53 班決め
とうとうこの時間がやってきた。
と言ってもアドリ部主催のバーベキューのことではない。ここ最近にしては珍しく誰かに絡まれたり無理難題を吹っ掛けられることもなく本日最後の授業でもあるLHRの時間がやってきたのだ。今回はこの時間を使って来月行われる課外授業の班決めが行われる。
「じゃあ行きたいところと班を各自話し合って決めてくれ。その間にさっきの授業でやった小テストの採点してるから楽しみにしとけよ」
担任である大竹先生がそう言うと教室内の至る所からブーイングが起こる。それを軽く笑い飛ばし教師席に腰を下ろし作業を始めていく先生。
「あなたの周り誰も居なくなったみたいだし丁度良いからここを使いましょ」
小嶋さんを引き連れてきた文字さんが空いていた俺の前の席に座る。
「おい、まるで俺が嫌われているみたいな言い方をしないでくれよな。偶然俺の周りの奴が他の所に移動しただけだし」
先生が採点し始めたあたりからクラスメイトの多くが各々に席を移動していた。今日班決めをすることは予告されていたわけだし、俺達のように事前に根回しをしている奴がいても不思議ではない。寧ろそれで大半が決まると言っても過言ではない。
その中で少し可哀そうだと思ったのはクラス委員長だ。先生が教壇から降りたのを見て満を持して前に出たのだが、殆どのクラスメイトがグループを形成し始めた光景を目の当たりにし、彼は肩を落としながら自分の席に戻っていった。
頑張れ委員長。名前は確か・・・・・うん、後でちゃんと確認しておこう。
「私は事実を言ったまでよ。それで後は一哉とすみれだけね」
「橋本君は・・・・まあ来なきゃ来ないでも平気だろ」
そう言いながら一哉の方を見る。机に突っ伏しており自分の席から動く気配がないが、LHRが始まる前に再確認してあるので問題はないだろう。行先も俺達に任せるらしいのでここで顔を合わせなくても問題は全くない。
「あなたが言うなら大丈夫なんだろうけど、少しくらい話をしに来てもいいと思わない?」
アイツはそれが嫌だから来ないんだけど、あまり二人のことに口出しをすると藪蛇になりそうなでやめておくか。
「ねえ二人ともさ、橋本君よりあっちの心配した方がいいんじゃない?」
文字さんが一哉に対してムッとしているのをよそに、小嶋さんがとある方を指差しながら心配そうに言った。
「ああやっぱり絡まれちゃってるわね。高遠君はどうするつもりかしら?」
「少し様子を見るよ。まさかみんなが見ている前で露骨な事は出来んだろうし」
「あれが露骨に見えないって高遠君頭大丈夫?」
「失礼な。あんなのアイツからしたら序の口だろ。露骨って言うのは無理やり手を引っ張って自分の班に入れようとしたりとか・・・」
「手は掴まれてないけど腕は完全に掴まれてるよ」
・・・・・・・・・・・・・
「それとか自分たちの班が集まってる席に無理やり座らせたり・・・」
「なんか力づくで席に座らせようとしているように見えるんだけど」
・・・・・・・・・・・・・
「もしくは・・・じゃなくて! 何だアイツ露骨すぎるにも限度ってもんがあるだろ!」
「だから最初から言ってるのだけど。それに小嶋さんも何で冷静に実況なんかしてるのよ」
「だって私じゃ助けられそうにもないし・・・・」
期待を込めた目で俺を見る小嶋さん。文字さんはサッサと言って来いと、とても熱い視線を飛ばしてきている。
分かってるって。あそこまでされてしまったらここは誰かの助けが必要だってことをね。
それにしても各々に思惑があるとはいえ、どう見ても迷惑行為でしかない土井のことを誰も注意しないんだ? アイツ等の関係性はよく知らんけど流石に誰か諫めるべきではないか? 特にリーダー格的存在の大空なら何とかできそうな気がするんだが・・・・・
いや、今そんなこと考えても無駄だな。事象は既に起きていて後は対処するのみ。
