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残念な自堕落女神と不器用(ヘンテコ)な恋 ~勇者を探していたら自堕落生活を送っていました~  作者: 本渡りま
アーシェとデート!?編(ピュアッピュアなデートです)
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アーシェとデート!?編⑨(キャラ崩壊!? 夏奈実くん、コスプレイヤーデビュー!? 前編)

一カ月ぶりの更新です! お待たせしました……アスタリア戦記のノベプラ大賞の規定文字を達してやっと執筆を再開する事が出来ました……疲れた。とりあえず、また週一感覚で投稿していこうと思います。

アスタリア戦記も忘れずに投稿します!

今回は結構狂っているので注意して読んでいただければ幸いです<(_ _)>

「え、なにこれ――」


 ――数十分後、お手伝いと言う名目でレイベルさんに付いて行った。そして俺はゾ○○ガの水〇愛のアイドル衣装のコスプレをしていた。どういう事か、サイズがぴったりと合っている。


「な、な、な、何じゃこれぇぇッ!? れ、レイベルさん、ど、どういう事ですかぁッ!?」


 隣でカメラマンやヲタクの整列対応しているレイベルさんにツッコミの声を上げた。確かに手伝うとは言ったよ。けど、コスプレ着ての手伝いって一体ナニィィィ!? しかも女性キャラのコスプレ衣装だしッ!


「何って、コスプレ衣装を着てアーシェちゃんを宣伝するんだよ。それに……君って女の子っぽいじゃい! 着せてみたいじゃん! メイク担当として血が騒ぐんだよッ! そして……彼氏クンが似合う衣装と言ったら、平成史に残る伝説のアイドルでしょッ!?」


「だからなんで『伝説の平成のアイドルゥッ!』の衣装なんスかッ!? それだったら、伝説コンビで俺とアーシェ――はっ!?」


 ヤバい事を言いそうになったので口を塞いだ。な、なんでアーシェと一緒に伝説のコンビをやらなければあかんのだ!? しかし、レイベルさんはニマァ……と万遍な笑みで俺を見つめていた。


「そうかぁ~~彼氏クン、伝説のコンビで挑みたいわけだねぇ……。あと、宮○○守ボイスでの名台詞――上手かったぜッ!」


 ぐっとポーズを取るレイベルさん。あ、この万遍な笑みはマジでやる気だ。本当にコンビを実現させるつもりだ。下手すりゃ、デュエット曲を歌われそうな気がする……。


「むっふふっ! アーシェさんに今すぐ純〇ちゃんのコスプレ衣装にしてあげるからねぇ~~。彼氏クン、楽しみにするがよいッ!」


 そう言って、ビュン……と風をきるようにアーシェが居る先頭へ向かって行った。


「ちょッ! まってぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!」


 あ、アーシェに……こんなコスプレ衣装を纏った俺の姿を見られるのか? そ、それだけは嫌だッ! こ、こんな……辱めのように着せられた女装コスプレをアーシェに見られたくないッ!!

 けど、レイベルさんに待ってくれと言う言葉は届かなかったようだ。「いったん撮影を中止しまーす」といって、アーシェを更衣室に向かってしまったしッ!


「……ど、どうしよう?」


 もう止められない事態まで発展した事に、俺は呆然とした表情で撮影場所からさるアーシェとレイベルさんの姿を眺めていた。



     ※



「うぅ……どうすればいいんだよぉぉぉぉッ……!」


 こんな格好――アーシェにどう説明すればいいんだろう? 無理矢理着せられたって正直に言っても『うわぁ……』ってドン引きするに違いない。マジでどうしよう……心臓がバクバクしている。顔が火照って熱い。悪寒に包まれているような震えが全身を襲っている。


「やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい……もう、ヤバいよ! アーシェに見られちゃうよ……ッ!」


 ドキドキ……ドキドキ……来るのか来ないのか!? もう、何言っているのか分からなくなってきたぁぁぁぁぁッ!! 


「お、おーっす! 彼氏クン! お待たせぇぇ!!」


 なんて動揺していると、レイベルさんがやってきた。あれ……アーシェはどこにいるんだ? 一緒に来たんじゃないの?


「あれ、アーシェは何処へ?」とレイベルさんに質問すると、むっふふっと偉そうな表情で微笑み始めた。な、なんだ……不気味すぎる微笑みは?


「ほら、アーシェちゃん。出ておいで」


 レイベルさんが後ろを振り向き、アーシェを呼んだ。


「れ、レイベルさん……見せたいものって一体なんですかー?」


 ひょっこりとレイベルさんの後ろからアーシェが現れた。衣装はもうエ○○アたんではなく、紺○○子チェンジしていた。髪も似せるようにツインテールに結っていて、アニメで着ていたライブ衣装を身に纏っていた。

 声も姿も〇子そっくりのアーシェさんの姿を見て、あまりの尊さにぶはっ……と吐血してしまった。こ、これは反則過ぎる……マジでヤバい。心臓が破裂するぐらい胸がドキドキする。か、かかかかか、かかか、可愛いいいいいいいいいッ!


