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「僕」没ver第一章

ほ「ふぅ・・・ユイちゃんにめっちゃいぢめられた・・・。酷い目にあった。精神を破壊されるかと思った」

ミシェル(以下ミ)「あら、ほーらいじゃない」

ほ「ひぃ!? こ、今度は誰!?」

ミ「別に取って食いやしないよ。ねえジェームス」

ジェームス(以下ジ)「座んな。大したもんはないがな」


――ほーらい、恐々と一同の中に座る。


ほ「あの・・・“作品”にしたりしませんか?」

ジ「今は引退した身だ。最近は筆を振るうこともなくなった」

ほ(とりあえず安心・・・)

ミ「ほれ、ウィスキーだよ」

ほ「あ、ありがとうございます。あ、美味しい」

ミ「当り前さね。オキシデリボ社特製のウィスキーだよ」

ジ「ほれ、食えよ」

ほ「わあ! カシューナッツだ!」

ミ「デオキシリボ社製の有機栽培したモノを加工したもんさ」

ほ「これも美味しい! もらってばかりで悪いね」

ミ「気にしなさんな。あんただって苦労してるんだろ?」

ほ「うう・・・この人達、敵だけどいい人ばっかりだ・・・」


――しばらくお酒を楽しむ三人。


ミ「さて、本題に入ろうかね」

ほ「そうですね」

ジ「今回は没にしたverの第一話だったか?」

ほ「うん。今回は最初の頃に書いたヤツなんだ。あまりにも説明的過ぎて読みにくいから没にしたんだよ」

ジ「まあ正解だな。今回のはちょっと読みにくい」

ミ「なんか私にも変な癖あるし、これはやめてよかったわね」

ジ「結局採用しなかったんだろ? それならそれでいいじゃないか」

ほ「よかった・・・ボロクソ言われるのかと思ってドキドキしてた・・・ありがとう悪役のみなさん!」


1945年に第二次世界大戦が終結して以来、世界的な軍縮が行われつつあった。

核兵器の撤廃、火器の携帯を禁止、あるいは制限する各国の法律、そして軍事基地の縮小及び撤退運動。

第二次世界大戦以後も朝鮮戦争や、ベトナム戦争などの戦争は度々起こってはいたものの、その規模は確実に小さくなりつつあった。

2047年には、アメリカ、ロシアを除く全世界の各国から核兵器が完全に破棄され、2062年にはアメリカ、ロシアもわずかに10個を残して原水爆弾が完全に解体破棄されることとなった。

そして、2070年に核融合発電の技術が完成し、世界中で核というものは平和のために使われる技術である、という認識が常識となりつつあった。

しかし2094年、アフリカで『ロベミライア』という名の一つの国が誕生する。

核兵器を使用した軍事クーデターを起こして独立、南アフリカの国を武力にて統合し、一気に勢力を拡大 したロベミライアはアフリカの地下に眠る豊富な資源と、どこから得たのか最先端の科学技術を利用して、様々な軍事兵器や技術を開発していった。

中でも、遠く離れた土地に物体を移動させるという、転移技術を完成させたことは大きな軍事的アドバンテージを生み出した。対象となる都市の上空に核兵器を内蔵した生物を召喚する、召喚型生物核兵器という強力な核兵器が開発され、ロボミライアは各国を次々に制圧していった。

そんな中2100年、遺伝子工学で有名なオキシデリボ社はアメリカ及び国際連合の許可を得て、アメリカの国土内にある無人島を買い取り、永世中立都市を建造する。それがこのヘヴンである。ロベミライアとも条約を結び、攻撃の対象となることがないこの都市は、その名の通り、天国をイメージして造られた。その住民は主にオキシ

デリボ社社員とその家族、そしてオキシデリボ社の経営する孤児院に収容されている児童及び、都市建造後に孤児院を出た者に限られている。教育、医療、介護も完璧で、それは地上最後の楽園とさえ言われている。ここでオキリデリボ社は研究を行い、優れた遺伝子工学技術を生かした様々な医療品を開発し、世界中に送り出し、そ

