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ハズレの男

――『エネルギー補給』を付与します





 2015年の冬。日本に、ダンジョンができた。

 ダンジョンには多くのモンスターがいて、モンスターを倒していくと地球上にはない、不思議なアイテムなどが手に入る。

 その事実を前に、日本は景気回復のためダンジョンを攻略することを決める。


 最初は弱く簡単だが、奥に進むにつれてモンスターや環境、ギミックにより難易度を上げていくダンジョンに、攻略者たちは苦戦を強いられる。


 国防のため、自衛隊を大規模に動かすことはできず。

 国は責任回避のため、国営の攻略組織を作ることはせず。

 しかしながらとある理由により日本人以外の攻略は認めず。

 日本の民間ダンジョン冒険者は、こうして生まれた。





 ダンジョンを攻略しても、モンスターを倒しても、冒険者の身体能力は上がらない。レベルが上がる。そういった事例は、今のところ確認されていない。


 その代わり、冒険者には一つだけ特典がある。

 それが、ギフト。

 時に超人的な力を与え、時に鋼のごとき肉体を与え、時に風より早い足を与える。

 ダンジョンで戦う冒険者には必須の力だ。



 しかし。

 しかし、だ。


 ギフトは数多く、その七割は戦闘用ではない。

 ダンジョン攻略に有効なものもあるので、半数はダンジョン向きと言えるだろう。

 『筋肉の守り』『破壊の一撃』『不可視の盾』といった戦闘系と『瞬間調理』『浄水』といった攻略補助系ギフトはダンジョン攻略に欠かせない。

 こういったギフト持ちがパーティーを組み、クランを結成してダンジョンを攻略する。


 逆に言えば、ギフトの半数は戦闘向きではない。

 農業に役立つ『土地調査』や、『植物生育補助』、畜産に役立つ?『家畜の心』などといったものから、『金属加工』『防御エンチャント』という生産系まで、様々なギフトがある。

 それはそれで有効活用されるため、活躍の場が違っても、ギフトは基本的に有用なものとして扱われる。





 そして彼、「水卜(みうら) 太郎(たろう)」が手にいれたギフト、『エネルギー補給』は、全く使い道の分からない“ハズレギフト”として処理された。

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