「ちょっ……彼氏クン!? 大丈夫!?」


 吐血した光景を見てレイベルさんは俺に近寄って介抱した。


「だ、大丈夫です……あ、アーシェが――尊すぎて眩暈しただけです」


「じゃあ、この血は何!?」


「トマトジュースです……ごへおっ」


「あ、そう……って、衣装――よかった……汚れていない。ねえ、彼氏クン衣装汚さないように心がけてね」


 笑顔の表情のままドスの効いた声音で注意するレイベルさん。


「は、はい……」と、レイベルさんのその表情に驚きながら返事した。


「アーシェちゃん! こっちに来て」


 レイベルさんは、近くで立っていたアーシェを呼びかけた。


「はいはーい!」


「早速だけどアーシェちゃん、今から彼氏クンとデュエットを組んでもらうわ」


 要件内容を聞いたアーシェは、「彼氏クン――?」と首をかしげていた。


「も、もしかして――夏奈実くん、なの?」


 嘘でしょ……と言わんばかりな表情で、今の俺の姿をまじまじと眺め始めた。


「そ、そうだよ……そ、それとあまり見ないで……は、恥ずかしい」


 もじもじと女性が恥ずかしくなるとやる仕草をした。は、恥ずかしい……女装――コスプレなんて死んでもやる事はないだろうと思っていたのに、こんな形でやるとは……。頼むからアーシェよ、今の俺の姿をまじまじと眺めないでぇぇぇぇぇッ!!


「か、かわあわわわわわわわわっ! 可愛いッ! 夏奈実くん、めっちゃ可愛いよッ!」


 ドン引きされると思ったが、予想とは裏腹に可愛いって褒めてくれた。この場合って普通ドン引きされるんじゃないの? 


「そ、そうかなぁ……?」


「可愛いって! それと――――」


 じーっと俺の顔を見つめるアーシェ。ち、近い……それと可愛い。こんな近くで見られたら、ドキドキが止まらないよぉぉ……。ほんと、最近になって女耐性よくなったけど、未だに顔を近づけて見られるのは慣れない。


「――やっぱり沙耶ちゃんが言っていた通り、顔つきが女っぽいからあまり化粧をしなくても違和感ないって本当だったんだね。本当に女っぽいね、きひひっ……むにゃっ!?」


 最後の悪魔的な笑いはなんだよ……と突っ込みながら、アーシェの頬をびろーんと引っ張った。


「か、かふぁみくぅぅん……なにふるのぉぉぉ……!?」


「ちょっとイラっとしたから、お仕置きタイム」


「お仕置きタイムって何ッ!? ちょッ、痛いからやふぇてぇぇぇぇぇ!?」


 頬を抓って嫌がるアーシェの表情も可愛いなぁ……もう少し頬抓ってその表情を拝むか。


「ハイハイ、二人とも! ケンカしないの! さ、撮影会を再開するから二人とも準備してね」

 

 レイベルさんはポン……と俺達の頭を撫でて、そして長蛇の列で待ちくたびれているカメラマンたちの誘導を始めた。


「はーい、みなさーん。お待たせしました! サークル・レミリアの撮影タイムを再開しまーす! カメラを準備してお待ちください!」


 誘導の案内が知らされると、カメラマンたちはほぼ一斉にカメラを起動させて調整を行い始めた。い、いよいよ……アーシェとデュエット撮影会が始まるのか。う、うわぁぁ……し、心臓がドクドクする……初めて舞台に立った時と同じぐらい緊張する。手が……足が……震えている。心臓がバクバクしているせいで体が火照っている。まるで媚薬を飲まされたような感じだ。


「夏奈実くん、リラックス、リラックス」


 隣で俺の様子を伺っていたアーシェが、ぽんぽんと背中を撫でる。


「――――あぁ、これは」


 これは気持ちいい。なんだか、彼女の温もりのある手によって緊張が解れてきたようだ。例えるなら、そう……彼女に膝枕の上で寝て子守唄を聞いているような感じだった。


「ありがとう、アーシェ。おかげで緊張が和らいだ」


「えへへ……、よかった! 緊張すると笑顔が作れないってレイベルさんが言っていたんだ!」


 アーシェの奴……なんでこんなに女神のような微笑みをしているんだ。いや、アーシェは女神だからいつも微笑んで入るけど、そういう事じゃない。こんな人目が多いところで撮影するなんて素人の俺ではちょっと恥ずかしい所があるのに、同じく素人のアーシェは万遍な笑みを浮かべている。一体なぜだ……緊張していないのか?


「なあ、アーシェ……緊張しないのか?」


 俺は思った事をアーシェに問うた。さっきの撮影もそうだけど、緊張している様子は全くない。さっきからずっと気になっていた。


「うん、全然緊張していないよ。ステージに立つ前にほぐれちゃったみたい」


「早くないか!? だって……ステージの上に立つなんて臓器が飛び出るほど緊張するんじゃない?」


「臓器が飛び出る問う程じゃないけど……。まあー確かに緊張したけど、レイベルさんが背中を押してくれて、全部ふっとんじゃったかなぁ……。緊張よりやるぞっていう気持ちが湧き出たって感じ――かな?」


 ……なんだろう、アーシェが大人びて見えるんだが。マシなセリフを言うなんて頭でも打ったのか? 