の対価として様々な技術を取り入れて、日々躍進しているのである。

今やその顧客はロベミライアさえも含まれ、転移技術を利用した遺伝子組換え技術すらも研究されている。


「はい、ここまでで何か質問は?」

教科書を持ち、電子黒板の前で歴史の授業を行っていた女性は、一度顔を上げて生徒達を見回す。

「はい、ミシェル先生」

手を高く掲げる生徒……黒髪の少年が女性に尋ねる。

「はい、レン。何かしら?」

レンと呼ばれた生徒は立ち上がって、教科書を手に持って質問する。

「召喚型核兵器って何ですか?」

「私も詳しいことはしらないけどね、何でも自分で考えるAIを搭載してて、翼で飛行し、地上に降りた後は二足で歩行する。そして、都市の中でも特に心臓となる部位まで移動し、爆発して壊滅させる。そういう性質を持った生物兵器だそうよ。その形が竜に似てることから、ドラゴンって呼ばれてるわ」

「普通の核兵器と違うのは……自分で被害がより大きくなるところまで移動するっていうところですか?」

「そういうこと。しかも、生物自体がかなり巨大らしくて、移動中にもあたりに被害を及ぼすから、余計に始末に終えないみたいね。ミサイルなんかで攻撃しても止まらないし、撃退するのも困難なのよ」

ミシェルは黒板の前を行ったり来たりしながら説明する。それをレンは聞き漏らさないようにしながらノートに書き写す。

「でもまあ、ここヘヴンでは条約があるから、ロベミライアも攻撃してくることはないわ。オキシデリボ社を敵に回すってことは、ある意味アメリカを敵に回すよりも大変なことだからね」

そのとき、一人の金髪の少女が手を挙げる。

「オキシデリボ社はそんなに影響力がある会社なんですか?」

「リサ、よく聞いてくれたわね。我がオキシデリボ社は、年間600億ドル相当の収益を上げる世界最大規模の大企業なの。遺伝子工学を利用した強力な傷薬は多少の傷であれば一日で治癒させ、抗ガンじゃなくて滅ガンを目的とした遺伝子治療薬はガンを治る病にしたわ。他にも致命的な病や家系が関係する遺伝病も根本的な治療を行え

る特効薬を開発したのもオキシデリボ社。医療のみならず、食品部門においても鶏に牛や豚を生ませることに成功したりしているわ。生物資源部門においても、海水と二酸化炭素からガソリンを生成する微生物を生み出したり、海水から金を取り出す微生物を生み出したりと、素晴らしい成果をあげているわ。それから……」

「あ、えっと、つまり世界の中でも強い影響力を持っているから、逆らったら大変なことになる、ってことですね!」

ミシェルは孤児院の教師であるが、それと同時にオキシデリボの社員であるため、会社の話を始めると止まらなくなるという癖があった。

「……まあ、そういうことね」

ミシェルは不機嫌そうな表情を浮かべながら頷く。やはり、話を中断させられることは彼女としても好ましくないことのようだ。

「他に質問がなければ進めるわね」

彼女は教科書に目を落とすと、再び説明を始める。


オキシデリボ社が建造したヘヴンは、アメリカ国内にありながら、アメリカとはまったく違ったルールで動く、言わば都市国家とも言える存在である。

わずか5キロ平米の面積しかないにも関わらず、人口は約500万人。住民全員がマンションに住むため、土地を無駄なく使用できる。

島内の主要な場所に24時間経営のリニアモーターカーが通っており、無料で利用できるため、自家用車は不要である。

研究施設は一ヶ所に固まっており、仕事に出てきた人々が施設内を移動しやすくなっている。

そして、買い物をするときも自宅から注文するだけで、銀行から自動的に引き落としされ、自宅へと配送されるようになっているため、わざわざ重い荷物を持って移動する必要もない。もっとも、特殊な品物や手に入りにくい品物は届くまで時間がかかってしまう。

アメリカ本土へのアクセスは船で30分である。ただし、こちらは有料な上、生活必需品を運送するための船なので乗り心地が悪く、一週間に一本しか通っていないため、ほとんど利用する者はいない。

