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残念な自堕落女神と不器用(ヘンテコ)な恋 ~勇者を探していたら自堕落生活を送っていました~  作者: 本渡りま
アーシェと沙耶のプール遊び編!(ムフフと恋愛アリ)
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アーシェと沙耶のプール遊び!①(停電でゲームできなくて萎えていたら、プールに誘われました……)←Byアーシェ

 夏――それは地獄でもあり、楽園に行く機会でもある――


 ※


 ――時は八月の頭。この国の学生は夏休みに入り、楽しんでいるのだろう。


 まあ学生でもなく社会人でもない、この女神の私はいつも通りネトゲとエロゲを楽しんでいた(つまり、廃人ニート)。


「あぁ……あじい……」


 パタパタとワイシャツの中に空気を通して涼しくしているが、全く効果なかった。おまけに胸がデカすぎで腹まで風が全く入ってこない……。あぁ……巨乳を羨ましそうに見ている貧乳がうらやましいよ……。風が入ってくるんだから……(貧乳の皆さんすいませんでした)。


「全く、こんな時に停電が起こるなんてよぉぉぉッ!」


 そう、今日に限って電柱交換のせいで朝から夕方まで停電になっていた。まあ幸い夏奈実くんのパソコンは小型の自家発電機のおかげで普通にゲームプレイは出来る。ただし、オンラインゲームは全くできなくなってしまったけどね。


「あぁ……暑くてエロゲなんてやっていらんねぇよ……。ゲーム見ているとムラムラするほど、熱い展開ばっかりだ。見ているこっちまで熱くなっちまうわ!」


 なんて一人で愚痴る。まあ、こんなあっつい中で熱々な恋愛ゲームをやるって言うのもあれだけど。


「あぁ……あじい……早く電気回復してくれねえかな……。干からびたミイラになっちまうわ……」


 近くにあった団扇を手に取って必死に仰ぐも、熱気の風しか来なくて汗が出る一方だ。


「こんな時にネットカフェ行きてえけど、こんな猛暑の中歩きたくねぇ……」


 今朝の天気予報で、今日も三五℃を超える猛暑になるという。まあ、最近になってからずっと猛暑の毎日だ。それなので、外に行く勇気は微塵もない。家でぐーたらした方が、まだマシだ。

 ――コンコン、と入り口の扉をノックする音が聞こえた。


「どうぞー勝手に入ってー」


「アーシェちゃん、今暇かな?」


 そこに現れたのは沙耶ちゃんだった。そしていきなりの質問をしてきた。


「ん、暇は暇だけど……?」


「暇か……。それじゃあ、今からプールに行かない?」


「プール……って?」


 私は沙耶ちゃんが言ったワードに思わずオウム返しに言った。――プールってなにぞや?


「あ。そっか! アーシェちゃんはロシアに住んでいたからプールって知らないんだっけ?」


「え、えぇ……うん」


 正直言ってロシアにプールあるのかも知らないし、第一プール自体知らない。


「えっと……プールって言うのはね、まあ簡単に言えば水遊びにアトラクションを付け加えたモノかな……? まあ、こんなものがあるんだよ」


 うまく説明できなかったのか、スマホを取り出してプールの画像を出した。確かに、大きい箱の中に水を入れて遊んでいる。それに滑り台、流れる箱……? 色んなモノがあるんだなぁ……プールって。


「プールの事は分かったけど、なんで行くの?」


「なんでって――そりゃ、リゾートプールの割引券があるから行くに決まっているでしょ? それに割引券の有効期限が明後日までしかないんだよ」


「へ、へぇ……なるなる。それなら今日じゃなくてもよくない?」


「ダメ、明日から水泳部の練習合宿で居なくなるから」


「――だったら、夏奈実くんと一緒に行ってきなよー」


「兄さんは今日バイトで居ないの。それにアーシェちゃんに夏の楽しみを教えたいの!」


「夏の楽しみねぇ……、暑いの苦手だからずっと家でゲームしていればいいんだけど……」


「だーめッ! ゲームばっかりやっていると廃人になっちゃおうよオオオッ!」


 と、半ば強引に私の足を引っ張った。それに抵抗するように机にしがみ付く。

 くそ……沙耶ちゃんって思ったより強い。華奢な躰しているのに……なんでだ?


「いやだぁ……こんな暑い中出掛けたくなぁいいいいい!!」


 猛暑猛暑って毎日天気予報で言っているのに、出かけるなんて死刑宣告を告げているもんだぞ。だったら、蒸し暑い家で過ごした方がマシだ!


