ダンジョンの正体
ドラゴンは強かった。
体が大きいので、何をやってもダメージが低い。頭蓋骨も分厚いのか、脳みそに直接ダメージを、等という戦術も有効ではなかった。
近寄らないとダメージを与えられない事もあり、上手く回避が出来ないとすぐにエネルギー切れになるのだ。
勝つためには攻撃を受けても焦らない精神力、どこから攻撃されても避ける瞬間的な判断力は必須。ドラゴン戦の中で太郎は装備を使いこなし始めていた。
倒したドラゴンはいつものように消えてなくなる。そのあとには、いかにもな宝箱が残されていた。
ボスドロップなのだからきっと何か良いものが入っている。
そんな予感を感じ、太郎は宝箱に近付く。
「ファーストステージ、クリアおめでとう。
米倉の装備があったとはいえ、ソロクリアとは中々の逸材であるな」
太郎が宝箱を開けようと屈むと、いきなり後ろから声がかかった。
太郎は反射的に前へと飛ぶと、振り向いて声の主へと向き合った。
「怪しいのは分かるが、そう警戒するものではない。
私はこのダンジョンの管理者。何年経っても現れなかったダンジョン攻略者を言祝ぎに来ただけである」
「ダンジョンの管理者?」
「うむ!」
太郎の後ろにいたのは、米倉と寸分違わぬ少女だった。口調が違うので話せば別人と分かるが、見た目だけで区別することができない。
「その、外見は……?」
「あぁ、米倉と同じたと言いたいのだな? それはそうだろう。アヤツと私は、同じ工場で生産された、言わば姉妹のようなものだからな!」
太郎の質問に、米倉と同じ姿の、ダンジョンの管理者を名乗る少女は呵々と笑う。
そうして、このダンジョンが米倉の――宇宙船を造った者らと同じ異星人による製作物であることを明かした。
姿形が同じなのは、それが理由であると。
実のところ、宇宙船やダンジョンの管理者のアバター、端末用アンドロイドにはあまりバリエーションが無い。理由は主にコスト削減、量産のためである。
豊富なバリエーション、人とは違うものを求めるにしても、彼女たちは軍用品のため、手を入れられない。手を入れるにしても自分用に買ったものぐらい。
彼女たちの顔は軍専用という扱いされるほどである。
そんな事情を知らない太郎はこの事も“そういうもの”としてスルーした。そういう事もあるだろうと。
それよりも、気になる事があった。
「じゃあ、この装備は?」
「このダンジョンで訓練するときに使う、制式採用品だな! それを使って訓練すれば、ファーストステージは五人組が三ヶ月でクリアできる難易度だ。
お主は外での訓練含め、クリアまでソロで約二ヶ月。ずいぶん優秀な成績だぞ。誇っていい。
……お? すまん、米倉から連絡でな。ちと待っておれ」
ポンポンと、次々明かされる事実に、太郎は思わず四つん這いになりそうになるほど力が抜けた。
ダンジョンの管理者を名乗る者が米倉の同類で、互いの事を知っている。これまでの苦労はなんなのだと、そんな気持ちで一杯になった。
そんな太郎に、管理者は更に驚く情報の開示をした。
「ファーストステージと言ったのだから分かると思うが、セカンドステージもあるぞ。
セカンドステージは――」