「こっちは男子三人、そっちも女子三人。ほら人数的にも丁度いいじゃん。一緒に班組もうぜ」
「でも私他の人と一緒になるって約束してるからそれは無理かな・・・」
様子見を兼ねそれとなく近づいたのだが、予想通り河島さんの都合を完全に無視して土井は自分の班に引き込もうとしていた。
そう言えば河島さんのグループは四人いたはず。河島さんを除いた二人は席にはまだ座っていないものの彼女のすぐ後ろに立っている。彼女らは二人のやり取りを近くで見ているのにも関わらず、あまり心配している様子はなかった。どちらかと言うとまるで他人事のように見ていた。顔ぶれを確認した後教室を見渡し河島さんグループの残り一人を探す。するとその一人は別のグループの人たちと楽しそうにお喋りしていた。
どうやら彼女は最初から河島さん達ではなく、今一緒に居るメンバーと組むことになっていたようで、経緯は分からないが事前に取り決めされていたと推測される。その根回しが土井発端でないことを願うばかりだ。
「一緒って誰と?」
「文字さんと小嶋さん」
「あー・・・・あの二人ね。でもほら約束したのは俺の方が先だったし今回はゴメンってことでいいじゃん」
よくねーに決まってるだろ! どうせお前の一方的な約束だろうし、こっちは全員了承し合ってるつーの。
「土井君と約束はしてないよ?」
「俺は間違いなく言ったよ、大地も一緒だし組もうぜって」
「それは聞いたけど私はうんって言ってないから。だからゴメンなさい」
ほら見ろ、お前の妄想だったじゃん。
そろそろ割って入ろうかと思った矢先に大空と目が合った。彼はスマホを弄りながらも時折二人の様子を覗っていたようだが、それでも注意したり止めに入る気配はなかった。そんな大空に対し俺は、
(おい、お前の親友何とかしろよ)
と無言の圧力をかける。だが大空は半笑いでフルフルと首を横に振る。そしてクイっと顎で二人の方を指し、
(お前がいってくれ)
と促してくる。ていうか笑う余裕があるなら助けてやれって話なんだが・・・・
誰も動かないことを再認識し、クラスの大半の連中に対し若干の嫌気を覚えたところで俺は行動に出た。
「まだ女子しか決まってないんでしょ。このままだと余り者のムサイ男子と組まなきゃならなくなるだろうし、それだとすみれ的にも大変だろ?」
「別に余ってたわけじゃないんだけどな」
「ハア? 何だよいきなり現れやがって。お前はそこら辺の余った奴とでも組んでろ」
「今の一言で理解しろよ。河島さんが約束していたのは何も文字さんたちだけじゃない。俺ともう一人男子が居る。つまり最低条件の五人をクリアしてるから俺達の班は既に完成しているんだよ」
「そんなの知らねーし。先に班を決めたのはこっちだ!」
「勝手に言ってろ。お前と話しても埒が明かねえからこれで話は終わり。さっさとその手を離せ」
「イッテ・・何しやがる!」
未だ腕を掴まれたままの河島さんを土井から引き剥がすため思い切り手首を握ると、顔をしかめながら直ぐに土井は河島さんから手を離した。
「お前と同じこと?」
「フザケンナ! 先生今コイツに暴力振られました。これ見逃していいんですか?」
あろうことか大竹先生に告げ口する土井。ていうかこの狭い教室内でこんなに騒いでたら先生だって気付いてるだろうに。それどころか先生は最初から気付いていた上で放っておいたってことを理解してないな。
その証拠に、
「あー、あんまり騒ぐと全員の課題増やすぞー」
と、まともに取り合おうとせず作業に戻る。そしてクラス中のヘイトが俺達に集まる。
なんで俺まで・・・・・
ハッキリ言って俺はとばっちりを受けているだけで悪いのはどう考えても大したことないのに騒いだ土井の方なのにさ。
