあえず、力はこの体で動くだけで少しずつ使われるし、魔法なんかを使った場合も同様に力を使っていく。まぁ神の力だからそうそう無くなることもないだろうから、この世界を楽しみながら力を使っていこう。

力を使い果たせれば元に戻る、というかこの体は消滅するという仕組みのようだ。


神様はもう用は済んだとばかりにさっさと姿を消した。と思ったらすぐに戻ってきた。


なんなの?


「何でもできすぎるのもつまらんじゃろうて、少し制御しておいたからな」

「は?」


思わず間抜けにも声を出してしまう。それを面白そうに見ながら勝手に話を進めていく。


「この世界のことはある程度把握したじゃろ?これ以上の細かい部分まではわからんようにしたから自身で調べるなり聞くなりしてくれ。それから時間の操作な。これもやってしまうと大変じゃろうから出来なくしたからな。まぁ、過去に何があったか位は見られるようにしとるからそこまで不便は感じんかもしれんがな。そういうことじゃから、頑張れ」


そして今度こそ神様は去っていった。

制限を付けられたことを整理すると、世界の情勢についてはこれ以上詳しく知ることは出来ない。過去を見ることは出来ても、その場に行くなどは出来ないつまり時間の操作はできないということ。この二つ。

制御されたとはいえ、そこまで厳しい制限じゃない。むしろ、制限付けられなくてもこれ以上世界の情勢を知ることも、時間を調整することも必要としていなかったからどうでもいい。だって、これ以上知ってしまったらこれから先つまらないし。


「さてと、さっき確認した世界のことをおさらいといきますか」


ここは簡単に言えば剣と魔法の世界。

ついでにいえば、寝る前に確認しなきゃと思ってた私が創った世界の中で一番新しい世界。種族もさっき会ったおじさんみたいな人間だけではなく、他に獣人、エルフ、人魚、龍人が暮らしている。生き物はある程度、私が人間だった頃の世界に似た生き物を中心にしたけど、魔法があるから変異しているものも多い。

魔獣もその一種。魔法を使うものもいれば、力がめちゃくちゃ強かったり、体が大きかったり、小さかったりそれぞれだ。人(種族関係なく)を襲うものがほとんどだが、中には家畜として育てられたりしているものもいる。


なんで人間以外の種族がいるかって?

そんなん私の趣味ですけど、なにか?


他にも色んな種族を作りたかったけど、最初に言った通りあんまり色々詰め込むと世界が成り立たなくなってしまうので、結果五種類にしたというだけ。他にも妖精とか鳥人とか作りたかった。……別の世界で作ったけどね。

そして大陸は大きく四つ、それぞれに大きな国がある。他の国は大きな国の周りにあって、属国だったり同盟だったり。

それぞれの大陸の行き来はあるけど、距離もあるし、海には魔獣もいて危険だからある程度裕福じゃないと行き来はできない。結果商船中心。あとは貴族とかね。


今私がいるのは、険しい雪山の多い大陸「シルフィ」

そして近くには大国「アンディール」がある。


状況も、この世界も分かった所で、今後のことか。

なんでこの世界?っていう疑問もあるが、たぶんあの神様のことだ、きっと適当に選んだに違いない。

そこら辺は深く考えない。考えても意味ないし。

今回の事については私自身の力を発散させる為ということ以外に目的はない。だったらゆっくり、まったり世界一周でもしよう。

創りたての頃は何度か来たことがあったけど、ここ最近は来ていなかった。この数千年の間に変わっていることも多い。さっき世界の事情については大まかに確認したけど、確認しただけ。詳細については確認もしていない。

だって、全部分かっちゃったらつまんないじゃない?

新しい生物が誕生してたり、私が知らない面白いことがあるかもしれない。それを事前に全て知ってしまうのは、これから世界一周する上ではいらない情報だ。


そーだ!一人旅もいいけど、せっかく他に話せる相手がいるんだからパーティー組んで旅仲間的なのも面白そう。


この世界ではさっき説明した通り魔獣が存在し人に危害を加える為、それを退治する機関の一つとしてギルドがある。他にも国の軍隊や自警団みたいなものもある。ギルドでは冒険者として登録することで報酬を得ることが出来る。詳しい説明はまたギルドに行った時にでも。そして冒険者は一人で依頼を受ける者もいれば、数名のパーティーを組んで受けることも出来る。一時のパーティーを組むこともあれば、固定のパーティーを組んで各地を転々として活動する人達もいる。

私自身、別に能力の面では全く問題はない。と、いうより下手に人を連れていれば色々と巻き込むこともあると思う。裏切られることもあると思う。

巻き込んでしまうのは仕方ないけど、それは私が守れば良いだけだし。裏切りについては……絶対に裏切ることのない人選をすれば良いだけの話。心を縛り付けることも出来るけど、それじゃ面白くない。その人自身が望んで私と居たいと思ってくれるように私も努力する。それが面白いとさえ思う。

人と違うってばれても構わない。関係が変わらなければそのままだし、敵意を向けてくるなら、それは私自身の人を見る目がなかったってだけ。ま、それ相応に返すけどね。

とりあえずは、この不自然な格好含め準備からだね!



私は今着ているワンピースをこの世界に合った物に変化させる。

念じるだけで、ワンピースは淡い光と共に形を変える。光が消えると私は黒いパンツに焦げ茶色のジャケット、その下には白のシャツ。防寒として毛皮がついたフード付きのダークグリーンのコートに足下はショートブーツ。一応短剣も所持。基本は魔法とか体術でなんとかなるけど、形から入る私はとりあえず剣もって感じで。だって格好いいし。

黒髪に赤い目は特にこの世界でもいたはず。あ、黒い色は珍しいんだっけ…ま、いっか。珍しいだけでいないわけじゃないし。

見た目の年齢は十八歳位、この世界の成人は十六歳だからこのままでオーケー。

あとはさっき適当に出した鞄を持ってっと、これで良し。

鞄の中は異次元になってるから私が望めば何でも出し放題、入れ放題で容量なんてものはない。生き物だって入れようと思えば入れられる。ただ、時間の流れが違うから生き物がこの中に入ったら、たぶん人とかだったら気が狂ってしまう。

鞄なんてなくてもパッと出せるんだけど、それじゃさすがに…ねぇ。

少女の手からいきなりベッドとか出てきたらビックリでしょ。


「まずはアンディールへゴー!」



おじさんはただのおじさんです。

近くの村に住んで、森には狩りに来てました。黒髪にも驚きましたが、服装にもビックリしてとりあえず起こす。

そりゃ、寒空のしたワンピース一枚の女の子が倒れてたらビックリだよね。

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