「どうしたの? 私をジーと見て」


「お前、頭でも打ったのか? マシな事言うなんてさ」


「失礼だなッ! 私は女神学校を首席で卒業しているんだぞ!」


「あーはいはい、ラノベあるある的な事を自慢するな」


「何よぉぉぉぉッ! あるあるって! 私は主席卒業なんだぞ!」


「それがあるあるだって言っているんだよ、このチート級のアホ首席サマ?」


「アホ首席って何よぉぉぉぉッ! アホの首席って聞いた事無いんですけどぉぉぉッ! それに、その言い方おかしいでしょッ!?」


 アーシェはべしっと俺の胸元辺りを叩いて突っ込んだ。


「はいはい、何でもいいから撮影場所に行くぞ」


 そのツッコミをスルーして、俺は撮影場所へ向かった。


「ちょおっとぉぉぉぉ! 待ってぇぇぇぇぇぇぇッ!?」


 わぁぁぁん……と泣きわめきながら、アーシェは俺の後を追いかけていった。




            ※




「これより撮影を再開しまーす! その前に――新しい子が加わりました~~!」


 レイベルさんが撮影再開を宣言すると同時に、俺はアーシェと一緒に撮影ポイントの場所へ立った。そして長蛇の列から、パチパチと歓迎の拍手が響いた。


(う、うわぁ……カメラマンの目つきがヤバい)


 列の方を見ると、ギラリンッ……とまるで獲物を狙うかのような鋭い目つきで、念入りにカメラの調整やフラッシュ用の機材を取り付けていた。多分、殆どが雑誌やコラム、イベントレポーターのカメラマン達だろう。『イベントの特集!』とか言って、かっこいいポーズで撮った写真をネット上にあげるんだろうなぁ……そうだ、名前も載るんだ。……って事は――アーシェはもうほぼ本名で言っちゃったよな?


(……黙っているか。本名が晒されること……あと、俺は偽名で自己紹介しよ)


「それでは、新しい看板娘(?)から自己紹介がありまーす! 皆様、ちゅーもーく!!」


 レイベルさん……看板娘の所で(?)を出すの止めてくれませんか? 一応、女装とはいえ女なんですから。


「ご、ゴホン……み、みんなぁぁぁぁぁッ! こーんにちわぁぁぁぁぁッ!!」


 声のトーンを高くし、女性っぽい挨拶をする。


「「「こーんにちわぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」」」と、一斉にカメラマンたちが挨拶を返してくれた。


「は、初めましてぇぇ! わ、私はなつりんでーすぅ! アーシェちゃんの大の友達なのぉぉぉぉぉぉぉ!」


 ギャルみたいにピースポーズを取って、更に女の子になりきる。あ、あ……恥ずかしい。マジで死にたい。なんでこんなキャラでやらきゃあかんのだ? 自分自身でやってあれだけど。


「なつり~~ん! もしよかったら、キャラと同じ種○○沙ボイスでやってくださぁぁぁぁい!!」と、一人のカメラマンが無茶すぎるお願いしてきた。


「「「なつり~~ん、お願いしまぁぁぁぁぁぁぁぁす!!」」」


 ぜ、全員が望んでいるだと……? 拒否……したいけど、カメラマンヲタクなどの熱き視線が突き刺さってくる。『早くやってくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!』と、一心同体に伝えているんだろう。


(うぅ……ええいッ! 今の俺は女だ、羞恥心を捨てろっ!)


 強い念を入れ、すぅ……と息を吸う。そしてあの人に真似ながら、あの名台詞を言った。


「――チッ、はいはい……」


 最後まで言いたかったけど、大人の事情に引っ掛かりたくないのでここまでにした。

 そしてカメラマンとヲタクたちは、シン……と黙り込んでしまった。な、なんだ……この不気味すぎる静けさは?


「「「は――――」」」


(は……?)


「「「ハスハスぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!! な、なつりん様ぁぁぁぁぁぁッ、僕を罵って下さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいいいいいいいいいいいいッ!!」」」


 と、カメラマンとヲタクたちが一斉にヲタ芸を始めた。ホイホイホイホイホイホイホイ……と、めっちゃ綺麗に乱れなく踊っている。す、すげぇ……感心してしまう程、キレのある踊りだぜ。


「あれ? これって彼氏クンの方が人気あるんじゃないのか? アーシェちゃん」


「むぅ……なんか、人気取られてムカついてきた」


 と、俺の隣にいた二人がぼそぼそと何か言っていた。まあ、俺はヲタクやカメラマンたちのオタ芸にあっけ取られて気付かなかったけど。


「「「ハスハスハスハスッ! 俺はなつりん様に付いて行くっすぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!」」」


「あははは……あ、ありがとう……みんなぁ~~」


 うわぁ……やべぇわ……と、ヲタクとカメラマンの激しい応援に少しドン引きした俺であった。


(あぁ……なんだろう、コスプレイヤーさんの本音が何となく分かったような気がする。確かに楽しいけど、なんかウザいわ)



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