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穏やかな日常  作者: 代理人涼子
小野麗璃と霧畑未莉はお友達
3/13

大きく違う彼女達

彼女達の話をしよう。

文化祭を終えて

数日後の彼女達は

いつもの公園で集まり

話をしていた。

夕暮れで街を赤く染まっていた。


「文化祭は無事に終わったわね」


「いやー、ホント、

何事も無くて良かったよ」


お互いに無事に終わったと言い合う。

何かをはぐらかすように

公園を眺める。


「文化祭が無事に終わってから

噂を聞いたの。

今回の文化祭の出し物に

無いはずのお化け屋敷があったわよ」


それを小野(おの)麗璃(レイリ)

事実を言う。

あるはずの無い物があったと

言葉にした。


「あー!やめてよ!

忘れようと努力してたのに!!!」


叫び出しては身を縮める

霧畑(きりはた)未莉(ミリ)

小野(おの)麗璃(レイリ)は眺めながら

何事も無いように告げる。


「参加した被害生徒の一人は

全身擦り傷だらけで

鞄の中にあった水筒から

赤黒い水と内臓らしき物があったわ」


霧畑(きりはた)未莉(ミリ)

小野(おの)麗璃(レイリ)の顔を見た。

真面目で澄ました顔で

オカルトな事を口にする。


「はぁ?ちょっと待て。

見たの?」


霧畑(きりはた)未莉(ミリ)

有り得ない物を見るように

苦笑いを浮かべて未だに震える。


「被害生徒の母と私の母は友達で

その時、私の家で

鞄の中身を検分する事になったの。

その際に、ね?」


微笑んだ。

面白い物を見つけたように

微笑んだ。


「待って待って待って。

夢でそれを見たって話だよね?」


夢なら何でも有り得ることを

霧畑(きりはた)未莉(ミリ)

小野(おの)麗璃(レイリ)

知っている。

だから、一番現実に有り得るものを

提示した。


「残念ながら現実よ」


「最低。それを言う???」


問いに答え、真実を告げていく。

本当に見たと言っても

簡単には信じないのが、普通だ。


「なので、私の夢は

警察官か探偵か、マスコミに

なりたいと思うの」


なりたい物を今、言う。

タイミングが違いすぎて

霧畑(きりはた)未莉(ミリ)は困惑する。


「待って、話が繋がない」


「この世をより深く知るには

人と関わるべきと思うの。

この一件で

それがようやく、分かったの」


小野(おの)麗璃(レイリ)

不思議なモノに魅入られた

冒険者、探索者のように眼を輝いた。


「そうなの。そうなんだ。

良かったね」


霧畑(きりはた)未莉(ミリ)

形だけ、祝う事にした。

これ以上、話が嫌だ。と

内心思いながら。


「水筒以外にも

謎すぎる物が多かったのよ。

それらも検分するために

インスタントカメラで

証拠写真を撮ったのだけど

これを見て」


水筒の隣に

皿に盛られた

赤黒い水と

管の着いた内臓らしき物。

紙にプリントされた

文章が渦を巻いて

読みにくくなってる物や

黒い画面のスマホ。

少し、歪んだ鋏。

人の目玉を

思わせる模様の瑪瑙。

謎の木片。


それらを見て、

霧畑(きりはた)未莉(ミリ)

恐怖し始めたり

目の前に居る小野(おの)麗璃(レイリ)

未だに微笑んでいる。

狂気が、そこに張り付いていた。


「こんな物が現実にあるなんて

凄いと思わない?

私はこれらの実在の証明を

したいわ」


「あは、は。

よく作り込まれた奴だね。

特にこの目玉な瑪瑙は

人間の瞳が白く濁って

死体の眼、みたいだねぇ」


肯定も否定もせず

嘘の品として解釈しようと

霧畑(きりはた)未莉(ミリ)

逃避し始めた。


「思った通りの反応ね。

これを見て、偽物と言い切らない

霧畑さんは好きよ」


否定されてない事に

安心したように微笑みを深める。


「クトゥルフ系TRPGは

実在しないから楽しいだろうが」


本の虚実を用いて

今、現在、この状況が楽しくない。

霧畑(きりはた)未莉(ミリ)

小野(おの)麗璃(レイリ)を睨んだ。


「そうね。

確かにフィクションだから

楽しいは分かるわ。

だけど、

水筒の中身は本物の血よ。

フライパンで一滴だけ

火を通したら白く固まったわ」


小さく息を吸い込んだのは

どちらだろうか?

どちらもかも知れない。

知り得た真実を語る

小野(おの)麗璃(レイリ)

未だに狂気の笑みを浮かべてる。


「ねぇ、霧畑さん。

私は父親と幼い妹を殺した

火が憎いはずなのに大好きで

私を見ない人達は嫌いなの」


小野(おの)麗璃(レイリ)

火事の被害者で生き残りで

誰もが可哀想な子として

小野(おの)麗璃(レイリ)

見なかった。


「そう、だね」


当たり前に当たり前を

返すように

お互いの真実を、知るように

話が進む。


「霧畑さんは前に言ってくれたわ。

私を個として見ろって。

確かにあの時は、

貴女の言う通りで

貴女を有象無象の一人で見てたわ」


「確かに」


お互いにそこも知っている。

確かめるように語る。


「私って最低な人間ね」


「えー、それはこっちの話だよ。

人間不信だし、

今でも信用信頼は無理難題。

現地妻をホイホイ作って

修羅場を量産したアレより

マシだよ」


お互いに知っている真実を

軽く語る彼女達は

いつしか薄暗い笑みを浮かべていた。


「それは前に言ってたわね」


霧畑(きりはた)未莉(ミリ)

大きく息を吸い込んだ。

そのように、少しだけ困惑する

小野(おの)麗璃(レイリ)

歳相当に見える。


「そんな事で、

今、コンビニスイーツを

買って食べよう。

疲れた」


「異議無し。行きましょう」


小野(おの)麗璃(レイリ)

火事で父親、年の離れた妹を亡くし

霧畑(きりはた)未莉(ミリ)

父親が海外や国内への出張が多く

現地妻を何所かしこに作り

異母の兄弟姉妹が居たのに

母親が愛想を尽かし、離婚。


だからこそ、

性格も考えも違うのだ。


放課後のいつもの公園から

二人はコンビニへ向かい

スイーツをその場で食べて

家路につくのだ。

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