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米倉 瞳子

 太郎が畑で仕事をしていると、金髪碧眼で十代半ばの少女が訪ねてきたと、親に呼び出された。

 太郎は日本生まれの日本育ち。学校の知り合いも以下同文で、金髪にするような知り合いはいないため、親が先方の名前を聞き忘れたため、確証はないが、彼女は太郎の顔見知りではないと思われた。

 いったい何事かと太郎は首をかしげたが、心当たりはないという答えしか出てこない。



「はいはい、水卜太郎です。どちら様でしょうか?」


 そうして事務所――家とは別に建てられたプレハブ小屋の中で少女と面会をした。

 まるで似合っていないスーツを着て、髪をアップにまとめた少女は、太郎の顔を見ると頭を下げた。


「お忙しい中、お時間を割いていただき有り難う御座います。

 私は次世代科学研究所の「米倉(よねくら) 瞳子(とうこ)」といいます。お見知りおきください」


 米倉と名乗った少女は若い姿に見合わぬきれいな礼を披露した。

 太郎も慌てて頭を下げるが、役者としての格が違う。顔を見た時こそ若い娘と侮る気持ちがあったが、軽くみることのできない相手と分かると一気に緊張を強いられる。外見通りの年齢ではないのかもしれないと、そう判断した。


「それで、米倉さんはどんなご用でしょうか?

 次世代科学研究所と言われても、私には全く縁が無いように思うのですが」


 太郎は米倉の名乗りを受けて、まず用件を確認することにした。

 太郎の考える通り、太郎と研究所に繋がりなど無い。知り合いもいないし、なぜ米倉はここに来たのだろうと疑問に思った。



 この疑問に対し、米倉は友好的な微笑みを浮かべつつ応じる。


(わたくし)共の研究所では、次世代科学技術としてダンジョン産のアイテムを使った装備類の研究を行っております。

 水卜さんは、特殊なギフトをお持ちとか。そのギフトを使っていただきたいのです。

 研究内容に関しては、機密保持のため、先に情報保護に関する契約を結んでいただかないとご説明ができません。そこはご了承をお願いします」

「……では、情報保護に関する契約の、書類を預からせてください。まずは契約内容を確認したいので。

 それと、この件に関する、そちらの想定する私の拘束時間と、その報酬に関して教えてもらえませんか? 短期のバイトなのか、転職を前提にした長期の契約なのか、その辺りが分からないとなんとも言えません」



 米倉は用件の簡単な、表層部分を説明した。

 細かいところは説明されないが、説明できない理由は太郎にも納得できる話であるし、外に漏らさないという契約さえ結べば説明する用意があるようなので、その部分はあえてこの場で確認しないことにした。

 機密保持の契約と言われたが、まず契約書だけ預かり、内容をきっちり確認してからでないと怖くてサインなどできない。

 それよりも、この場ですぐ確認できそうな部分だけ押さえておくことにした。



 太郎本人は気がついていないが、太郎はこの時点でかなり話に前向きになっている。

 これまで使い道のわからなかったギフトが有効活用できるなら、冒険者になれず鬱屈した気持ちを吹っ切れるかもしれないと、そんな期待をしていたのだ。


 少し前のめりになった太郎の姿勢。

 好感触に、米倉は心からの笑顔でプレゼンを行うのだった。

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