未だ30年程度の歴史しか持たない都市だが、その機能は世界中のどの都市よりも優れたものとなっている。


「じゃあここで問題。ロベミライアから技術提供を受けた転移技術ですが、なぜ、移動手段に用いられないのでしょうか? わかる人は挙手お願いね」

しかし、教室内で誰一人として手を挙げる者はいない。ミシェルはふうと息を吐いてからもう一度尋ねる。

「この前の授業でやったわよね? 誰もわからないの?」

「あの……」

その時、レンがおずおずと手を挙げる。

「ミシェル先生……言えと言うならあの説明を繰り返しますが……一般人の僕達にはわからないですよ……」

「あら、そんなに専門的な言葉を使ったかしら?」

レンはノートを手に取り、その内容を読み始める。

「」

「あー……悪かった。私が悪かったわ。だからその棒読みをもうやめなさい」

レンは開いていたノートを閉じる。

「あなた……いつの間に速記なんて習ったの……?」

「本を読んで学びました」

ミシェルは教科書を閉じて机の上に置いた。

「ふう……まあいいわ。とりあえず、今日の授業は終わり。すっ転ばないように宿舎に戻るなり遊びに行くなりしなさいね」

そのままミシェルは教室から退出する。生徒たちは素早く片付けを済ませて飛び出していく。

そんな中、一人だけいつまでも席を離れず、ノートに何かを書き綴る者がいた。

「レン、いつまでやってるの?」

二つに束ねた金髪を揺らしながらリサは尋ねる。

「……戻るなり遊びに行くなりしなさいね……と。」

レンはリサには読むことの出来ない記号のようなものをノートに書き込むと、そこでレンは初めて顔を上げる。

「リサ、何か言った?」

「いいえ、別に何も言ってないわ」

リサは自分の教科書を抱え上げると、レンのノートを引ったくり、ぼす、と頭をひっぱたく。

「いて、何すんだよー……」

「女の子を待たせた罰よ。さ、さっさと行きましょ」

リサはレンが片付けを終えるのを待つこともなく、先に歩き始める。

レンは急いで片付けを済ませると、リサの後を慌てて追った。


レンとリサは今年18歳を迎えた孤児の子供である。

物心付いた頃から孤児院で過ごしているので、本当の親の名前も自分の名前も知らない。

二人が聞かされた話によると、レンは日本で、リサはアメリカで保護された孤児らしく、髪も肌の色も、もちろん目の色も何から何まで違う二人だった。

だが、二人にはそんなことは全く関係なかった。ただ一緒にいるだけで楽しい。それだけの理由で十数年もの時を過ごしてきたのだった。

親友以上、恋人未満。そう表現するのが一番ぴったりなのではないかと思える二人は、ともかく何をするにも一緒だった。


「レン、暑いしシーソルトアイスでも食べに行かない?」

リサは宿舎から出て、頭上で輝く、例年よりやや早い夏の太陽を恨めしそうに見上げながら提案する。

「もうそろそろ夏だからね……。いいんじゃないかな。僕は賛成だよ」

レンもいつもより厳しい初夏の陽光に目を薄く開けながらリサに同意する。

「やった! じゃあレンのオゴリね!」

「またかい? まったくリサはお金の使い方が荒すぎるよ……」

「えへへー、だって欲しい漫画の最新刊の単行本が出たんだもん」

「漫画を買うばかりじゃなくて、小説を図書館で借りるとかしたらどうだい?」

リサは苦笑いを浮かべながら口を尖らせる。

「だって活字ばっかり読んでると肩凝るんだもん」

「でも、本から手に入る知識は宝物のように尊いんだよ。ミシェル先生もいつも言ってるじゃないか。自らのためになる物は自らを殺してでも手に入れろって。ミシェル先生の喩えは言い過ぎだけど、自分のためになることは多少の苦労をしてでも手に入れないとね」

「活字中毒のあんたには苦にもならないんでしょうけどね」

リサは目の前にシーソルトアイスの露店が見えてきて、嬉しそうに走り始める。それを見て、レンは溜め息をついて、けれども笑みを浮かべて露店にかじり付くリサを見る。

「おばちゃん! アイス二つちょうだい!」

「はいはい、カードを拝見させてくださいな」

後からやってきたレンは懐からカードを出して、露店の老婆に手渡す。

「はいはい、確かに。引き落としは二つともこのカードで?」

「お願いしまーす!」

老婆はそんなレンとリサの様子を見て、笑いながらカードを機械に通す。このカードは島民の身分を保証すると同時に、クレジットカードにもなる物だ。買い物はこれ一つで全部済んでしまうため、一切現金を持たずに済むようになっている。また、万が一紛失した際にも電話一本で再発行及びカードの利用差し止めも可能な安心設計となっている。