「痛くて騒ぐくらいなら最初から人に迷惑かけるなよ。それと班はもう決まってるから河島さん抜きで作ってくれ。なあ大空、お前もそれで構わんだろ?」
「別に俺は誰と組もうと気にしないから。それとお前もいい加減諦めろよな」
ようやく土井を諫める気になったか。遅いぞまったく。
「お前までそんなことを・・・・・・なら俺は大地と組むのをやめる」
「俺は構わんがお前に当てがあるとは思えないぜ」
その意見に俺も同意だが、それ以上にどうでもいいことだな。
「決まってるだろ。おい高遠、お前の班あと一人入れるはずだよな?」
コイツ本気で言ってるのか? 恥を知らないというかどんだけ自分中心で動こうとしてるんだよ。
確かに班編成は五人か六人と決められていて俺達の班は今のところ五人だ。理屈的には土井の言った通りあと一人受け入れる余裕がある。しかし誰もそんなことは望まないだろう。
「ちょっと待ってろ」
頑なに突っぱねてもいいのだが、それだとまた懲りずに絡んでくるのは明白だ。だったら開いている穴を埋めればコイツも手の打ちようがなくなるはず。であれば・・・・・
「えーと委員長ちょっといいかな?」
先程肩を落として席の戻っていった委員長に声を掛ける。彼はそこから動いていなかったので班が決まっていない可能性が高い。
「えっ、僕?」
「そうそう。なあまだ班決まってないなら一緒に組まないか?」
「おいお前何言ってんだ。俺が入るっていってるだろうが」
「うるさいぞ。俺は今委員長と話をしてるんだ、黙ってろ」
「くっ・・・」
v返す言葉が無いのか言葉通り押し黙る土井。静かになったところで再度委員長に聞いてみる。
「それでどうだ? 別に無理にとは言わないが良ければ入って欲しい」
「正直助かったよ。まさかもう班編成が出来ていたなんて知らなかったから。てっきりこの時間を使って決めるものだとばかり思ってたんだ」
「じゃあOKってことでいいな。よろしくな委員長。何処に行くか決めたいから文字さんと小島さんのところに行こうぜ」
「了解。ところで女子三人は話が聞こえたから知ってるけど、残りの男子って誰なの?」
「あー言ってなかったな、橋本君だよ。もしかして嫌だったか」
こちらからお願いする以上無理強いはあまりしたくないし、もし嫌だと言われたら大人しく引き下がるほかないな。
「いや全然。まだ話したことなかったし丁度いい機会だと思う」
もしかして噂のことを知らないのか? いやそれはないか。このクラスに居れば嫌でも噂は耳にしているだろうし、きっとそう言うのに惑わされない性格なのだろう。それより早く名前を覚えなくては・・・・
「いい加減にしろよ高遠。なんでお前みたいなやつが出しゃばってくるんだよ。少しは自重しろ!」
ハア? 何言ってんのコイツ。意味わかんないんだけど。
「どっちが出しゃばってるんだかな。それより早くどこかに入れてもらわないと大変なんじゃないか?」
まあコイツのことだから吐いた唾を平気で飲み込んで大地たちの班で収まる気がするけどな。
「フン。仕方ねえやっぱ一緒に組もうぜ大地」
ほらやっぱり。ホント単純で分かりやすいやつだ。
「お前が抜けた穴はもう埋まったぜ」
「なんだと!?」
「見てなかったのか? さっきお前が抜けるって言った後コイツに声掛けたらOKだってさ。だから他当たってくれ」
大空の隣にはさっきまでいなかった大人しそうな男子生徒が居た。その彼から肩身が狭いです感が滲み出ていた。ちょっと可哀そうな気もするが、土井の居ないこの班ならそこまで肩身の狭い思いをしなくてもいいと思うぞ。
「だったらそいつを断ればいいじゃんか」
「なら断るしかないかあ」
出戻りさせちゃうの?
「だろ。だったら最初からそう言えよ。まったく性格悪いぜ」
悪いのはお前の方だろ。どれだけ上げる棚を持ってるんだよ。ていうかマジで大空は身勝手な振る舞いをした土井を受け入れるつもりなのか?
