第3章:愛憎の告白と、渇望の解放
ガウンが床に落ち、麗奈の完璧な裸身が月明かりの中に露わになった瞬間、俺の視界は、美しさと罪悪感で白く霞んだ。
彼女は、離婚を経てさらに成熟した、自信に満ちた肉体を持っていた。
かつて、俺の親友であった淳史が最も愛した身体。
その事実が、俺の背徳的な興奮をさらに煽る。
「どうしたの、秀樹? 固まっちゃって。そんなんじゃ、私の『題材』にはなれないわよ」
麗奈は、妖艶に微笑みながら、ゆっくりと俺に近づいてきた。
彼女の歩みは、獲物を追い詰める狩人のそれだ。
俺は、自分の体が意志とは無関係に熱を持ち、全身の血液が頭と股間に集中していくのを感じていた。
三十年間の渇望が、今、目の前の禁断の果実によって、一気に爆発しようとしている。
麗奈は、俺の正面に座り込み、その滑らかな肌を俺の太ももに触れさせた。
冷たいシルクのような感触が、熱くなった俺の肌に、戦慄を走らせる。
「服を脱ぎなさい、秀樹。童貞の男は、脱がされるのを待ってるんじゃないわ」
その声は、命令であり、同時に誘惑でもあった。
俺は震える指先で、シャツのボタンを外し始めた。
慣れない手つきで服を脱ぎ捨てていく俺の様子を、麗奈は静かに、そして探るような視線で見つめていた。
彼女は、作家として、俺の未熟な反応を全て記憶に刻もうとしているようだった。
肌が触れ合う瞬間、電気のような強い衝撃が走った。
麗奈は、俺が全ての服を脱ぎ終えるのを待つと、膝をついて俺の腰に手を回した。
「本当に……温かいのね。今まで誰にも触れられなかった熱が、ここに詰まってる」
彼女の手が、俺の最も敏感な部分に触れたとき、俺の喉から、今まで聞いたこともないようなうめき声が漏れた。
「麗奈……っ」
「いいのよ、秀樹。抵抗しないで。すべて私に支配されなさい」
麗奈は、まるで俺の全身の血液を操るのように、その指先で優しく、しかし確実に、俺の熱を解放へと導き始めた。
その手つきは、優しさの中に、経験と計算が混じり合っているように感じられた。
彼女は、小説を書くように、俺の身体という原稿を丁寧に読み解き、構成し、最高のクライマックスへと導こうとしている。
「ねぇ、秀樹。淳史とは、こんなこと、しなかったでしょう?」
彼女の囁きは、俺の罪の意識を刺激し、同時に官能の毒を注入する。
俺は、目を開けたまま、目の前の麗奈の表情を見つめた。
彼女の瞳は、情欲と研究心で、鋭く光っていた。
「淳史は……俺の親友だ。でも、俺は……っ、ずっと……お前が好きだった」
我慢し続けてきた禁断の告白が、今、この背徳的な状況の中で、衝動的に飛び出した。
麗奈の手が、一瞬動きを止めた。
彼女の瞳に、初めて動揺の色が走る。
「……バカね。こんな時に、そんなこと言うなんて」
だが、彼女の口元には、隠しきれない喜びのようなものが浮かんでいた。
彼女は、俺の熱を再び掴むと、さらに強く、深く、絶望的な快楽の淵へと引きずり込んだ。
俺の未熟な身体は、麗奈の技術と情熱の前に、為す術もなく服従した。
三十年のコンプレックスが、彼女の巧みな指先によって、一つ一つ剥がされていく。
それは、恥辱であると同時に、あまりにも甘美な解放だった。
「さあ、秀樹。あなたの童貞を、この私に捧げなさい。そして、男になりなさい」
麗奈の声が、俺の意識の限界で響き渡る。
俺の頭の中は、麗奈の香り、声、そして肌の感触だけで満たされていた。