「はい、どうぞ」

老婆は二人にアイスのカップを手渡す。リサは受け取ってすぐにスプーンでアイスを口に運ぶ。そして、光惚した表情を浮かべる。

「爽やかでほんの少し香るような海の味と、あとから来るあまぁーあいバニラが口の中で弾けて……し あ わ せ ☆」

レンもカードをしまってからアイスを口に運ぶ。

「不思議だよね。メロンに生ハムとか、スイカに塩とか、甘いものにしょっぱいものを合わせると、より甘さが引き立てるんだよね」

「それに加えて、うちのアイスはオキシデリボ社特製の品種改良されたバニラビーンズを用いたバニラエッセンスを使ってるから、香りが違うよ。固形潮香料も使ってるから、海の香りもばっちしさ」

「また機会があったらまた買いに来ます」

リサは近くのベンチに駆け寄ると、座って楽な姿勢をとってからもう一度アイスを口に運ぶ。

「ひゃーん! たまらなぁ~い!」

「少し落ち着いて食べたら?」

「まったくもう! お固い本ばっかり読んでるから感受性がないんじゃないの? 心も惚けてしまいそうなこの感覚を心から感じることが出来ないなんて、レン、あなたが憐れ過ぎて涙が溢れそうだわ」

そう言って目元に手を当てるリサ。無論嘘泣きである。

レンは静かに、けれどもゆっくり一口ずつ味わいながら、冷たくて甘い感覚を楽しむ。

レンとしても、このアイスは踊り出してしまいそうなほど心地良いリズムが、彼の口中で奏でられているように感じていた。

喩えるならば、それは緩急のある流れるような二重奏。潮の香りとバニラの香りが混ざり合い、調和の取れた音楽が心の奥まで響いていくよう……。

むしろ憐れむべきは、貧相なボキャブラリーでしか表現することしか出来ないリサの方だ、とすらレンは思っていた。

……つまるところ、どっちもどっちなわけである。



日が傾いできた頃、二人は宿舎へと戻ってきた。

思ったことを相手に伝えず、心の内で一通り笑うだけで済ませるレンと、不快だとか、不満だとか、不平だとかを相手に直接ぶち撒けるリサ。この二人だからこそ、今まで大きな衝突もなくやってこれたのかもしれない。

今日も、お互い相手を侮蔑するようなことを思い、言った二人だが、何の衝突もなく戻ってきた。そんな二人の表情は出ていった時と何ら変わりはない。いや、美味しいアイスを楽しんできた分だけご機嫌だと言えるだろう。

「レン、今日はアイスありがと」

「どういたしまして。これで一個貸しだよ」

どんな些細なことでもきちんと礼を言うのがリサ流だ。

それに対して、必ず貸しにするレン。もっとも、それが支払われたことは今までで一度もないが。

「これで私の借りいくつになった?」

「えーっと……1026個かな」

「わお! いつの間に四桁突破してたの?」

「二週間前にリサの下着が盗まれたときに、犯人をとっ捕まえた時が記念すべき1000個目の貸しだよ」

「あー、あの時かぁ……あの時は凄まじかったわね」

二人して頷きあう。偶然近くを通りがかかり、二人の話を聞いて、思わず体を縮こませる少女が一人。無論、彼女は事件の当事者たちとは無関係な、ただの目撃者である。第三者から見てもそう思われるのだから、実際のところは本当に凄まじかったのだろう。

「ま、いつかまとめて返すわよ」

リサは女子部屋の方へと歩いていく。レンはそれを見送ってから、自分の部屋の方へと向かう。

「あ、レンさんお帰りなさい」

彼が部屋に入ると、何人かの男子たちが迎える。レンはこの院の中でも5人しかいない最高年齢の一人である。一人はレンで、もう一人はリサ、他には男子2人と女子1人である。

