『夕闇の囁き』
以下から記載するのは『夕闇の囁き』という実話怪談書籍からの抜粋と、それに関連する記載のまとめとなる。
『夕闇の囁き』p.157より
とある清掃員から聞いた話である。
私はこのような職業をしているため、よく仕事などで訪れた先で「何か怖い話を知らないか」と聞くことがある。この日も、とあるショッピングモールで行われる夏の企画、お化け屋敷の監修に呼ばれたために某ショッピングモールに仕事に行っていた。
このショッピングモールはできたばかりの場所であり、そんな曰くがあるような土地では無いということも知っている。しかし、休憩中にとある清掃員、Tさんと話す機会があり、このような話を聞いた。
清掃員はもう定年後のセカンドキャリアとしてこのショッピングモールの清掃員として働いているらしく、以前は学校の用務員などをやっていたらしい。
用務員時代などに何か怖い話があったかもしれないと思って話を聞いてみたところ、以下の話を聞くことができた。
このショッピングモールにまつわる話だ。用務員時代の話では無いことが少し意外だったが、少し奇妙な話だったためにこの本に載せさせていただく運びとなった。
前述した通り、このショッピングモールはまだできたばかりだ。しかし、営業終了後に奇妙なことがあるという。
清掃員である彼は、営業終了後にショッピングモール各所にあるゴミ箱の中のゴミを回収する仕事がある。その日は忙しかったため、いつもは2人1組でやっているゴミ回収の仕事をひとりひとりでやることになってしまった。
時折ある話だそうだ。仕方ない、と思いながらTさんはゴミを回収しに回っていたそうだ。
そのとき、ふと違和感を覚えた。
このショッピングモールには棟がふたつあり、その渡り廊下のところに誰かがいるような気がしたのだという。
渡り廊下はもうすでにシャッターで閉じられている。もしいるとしたらかなりことだ。
警備員に通報しなければいけない、と思ったTさんはとりあえず本当に人がいるかどうかを確認しなければとそちらの渡り廊下に近寄っていった。
やはり人影はあった。しかし、様子がおかしい。
多すぎるのだ。
どろどろと溶けたような、泥が形をとったような人だったという。目があるべき場所に目はなく、口だけが顔面を覆っている。開いた口からはどぼどぼと泥を垂らしていた。
人間では無い、と確信できるものだった。それが無数に、渡り廊下に存在している。
流石のTさんもそこから逃げ出し、あとから警備員と向かったという。そこには何もなかった。だれも、いなかったという。
Tさんはそう話した後、私に語った。
「はきだまってるんやろな、あそこは」
「結構この前にあった建物があったからなぁ」
「そこでの色んなもんがはきだまってあれになったんやと思ってるよ」
それがどんな意図で紡がれたものなのか、私にはわからなかった。
お客様からの声:○月×日 主婦
内容:閉店後に渡り廊下が閉じるからと追い出されました!中にはまだ子供がいたように見えます。私たちが追い出される理由はなかったんじゃないですか?
店舗からの返信:ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません。閉店後は安全のため、渡り廊下のシャッターを下ろしております。その際、お客様の退店を確認してからシャッターを下ろしておりますので、もしシャッター内に閉じ込められているお客様を見かけた場合にはお近くの警備員にご連絡ください。
お客様からの声:○月×日 主婦
内容:渡り廊下に何かいます
店舗からの返信:把握しております。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
店舗の連絡ノート:2階/女性向け服フロア
内容:最近、閉店後に渡り廊下に誰かがいるという話があがっております。もし閉店作業中に、渡り廊下の方に何かを見た場合には閉店作業の途中でも店の鍵を閉めて退店していただいてかまいません。
また、そういった都合があるため、入金に関しては締め作業の一番最初に行なっていただくことを推奨しています。
入金前でも渡り廊下に何かがいるのを見た場合、その旨を防災センターに伝えた上で退店してください。




