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第九話

「ここが中庭。お昼はここで食べてる人もいるよ。普段はみんなの憩いの場かな。」

「へ~」


中庭の中心辺りに大きな木が生えていて、それに寄りかかりながら食事をしている人もいれば本を読んでいる人もいる。


「そして、ここは訓練場。ここでギルドの人達は自分の技を磨き、模擬戦などで互いに高めあってるんだ!」


砦の裏手に回ると柵で囲われたフィールドや射撃場、人形がいくつも置いてある。


「ほれ、あれを見てみろ。」


アナンタが指さす方向を見ると、アレックスの言っていた模擬戦が始まろうとしていたところだった。審判が戦闘の開始を告げると両者ともに呪文を唱えると使い魔を呼び出し、戦い始めた。術者の人は途中、使い魔を魔術で強化して援護などもしていた。


「うわ~!やっぱり召喚術士ってあんなふうに戦うのか。」

「基本はね。その戦い方が伝統的って言う人もいるけど色々な戦い方があるからね。」

「アレックスも?」

「そうだね、僕は弱いから前に出れないんだ。アナンタがいないと戦えないんだよ。」

「主には我が必要なのだな…///」

「ん?アナンタ、何か言った?」

「い、いや何でもない…」


(へ~なるほどね~。アレックスは鈍感な主人公みたいな感じか。)


「そうだなぁ…カムイ君。一通り訓練してみる?」

「いいの!?」

「うん、このまま案内しても退屈だしね。準備するから少し待ってて。」


アレックスは何かを取りに砦の中に入っていった。

残された僕とアナンタの間には何とも言えない気まずい空気が流れている。


「えっと、アナンタはいつからアレックスと組んでるの?」

「…最近からだ。我が何者かに襲われて翼を休めている時に助けてもらった。」

「なるほど。じゃ、今は助けてもらった恩返しってとこかな?」

「フッ、恩返し…似たようなものか…」

「いや、惚れてるからかな?」

「ブッ!な、何を言ってる!?」

「え?違うの?」

「ち、違う!会ったばかりのお前に何がわかる!」

「いやいや、僕だけじゃないと思うけどみんな気づいてるんじゃないかな?」

「!?」

「多分。」

「…それは、我が主もだろうか…?」

「ううん、それはないね。」

「ふう。」

「おーい。お待たせー。」


そこで、アレックスが武器を抱えながら戻ってきた。


「お、2人とも仲良くなったみたいだね。けど、カムイ君アナンタを横取りしちゃや~よ。」

「アハハ、僕じゃ無理だって。」

「はい、これ。使ってみる?」


そう言ってアレックスが渡していたものはボルトアクション式の長銃だ。

見た感じ前世でのドライゼ銃に近いようだ。

ボルトアクション式とはボルトを手動で操作することで弾薬の装填、排出を行う機構を組み込まれている。これのおかげでそれまでのマスケット銃やゲベール銃、日本の火縄銃などの前装銃に比べてはるかに早い発射速度を実現することができた。

この銃があることからこの世界の文明レベルが高い水準にあるのがわかる。


「この銃は最新型?」

「そうだね。でも、1丁の価格が高いんだけどこのギルドではかなりの数を保有してるよ。」

「ふむ、借りるよ。」


射撃場にまで移動して的に向かって構える。フロントサイトを目標に合わせ、リアサイトの溝の間に見えるようにして狙う。引き金を引くとドン!と言う音とともに肩から衝撃が伝わってきた。的を見ると中心に弾痕ができている。


「おっ!一発目から当てていくとは。もしかして、撃ったことがあるとか?」

「…うん、まあね。」


(前世のハワイでおやじ習ったなんて言っても通じないしね。)


この日は一日中、射撃場で銃を撃ちまくっていた。

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