謎の追加作業
ギフトを使った仕事は、どの程度の仕事をして、どれくらいの報酬になるのか?
太郎のギフトは非常に珍しく、皆無ではないが、他を探すのが難しいため、相応に高給であっても不思議ではない。
給与の形態は歩合制、出来高次第の内職になるが、研究所からは普通に働くよりも大きな額が提示された。
ほんの数日ギフトを使うだけで、農家として同じ額を稼ごうとすれば何ヵ月分もの収入になると知って、太郎は世の中の理不尽を嘆く。
農家として真面目に働いていた太郎は、自分よりも苦労を重ね、誠実に働いていた両親を尊敬している。
太郎は少し苦労しただけで手に入ったギフトで、何年も頑張ってきた両親の稼ぎを一瞬で越えてしまうことに資本主義の不条理を垣間見た。
とは言え、貰えるものはしっかり貰っておくのは大切である。
太郎はまだ余力があったので、他に何か『エネルギー供給』が出来そうなものはないか確認し、更なる報酬を得ようと交渉をしてみた。
「それでは、“これ”にエネルギー供給は可能ですか?」
米倉としても、太郎のギフトでエネルギーを供給しておいてほしいものは数多くあったので、太郎の提案に飛び付いた。
太郎を別の部屋につれていくと、そこから太郎にはよく分からない、四角い箱を手渡した。
「“これ”の説明は、できません。
ですが、これにエネルギー供給が可能ならば、満タンまで供給していただければ、これぐらいは出します」
20㎝四方の小箱ひとつ。
たったそれだけに、八桁の報酬が提示された。
太郎は目眩を感じるほどの金額に驚きながらも、再びギフトを使い、エネルギー供給を開始する。
今度は先ほどの武器と違い、底の無いカップに水を入れるような印象を受けたが、それでもやれるだけやろうとギフトを使う。
5分、10分と時間が経過していく。
端から見れば何もしていないように見えるが、太郎は自分の魔力が尽きるのではないかというところまで頑張ってギフトを使うと、ようやく底が見えた。
感覚に間違いがなければ、確かに満タンまでエネルギー供給をした。
先ほどとは比べ物になら無いほどの疲労感。それを感じた太郎は、椅子に体重を預け、脱力した。
冒険者たちが魔力を使いすぎたときに起こる、魔力欠乏症の症状だ。
箱へのエネルギー供給は、太郎にとってギリギリの仕事であったのだ。達成感を感じるよりも、疲れの方が先に来る。このまま寝てしまいたい気分になっていた。
「凄い! 凄いですよ、太郎さん!
お願いしておいてアレですけど、満タンまでエネルギー供給が可能だなんて! 信じられません!!」
米倉は感激のあまり、つい、太郎の手をとってしまった。
これまでは太郎に直接さわらないようにしていたにも関わらず、思わずそうしてしまったのだ。
そして、手をとられた太郎は。
「へ? エネルギー供給、可能?」
米倉が、エネルギー供給が可能な対象であるという謎の感触に間の抜けた声を出した。




