嘘の是非
彼の話をしよう。
彼は、
海津稔は、嘘を好み嫌った。
その中にある真実を見出すのに
面白さを魅入られて
権力者や勝者にとって
都合の良い方角に
捻じ曲げられ飾られた歴史と
数多の考察材料の多さに
頭を抱え込み、
頭痛を起こすほどに
怒りを覚え、
楽しむ悪癖に慣れる位に
彼は、性格も曲がっていた。
狭い自室に篭もり
椅子に深く腰掛けて
考える彼の手には
シャーペンが握られて、
ルーズリーフに文字を書いていた。
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俺自身も感じることはある。
時折、空気が変わるときがある。
修羅場、癇癪、大暴れ等の際に
発生する空気では無い。
特定の場所や
不特定の人が出入りする場所で
空気が変わるときがある。
それは神社や
ホラースポットと言われてる
場所の前でも
何となくは分かってしまう。
心霊は嘘。
嘘だから心霊は面白い。
逆に心霊が本当なら、
薄ら寒いでは、ないか。
その違和感と向き合うのに
小説を読み、
言葉に出来ない違和感を
回りくどいながらも文字にする。
在り来たりな表現になるのは
在り来たりな本を表現を
見慣れて馴染んで
俺にも分かり易い文字だから
在り来たりに行き着く。と思う。
行き着く、なら、
既に答えを書いているのか?
神社や
ホラースポットと言われてる
場所の前でも
空気が違う事を俺は、知っている。
なら、なら、なら
・
・
彼は心霊を否定しようと、
ペンを持って、書いてる。
だが、遠回しの肯定に繋がって
苛立つように
全部文章に線を引き
シャーペンを机に置いて
衝動的にルーズリーフを丸めて
小さなゴミ袋に入れて
すぐに結んで閉める。
そして、大きなゴミ袋へ
投げ込むように
勢いを付けて放り込んだ。
「何でだよ。
嘘だろうが、嘘だから
ゲームも漫画も小説も面白いだろ。
本当なんて、何所にもないだろう!!」
すぐ傍の本から
習慣のように
資格取得の勉強を始めようとした。
気分を変えるように
彼は現実から逃避を始めた。
彼にとっては
これが今の日常で
考えも思考も
その日の気分によって変わり
性格も卑屈、前向きと変わるから
悪癖と言えば悪癖である。
そんな彼は就職活動は終わっており
就職が内定した一人である。