えんぴつの思い出。
これは私が小学4、5年生くらいの頃のこと。
授業が始まると、私の席の隣に座るジャ○アンぽい雰囲気の男子が私に言った。
「えんぴつ貸して~」
まあ、特に断る理由もないし、私は「はい」と、彼にえんぴつを貸した。
で。
しばらくして、なにげなーく隣の席をちらっと見ると…そこには、恐ろしい光景が広がっていた。
「ガリゴリガリ…」
「!?」
なんと…私の貸したえんぴつを、彼はおもっくそ噛ってるじゃあないか!
『え?待って、それ私が貸したえんぴつだよね??え?食ってる?美味しいの??いや違うそうじゃない…それ私のえんぴつーーー!!』
その光景を目の当たりにしながら、私は内心でギャアアアア!!と叫んでいた。
けど、筆記用具というものは、人に貸すと返ってこない…所謂、借りパクがお決まりで(自論)。
まあ、お気に入りってわけじゃない、シンプルな木のえんぴつだし、彼もまたきっと、借りたまま返さないだろう─いやむしろ、そのまま貰ってほしい。そう思っていた─が。
「ありがとう」
授業が終わると、彼はそのえんぴつを返したのだ。
そこで「いらん」とか「あげる」と言うのも、何か変な気がしたので「あ…うん…」とめっちゃ苦笑いしながら、私は受け取った。
真面目に返してくれるのはありがたい…けど。
返されたえんぴつの後ろは、湿ってて、彼の歯形がくっきりと付いていた…
という、えんぴつの話を思い出したのでした。