「観念しな! どうせ今日は停電の日! 家で蒸し暑く過ごすよりプールで遊んだ方がめっちゃ楽しいぞおおっ!!」


「いやだぁーっ!」


「仕方ない……こうなったら――くすぐりの刑じゃーっ!」


 沙耶ちゃんはにやりとした表情をしながら、こちょこちょ……と足をくすぐり始めた。


「あっ! しょ、しょこわっ!? ら、らめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」


「こちょこちょこちょこちょ……。ぎひひッ! 観念して出かけましょーっ!」


「あぁ……やひゃ……ぜふぁいに、……いかなあああああああああああああああああああっ!!?」


 思わず気を緩んでしまい、手を放してしまった。


「さー行きましょ、折角の夏なのにプールに行かないなんてどうかと思うわ」


「いやだぁ……止めてくれぇぇ……」


 がくりとオ〇ガの死に際のポーズを取って、引きずられた。……沙耶ちゃん。分かったから、いい加減引きずるのを止めてくれないかな?

 ……階段に差し掛かっちゃう。


「よいしょ……よいしょ……」


 私の足を離して起き上がってって言うのか? 甘いぜ……まだここで――ゴンッ!


「アだだだだだだっ!! さ、沙耶ちゃん! 階段でも引きずらないでくれえっ! 頭が痛くなるうっ!!」


「あ、ごめん。離したら逃げるかと思って引きずっていたんだけど――」


「……分かった! 沙耶ちゃん、プールに行こう!」


 まあ、しょうがない。折角の誘いだし……しつこく断っても、今の態度で連れて行きそうな予感がする。それなら、大人しく沙耶ちゃんと一緒に付いて行った方がマシだ。


「え、いいの? ありがとー!」


 感謝の気持ちを伝えたいのか、私の体を抱きしめてきた。ぎゅううう……と絞めつけるように抱きしめるなんて……、ちょ、苦しい。


「沙耶ちゃん、苦しい……」


「あ、ごめん」


 抱きしめるのを止めた瞬間、私は大きく深呼吸した。


(はぁ……苦しかったぁぁぁッ!)


 なんという強さを持っているんだ……華奢なのに。まあ、そんな事はどうでもいいか。


「そんじゃ、出かける準備して水着買いに行こう!」


「――え? プール行くのに水着無いんですか?」


「ううん、去年の水着のサイズが小さくなっちゃったから買い直そうと思っていたの。それに、アーシェちゃんの水着も買わないとね」


「別に……私は沙耶ちゃんの去年の水着でいいんですけど」


「絶対小さいからやめた方がいい。チッ――」


(え……? なんで舌打ちしたの、意味不明なんですけど?)


「まあ、とにかく行く準備して」


 沙耶ちゃんはリビングの方へ向かい、準備し始めた。準備しろって言われても、今持っているカードケータイ(カード型の携帯電話)だけで十分だけどね。


(待って居よ……準備は済んだことだし)


 私は沙耶ちゃんの準備が終わるまで待つことにした。こんな蒸し暑い廊下で待っているのも嫌だけど、すぐ出かけるぐらいならここで待っていた方がいいな。


 

 ――十分が経過した。未だに沙耶ちゃんが玄関に現れない……準備終わったかな?


「ごめーん! 財布探していたら時間かかっちゃった」


 タタッ……と急ぎ足で私の所に来た。そしていつの間にか沙耶ちゃんの服装が室内で着るジャージから、裾にフリルのある白い洋服とデニムのショートパンツ姿に変わっていた。最近の情報番組で紹介している夏服を着ているのかな?


「そんじゃ、行こう」


 私は颯爽と玄関に行ってサンダルを履く――としたのだが、肩をがっちりと掴む沙耶ちゃんによって阻止されてしまった。


「ねえ、そのままで行くつもり?」


 そのまま……私って今はダボダボのジャージとスポーツTシャツを着ている。


「うん」


「うん、じゃないわよッ! も少し女の子らしく可愛い服装にしなさああああああああああああああああああああい!!」


 服装のせいで怒鳴られた。別に服装なんて何でもいいんだけど……。


「ちょっとこっちに来て! こんなダサい姿でショッピングなんて恥ずかしくて仕方がないわ!」


 相当お怒りの様子になった沙耶ちゃんは、私の服の襟首を掴んでリビングに向かって強制的に連れてかれました。


「またこのパターンなのおおっ!? ちょ……沙耶ぢゃん……くるじいいいいっ!!」


「おしゃれしない、アーシェちゃんが悪い!」


「別に服なんて着れば何でもいいでしょぉぉッ!?」


「よくないわ! 乙女は外に出るこそ、可愛くしなきゃいけないのよ!」


 えぇ……と思いながら、私はリビングに軟禁?されました――


「ふふふっ! 観念しなさい! これから私の手によって生まれ変わるのよぉぉッ!!」


「い、いやあああああああああああああああああっ!!!!! 夏奈実くん、助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」



 こうして、絶望の着替えタイムが始まったのだ――――

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