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今の終盤

 今は冒険の準備期間。

 そう考えるようになった太郎は、安定したパフォーマンスを発揮できるように、装備を使った冒険に慣れるよう努めた。


 言われてみれば、訓練所でチート装備を使った時から、全力を出すことを避けていた。装備の性能が良すぎて、全力を出す事が恐くなっていたのだ。

 F1マシンに乗ったところで、誰もがアクセルを思いっきり踏んで、エンジンを全開にできないのと同じ。最強の装備も、使う人間次第でゴミに成り下がる。

 太郎はそれを意識して戦い、ダンジョンの奥へと進んでいく。



 ダンジョン中盤、スケルトンとゾンビのエリアを抜けると、今は(・・)終盤扱いの森林エリアに出る。山にある出口から、森に出たような光景が広がっていた。


 ここから難易度が跳ね上がり、挑戦する冒険者はグッと減る。

 と言うのも、出てくるモンスターが『オーク』『オーガ』というタフでパワフルな連中に変わるだけでなく、中には「魔法」としか思えないものを使ってくるからだ。

 そういった危険度の高いモンスターが出ることで、冒険者の被害は未だに減る様子を見せない。正しい攻略手順が無いのだ。


 広い戦場に強力な遠距離攻撃を行う敵。

 移動距離が長くなればそれだけで時間をとられるし、水や食料など、荷物が必要になる。夜営だってしなければいけない。

 何より、まともな地図が無いため、探索に時間がかかってしまう。


 ここを越えて行ける冒険者は皆無ではないが、かなり少ないのが現状だ。





 なお、一般には知られていないが、自衛隊はここより先に進むことができる。

 ただ、進むためには相応の弾薬が要求されるため、早々何度も挑めないという事情がある。

 弾薬はタダではないし、費用が収入でペイ出来るとはいえ、自衛隊の予算は中々増やしてもらえない。だから、ここが終盤扱いされている。


 収入があるのだから増やせばいいと考えるのが普通の組織なのだが、国は自衛隊の予算を増額するのに二の足を踏み、限られた予算で今まで以上の成果を要求している。軍事費用の割合を増やしたくないと言い張るのだ。

 残念ながら、書類でしかダンジョンを知らない政治家は、現場の努力だけでどうにかすればいいとしか考えていない。魔法使いが危険なら、魔法使いだけ銃で殺し、それ以外は工夫してどうにかすればいいというスタンスなのだ。


 結果、ダンジョンの奥は、これ以上攻略されずに放置された。

 現場のリーダーは部下を死なせないことを優先させるので、上の命令にだって逆らう。自衛隊の人間は軍人ではないのだから、不当な命令ならば抗議もする。

 「予算は増やさないが、もっと奥まで行ってこい」と無茶振りをされた自衛官は、ダンジョン攻略は自衛の範囲に含まれないのだからと世論を味方に付け、「だったら弾薬を揃える予算を増やせ。部下を大臣の小遣い稼ぎに殺させたりしない!」と言ったのだ。言い返された当時の防衛大臣は辞任に追い込まれている。

 こんな馬鹿な話があったからこそ、ダンジョンが一部とはいえ民間に解放されているのである。





 さて。

 そんな危険なダンジョン終盤であるが、太郎のやる事に変わりはない。

 結局は「見つけたら殺す」、それだけである。

 移動時間も装備の力を借りて強化されているので、ここまで来ても日帰りの範囲だ。



「ここだとドローンで索敵できて、楽でいいな。

 訓練には、まだ不適当だけど」


 探索用のドローンを使うと、よく敵の魔法使いに落とされる。移動速度の都合上、回避運動が間に合わないのだ。

 しかし太郎のチート装備、そこに含まれるドローンはそうはならない。高速飛行が可能なので、敵に見付かろうが攻撃をされる前に飛び去っていく。むしろ、敵が太郎に見付かり獲物となる。


 装備の残存エネルギーは、ここでバックパックが満杯になるまで戦っても8割は残っていた。それでいて、太郎の『エネルギー供給』すら温存している。

 普通の冒険者にとって命がけの終盤も、今の太郎には難易度の低い、序盤扱いであった。

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