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詩片

自由力

作者: 潮風詩央

どうやら

重力ってやつがあるから

僕はここから出られないし

どこへも行けない

逃げられない

逆らえない

上から押さえつけられて

ジャンプしたら着地する 膝痛い


ニャートンって人がりんごが落ちるのを見なければ

万有引力はまだ発見されていなかったかもしれない


そうすれば誰にも引っ張られずに

宇宙から脱出できたのに


()でも気付いたことがある


今僕は詩を書いていて

今君は詩を読んでいる


重力ってやつの反対は

スマホで打てばいいってこと

僕が本当に望めば 落ちてくる

               月も

                雲も

                 鳥も

                  風も

                   桃も

好きな人を恋にも落とせるし好きな芸人を落とし穴にも落とせるし嫌いな人を試験にも落とせるし子供が飛ばした風船も落とすことができる


今僕は詩を書いていて

今君は詩を読んでいる


でも僕らの今は違うんだ


こちらは2025年だけど

そちらは5055年かもね

あーあー

オリンピックはまだやっていますか?

サザエさんはまだ放送していますか?

庭には二羽鶏がいますか?

日本はまだありますか?

地球はまだありますか?

世界はまだありますか?


それに

時間は可逆だから

こちらは2025年だけど

あちらは805年かもね

もしもし

BiSHはもう解散しましたよ

大谷翔平は一回を投げてホームランを打ちましたよ

春が来る前にみかんを食べ終わりましたよ

給料は上がらないけど物価は上がりましたよ

スマホでネットニュースを閉じては見て閉じては見てましたよ

世界はまだありますよ ジャスコはとっくにありません


みんなも気付いた?()()()()


僕は自分のために詩を書いているけれど

あなたのためにも詩を書いていることを


重力ってやつの反対は

スマホで打てばいいってこと

悲しい気持ちだと全部落ちてくるけれど

楽しい気持ちだとなんやかんや宙に浮くから

月も

雲も

鳥も

藤井風も

桃子も

なんかみんないつも楽しそうだよね

僕は地獄に落ちるけど

重力があるからね それでも


どうやら

重力ってやつがあるから

僕はここにいられるし

どこかへは行ける

逃げたくなったら

星に手を伸ばしたくなったら

詩を書けばいい

重力ってやつの反対は 気圧頭痛治して

久しぶりに詩を書いたら

行間の使い方を忘れてた

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