アンドロイド
当たり前だが、ギフト『エネルギー供給』は人間相手に反応しない。
義手や義体といった、機械化された体にだって反応しない。
もしもそういったものに反応するなら、これまでに『エネルギー供給』の使い道が分かっていただろう。
一応、常識で考えれば、米倉はここの研究所で造られた何かを身に付けている、そんな理由だろう。
しかし、太郎の感覚はそうではないと理解している。エネルギー供給可能なものはバッテリー部分だけではなく、エネルギーを消費する部分も含む。
エネルギー供給な場所は、米倉の全身に及んだ。どう考えてもこれは。
「サイボーグ、じゃない。アンドロイド?」
サイボーグは、人間を機械化したもの。
アンドロイドは、人間を模した機械。
太郎はその違いを一瞬で見抜いた。
サイボーグであっても、脳みそまでは機械化できない。米倉は脳みそまで機械になっていたのでアンドロイドだと判断した。
「あはは。いや、参りましたね。降参です。
ちゃんとお話しするつもりではありましたが。ドジを踏んでしまいましたね」
秘密がバレてしまった米倉は、アッサリとそれを認めた。
米倉には目的があり、そのためには太郎の自発的な協力が必要不可欠。いつかは話すつもりだったので、予定を繰り上げた。
そして自分の事がバレたからと、他の秘密も話すことに決める。ここで話してしまった方が信頼を得られる、協力してもらえると判断した。
「生体パーツを使っているので、私の中をお見せすることはできません。ですが、もっと別なもので良ければお見せしますよ。
秘密は守って頂かないといけませんが、他の誰も見たことのないものをお見せしますよ」
最低限の約束として他の人には話さないようにと求めるが、それでも自分の出せる大きな秘密を開示して仲間に引き込む一手とする。
太郎の人格を判断する時間としてバイト期間を考えていたが、時間をかけないことで得られる信頼もある。
太郎には悪いが、もしこの試みが失敗しても先ほどエネルギーを満タンにしてもらったものがあれば、数年は戦える。その間に新しい『エネルギー供給』ギフト持ちを探すこともできる。
最低限の保障はあると、米倉は気持ちに余裕を持たせた。
逆に、言われた太郎は混乱したままだ。
思わず余計なことを口にしてしまった事で、面倒で危険で、非合法な暴力的な事に巻き込まれようとしている。そんな予感があったからだ。
冒険者という暴力的な仕事を目指していた太郎ではあるが、その危険は自分一人で収まるからこそ、目指す事が出来たのだ。ここで選ぶ選択肢次第では、家族が巻き込まれかねない。
「大丈夫ですよ、太郎さん。
ここでの秘密を誰にも話さなければ、太郎さんが狙われることなどあり得ません。第一、そんな懸念は、ここに来た時点で同じこと、なんですよ」
米倉は、太郎に好ましい決断をしてほしくて、ゆっくりと、優しく言い聞かせるように退路を断つ。
太郎はその言葉に、首を縦に振った。




