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第四話

翌日、盗賊たちに叩き起こされた。

朝食だと言ってパサパサのパンと水がだされる。パッパッと口に運び食事とも言えない食事を済ませる。

羽馬を見ると昨日の僕と同じように魂の抜けたような状態で話しかけても適当な返事しか返ってこない。


「…お友達残念だったね。」

「ああ。」

「大丈夫?」

「大丈夫?僕が大丈夫に見える!?昨日、友達が死んだところなんだぞ!それも、あんな無残な姿で…!」


昨日の狩野の苦痛に歪められた顔が頭の中でフラッシュバックする。

ハッとなって我に返ると突然僕が大声を出したせいで周りから一気に注目された。羽馬も突然の大声でどこかに行っていた意識が戻ってきたようだった。


「…ごめんね。」

「ううん、君は悪くないよ。僕が勝手に八つ当たりしただけだから。ごめん。」

「あの、言いづらいことだったらいいんだけど君たちはどこから来たのかな?」


一応、僕たちの事なので羽馬の方を見ておくと羽馬もうなずき返し話す許可を得ておく。


「…こことは別の世界から来たんだ。」

「別の世界?どうしてグレイアステルに?」

「前の世界で僕たちは死んでるんだよ…。」

「バスの…いえ、馬車で崖から落ちたんです。事故ですよ事故。転生できてラッキーだったと思います。」

「そうだったの。君たちが見慣れない格好をしているのも異世界人だからなのね。」


あれ?

違う世界の住人だと知ってもう少し驚くと思ってたんだけど意外と驚かない。

魔術とかがある世界だと他の世界を行き来することも可能なのだろうか。


「驚かないんだね?」

「たまに転生して来たりする人がこの世界を発展させ来たんだよ。今は異世界人はいないって聞いてるけど。」

「そうですか…。」

「同じ世界から来た人がいないかと思ったんだけど無理があったか。」


そこから、僕たちは少女に今いる世界について教えてもらった。

今僕たちがいる世界がグレイアステルと呼ばれること。

グレイアステルには大きく分けて魔族、人間、龍人、エルフ、ドワーフ、獣人の6種族がこの世界で暮らしていること。

冒険者という役職があり、それは依頼を受けて魔物の退治やキャラバンの護衛など危険な依頼をこなして高い報酬を受け取れる仕事だということ。

同じ目的や気の合う冒険者が集まって出来上がる集団を『ギルド』と呼び、ギルドの名が上がり国や組織に貢献すると美味しい依頼を優先的に回してもらえるようになること。

冒険者の登録、ギルドの結成などの業務を行ってそれらを管理する監理局が依頼の斡旋や発注をしていること。


「へ~、魔物ですか。」

「冒険者か~。」

「そんな事よりもここから脱出する方が先なんだけどね。」

「まだ何か方法があるの?」

「しっ、静かにして!」


扉の向こうから足音が聞こえ盗賊が姿を現す。牢屋を一通り見回すと僕らの方で目を止めて下卑た笑いをしながら歩み寄ってくる。そして、羽馬牢屋を開ける。


「おい、お前。来い。」

「は、はい。僕ですか?」

「そうだ。早く来い!」

「い、一体何の用ですか?」

「いいから来いって言ってんだろうが!」

「グァ!」


そう言って盗賊は羽馬を殴る。

倒れた羽馬を更に蹴ると頭を掴んで引きずって行く。


「おい!羽馬の代わりに僕を連れて行け!

「ちょっと、君!」

「ああん?」

「八坂君…!」

「お前がこいつの代わりになるのかぁ?」

「ああ。」


狩野の顔が頭をよぎる。3人で旅行に行ったりした楽しい思い出。

もう、これ以上友達を失いたくないんだ…!だったら僕が身代わりになればいい!


「八坂君。僕の事は気にしないでください。」

「らしいぜ?お前の出番はまだだ。大人しくしてな。」

「羽馬!」

「黙ってろ!」


僕がしつこく叫んでいたせいで盗賊に殴られた。

羽馬は優しく笑いかけるように「大丈夫です。」と言うと盗賊に連れていかれた。

疲労がたまっていたのか一発殴られただけで僕は気を失ってしまった。

…またか。また、友達を失うのか!

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