「レン、もう就職先希望カード書いたか?」

レンの方へと一人の男子が歩いていく。彼も18歳の少年である。

「うん、もう書いてミシェル先生に提出したよ。アランはまだ書いてないの?」

少年……アランはぽりぽりと頭を掻きながらカードを見せる。

「いやぁ俺さ、研究職は似合わなそうだし、それに本当のアメリカってのを見てみたいからさ、この島を出ようかなって思ってんだよ」

この孤児院は18歳になった年度を過ぎると出なくてはならない。ほとんどは本社に就職するか、街で働くようになるのだ。

島を出ようと思う者はほとんどいない。島の外では依然戦争が続き、いつ死んでしまうかわからないからだ。

「アラン……それ、意味わかってる?」

「ああ、わかってるさ。ここが安全な天国だってこともわかってる。でもよ、飽きたのさ。そんなぬるま湯みたいな生活がよ」

「君の性格なら確かに退屈かもしれない。でも、悪いことは言わないよ。それはやめた方がいい。無駄に命を捨てるだけさ。せめて戦争が終わるまで待ったらどう?」

「この戦争は終わらない。ロベミライアが世界を滅ぼすまでな。どう考えたってロベミライアが強すぎる。お前だって知ってるだろ? ポーランドの辺りが壊滅したことをさ」

「それは……知ってるけど……」

世間ではクラフク事件と呼ばれているそれは、ロベミライアの攻撃によって引き起こされたものだった。

時間の進む速度が違う亜空間を利用する転移技術は、確かに長距離へ物を送ることができる技術ではあった。だが、亜空間は“こちら側”とは物理法則も異なる。未だ研究中だが、転移技術によって亜空間を通った物品の性質が変化したという事件は山ほどある。だが、この事件はその中でも特に変わったものだった。

爆発による破壊よりも、放射線による人間の殺傷を目的とする、中性子爆弾を搭載したドラゴンがイギリスへと転移される予定であった。だが、それは通常の場所とはまったく異なる位置へと転送され、また爆弾の性質も変わってしまった。東欧に位置するベラルーシの上空に転移されたドラゴンは、地上に降下することもなくそのまま上空で爆発した。

性質が変化した爆弾は、小型のブラックホールを発生させ、地上に落下して蒸発し、消滅した。ほんの一瞬の出来事だったが、それは甚大な被害を発生させたのである。

中心から約32キロの地域は一瞬で炎上し、約2200キロ平方メートルの地域が衝撃波により破壊された。中心からおよそ1000キロ離れた地域にまで被害は及び、結果として総死者数数百万人、負傷者は数千万人となる未曾有の大災害となったのだった。

「でも……そんな事件があったんだから、なおさら出ちゃダメだ!」

「俺が言いたいのは、そういう事故でここがぶっ飛ぶ可能性があるってことだ。それに、ロベミライアは事故だって発表してるがそれが本当かどうかはわからない。噂じゃあポーランドでオートマータとは異なる、人が操縦する人型戦車が開発されてたらしいしな」

「それって……日本が発表したアームドモジュールと同じようなモノ?」

「さあな。何しろ噂だし、ここはただでさえ外の情報が入ってこない。だから、俺はここを出たいのさ。本当のことを知りたいんだよ」

そう言ったアランの目は真剣だった。自らの身を危険に晒してでも世界を知りたいという思いは本物なのだろう。

「アランがそう言うなら……。でも、僕はあんまりよくないと思う」

「大丈夫だって。俺がそう簡単にくたばるとでも思ってるのか?」

「あはは、確かに。アランならいつまでもしぶとく生きてそうだよね」

アランは笑いながらカードをぷらぷらとさせる。

「じゃ、ここには冒険家とでも書いとけばいいのか?」

アランは手に持ったボールペンのキャップを抜いて手に持ってから、顎の辺りに手を当てて考える。

「いや、どうせならトレジャーハンターとでも書いとくか」

アランはボールペンを滑らせてカードに書き込む。

「ひひ、ミシェル先生なんて言うかな?」

「あはは、笑ってもう一回書き直してきなさいって言うかもね」

二人は顔を見合わせて笑いあう。レンとアランの間には、リサとは違った友情があった。付き合いの長さはほとんどリサと変わらない。リサとは違うキャラクターであるが、けれども気さくでとても楽しい少年で、レンも彼のことを気に入っていた。



ジ「途中で終わってるんだな」

ほ「書きかけでやめちゃったからね」

ミ「基本的な流れは同じだけど、微妙に展開が違うのね」

ほ「うん。ユイちゃんとか出てこないし」

ジ「というか、第三部までの内容と矛盾する内容もあるな。核兵器は使わないことにしたんだろ?」

ほ「そうだね。コレ使っちゃうと転移+核兵器で無双できちゃうからね」

み「そりゃ未曽有の危機だよ。某野球選手のレーザービームじゃないけど地球崩壊するね」

ほ「イ○ローかっ!」


――次回より第二部「俺」の設定資料が始まるよ!

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