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穏やかな日常  作者: 代理人涼子
海津稔が抱える書籍
7/13

考察対象

彼の話を始めよう。


親から強制された勉強は

彼の中で手段と趣味の

二つに分類された。


社会や歴史の勉強から

焚書を知り

嘘の歴史もあると知ってからは

神話や思想、文学に入り込み

遂には

心霊話も囓るようになった。


大阪のとある一軒家、

キッチンで独り言を呟く男が居た。

独り暮らしである。


「これは俺が変わっても

ジャガイモが好きなままだと

確信してしまうのが、不思議だ」


自身にとっての

当たり前を独り呟く

寂しさ全開の24歳

大学卒業見込みの男性は

キッチンで

ジャガイモを摺り下ろす。

皿の中にある下ろし器の周りは

摺り下ろされた

ジャガイモの池が出来ていた。


「侵略されては

良いように文献は改竄されては

現代に伝わるこの世は面白い」


暇を潰すように言う言葉は

奇異で不気味である。

そして、慣れた手つきで

幾つかの器に

摺り下ろされたジャガイモを

分けていき

一つはオリーブと塩胡椒を混ぜ

一つはチーズとゆず胡椒を混ぜ

一つはチーズとカレー粉を混ぜ

一つはバターと塩を混ぜて

電子レンジに放り込む。


「五十年、

嘘を通せばホントになる歴史。

この世は不思議だ」


出来たという合図で

電子レンジを開けては

キッチンに並べて

餅のような粘りと塊に近づいた、

真ん中が生の

摺りジャガイモを混ぜて

電子レンジへ放り込む。


「それも楽しきかな。

考察が唸るね」


キッチンから離れ自室へ向かう。


自室のベット傍にある本、

アーサー王伝説を取り

栞代わりに挟んで

二つに折られた紙を開いて

笑った。


・モルガンは弟のアーサー王が

恋愛的に好きで行為を致して

モードレッドが出来て

アーサー王の代替えで愛でられ

歪んだ愛を注がれ

その一つに

弟のアーサー王と同じになるように

王としての教育をされた?

・アーサー王は

モードレッドを認知しない方針。

・モードレッドは

王である父親に認めて欲しくて謀反。

それとも、

母モルガンに反抗して

父親を殺そうと行動したか。


彼は、

後ろめたい物語や神話が好みで

アーサー王伝説を読んでいた。

アーサー王と

モードレッドの関係性が

特に好きで

その考察も薄気味悪く笑いながら

眺める。


広げた紙を再び折ってから

適当に置いて

引き出しから紙を1枚取り出して

シャーペンを走らせた。


“昼ドラ伝説”


と、書いて折り

2枚の紙を本に挟んで

元の場所に戻してから

キッチンへ戻り

電子レンジを開けて

その完成に目を輝かせて

リビングに並べていく。

箸とビールを並べて

味付きのジャガイモ餅と化した

ゲテモノを食べ始めた。

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