第1話 いつものように
秘密や恋愛、友情、成長をテーマにしていきたいと思います!
「疲れたわ」 そう言って、彼女は手にした本を閉じた。長く腰まである髪を手ではらい、正面をみつめる。 「ですが、姫。まだお時間がありますがー」 彼女はすっと立ち上がり、扉を開けはなち、出ていった。 神官のローゼは老いぼれた顔に、深い深い皺をよせた。大きなタメ息がこだまする。 「またか…いったいどうしたものか」 ローゼが姫付きの教師となってから、早一週間、姫はいつもこんな調子だ。途中で出ていってしまう。 「はぁ…」 何度目かのため息をつき、ローゼは頭を抱え込んだ。 「まったく、なんなのかしら、あの神官は!」 姫のレイアは憤懣やるかたない。本から何を学ぶことができるとゆーのか。みんな間違ってる。 「大人はいつもそうよ!頭に詰め込めばいいってものじゃないのよ」 レイアは白い頬をほんのり紅くそめ、地下牢を歩いていた。今は使われていないその道は町の路地裏のさびれた家につながっている。手慣れた様子で歩きながら、ようやく明かりが見えてきた。 「みんないるかしら」 レイアは町の中央にある学舎にむかった。