「ということですまんな・・」
そこで明かに巻き込まれただろう大人しい男子生徒が肩をピクッとさせる。そりゃいくら何でも酷すぎるだろ! と思っていたら、
「土井。そういうことだから班探し頑張れよ」
「へ?」
間抜け面を晒す土井に対し大空は、
「なにバカ面させてんだ? お前がやろうとしてたことと変わらないと思うんだが。もしかして自分だけが許される行為だとでも思ってたのか?」
「な、なにを・・・」
「ここまで言わなきゃ分かんないか? 身勝手な行動の結果ってことだよ。俺散々言ったよな、今回のことだけじゃなく今までさ。その性格直んないのはもう諦めたけど、いい加減気づけよ、小学校の時からお前のせいでクラスの雰囲気が悪くなっているってことを」
「そ、そんなことない。周りの奴がバカばっかりだったからそのせいだ! そんな根も葉もないことで俺をハブるなんて、そんなのイジメだ! 大地はそう言うの嫌いだって言ってただろ。だからそんなみっともないこと止めようぜ」
「ハア・・・やっぱ日本語通じないかあ。もういい。とにかく今回はお前とは組まん。俺達は何処に行くかこれから話し合うからそこをどいてくれ」
その後も土井は文句を言っていたが大空は聞く耳を持たず班員を座らせ話し合いを始めていく。
「なんで俺がこんな目に・・・・」
相手にされなくなったのを理解したのかボソッと呟く。声を掛ける必要もないのでそのまま河島さんとその場を離れようとすると、
「なあもう一人って橋本なんだよな?」
何となく嫌な予感はしていた。していたのだが、まさか本当に言ってくるとは思わなかった。
「それがどうした? お前には関係ない話だろ」
「お前も知ってるだろアイツの噂のこと。女子に手を挙げるとか最低な奴じゃん。そんな危ないやつと組んだらすみれやほかの二人だって怖いだろ?」
何を勘違いしてるんだ? 河島さんも小島さんも全部含めて承知してるんだぞ。そもそもあの事件に女子生徒が手を挙げられたという事実はない。
「それにこの際贅沢は言わねえし、俺はお前が一緒の班でも文句は言わねえから、なあそうしようぜ。なあすみれもそれでいいよな?」
河島さんが「それは・・」と何か言おうとしていたので彼女の前に出る。
「俺はお前に文句があるからダメに決まってるだろ。ていうかさっき大空が言ったこと全く分かってねえな。なんで頼む法のお前が偉そうにしてるんだ? そんな奴と組みたいと思うやついると思うか?」
「チッ、女たらしが調子に乗りやがって。なあすみれ、この際だから言っておくがコイツは女癖が悪いって評判なんだぜ。だから俺はお前のことが心配なんだよ。分かってくれよ」
おい、根も葉もないこと言うな。確かにそんな噂が俺にあるってことつい最近一哉から聞いたけどさ、ハッキリ言って冤罪だからな、冤罪。
(まあそれは最初に会った時から何となく感じてたから私は気にしてないよ)
ん、もしかして河島さんの独り言? 俺って人並み以上に聴力がいいから聞き逃せないんだよなあ。まあ気付かなかった振りしておくかあ。
「河島さんはお前と話したくないってさ。それと俺もこの際だから言っておく」
「くそザコのくせに何を偉そうに」
「金輪際河島さんと関わるな! それだけだ」
「はあ? 言っておくが俺とお前じゃすみれとの関係の深さが違うんだよ。そんな奴に言われる筋合いはねえ」
ダメだ。コイツに何を言っても無駄な気がする。
だったらもうあの手しか残ってない。
そう、あの「手」だ。
後はタイミングを見計らって・・・・・・
「関係の深さねえ。どうせそれもお前の思い込みだろ」
「そんなことねえ。お前と違って何度も一緒に帰ったことあるし、遊びにだって行った」
(ふ、二人きりじゃないよ。みんなと一緒だから)
別にそんなこと気にしてないんだが・・・・・
「別に二人だけってわけじゃないんだろ。それくらいで親密さをアピールするな。どう考えてもはた迷惑でしかないぞ」
「今は・・」
「もういい。いい加減文字さんのところに戻らないと怒られるから。じゃあ頑張ってな。行こうぜすみれ」
左手で河島さんの右手を掴み少しばかり強引に引っ張る。
「っ・・・・うん」
これは賭けであり最終手段でもあった。
もしここで河島さんに拒否されようなものなら恥ずかしさとショックで一か月ほど寝込むところだった。
しかし彼女は手を握られた瞬間こそ目を丸くして驚いていたが、拒むことなく受け入れてくれたのだ。なんかすごい顔が真っ赤になってるけど、こんな人前で、しかもこれから一年を過ごす教室内で手を繋がれたら誰だって恥ずかしいよね。後でちゃんと謝らなきゃな。
これが最終手段『言葉がダメなら後は行動で示すのみ』作戦だ。
向こうが親密さをアピールしてきたのならそれ以上のものを見せつければいい。
「なっ・・・・」
土井が何かを言おうとしていたみたいだが無視してその場を立ち去る。当然河島さんとは手を繋いだままだ。
女子の一部から「キャー」と黄色い声のシャワーを浴びせられ、男子からは妬みの視線を送られる。もちろんその筆頭は言うまでもないだろう。見なくても分かる。
「最初からそうしてればこうならなかったのよ」
「これはあくまでも最終手段だって。アイツに日本語通じなかったから仕方なかったんだよ。ほらジェスチャーって意外とどこの国でも通じるって言うだろ」
(仕方が無かった・・・)
まだボソボソ言ってるのか。
「河島さん」
「は、はい」
「なんで畏まってるの? それとさっきから聞こえてるからね、独り言」
「え、ウソ、ホントに?」
「まあ何言ってるかはよく聞こえなかったけど」
嘘です。しっかり聞こえてました。でもここは河島さんのために難聴系主人公を演じるしかないよな。
「それで二人はいつまでそうやっているつもりなのかな?」
「えっ?」
あきれ顔で小島さんが繋がれたままの手を見て言うと、それに反応した河島さんが「うぅ・・」と俯く。もちろん繋いでいたことを忘れているわけではない。あえてまだそのままにしているだけだ。
「やるなら徹底的にと思ってな。悪いけどもう少し付き合ってもらえるか?」
「う、うん。ゴメンね私のために高遠君まで巻き込んじゃって」
「気にするな。遅かれ早かれ手を打たなきゃとは思ってたところだし。それに謝るのは確認も取らず手を繋いでしまった俺の方だ、すまん」
本当は少し違う。本来なら河島さんが自力で何とかするのを見守る予定だった。それは彼女の望みでもあったし、その方がこの作戦の方より面倒吾なことにならないからだ。今回だって話し合いだけで済めばそれに越したことはなかったのだが、話が通じない相手だった以上こうするしかなかった。
まあ厳密には『実は俺達は付き合ってる』と言葉でハッキリさせる方法もなくはないのだが、それだと今よりも大事になってしまうので採用しなかった。手を繋いだだけなら言質を取られたわけではないので後から何とでも言い逃れは出来る。
今回は『お前よりは親密だぞ』というのが伝われば良いだけなので、一応成功したと判断していいだろう。
アイツが河島さんのことを諦めるかは別の話だが・・・・
「どっちも巻き込んだんだから痛み分けでいいんじゃないかしら。ねえそれより何処に行くか決めたいんだけど」
「あのー僕の存在忘れてないですよね」
委員長君がそっと手を挙げる。
やべ、こっちはガチで忘れてた。すまんなの知らない委員長君。
「あ、うん。忘れてない忘れてない。寧ろ感謝してるくらいだし」
「そう言えばなんで委員長がこっちに来るのかなと思ったけど、高遠君が誘ったんだね」
小島さんまで委員長呼びかい!
「別にいいんじゃないかしら。委員長なら真面目で親切だし大歓迎よ」
委員長に対する文字さんの評価は意外と高いようだ・・・・・ってあんたもかい!
「確かにそうかも。委員長って結構周り見てるし優しい人だと思うよ」
最後の砦である河島さんもか・・・・・・・
「へへ、そうかな・・・でもちょっと嬉しいなあ」
ああなんてほのぼのした人なんだろう。俺的には仲良くしたいタイプだし、ある意味切っ掛けをくれた土井に感謝だな。ほんの一ミリくらいだけどね。




