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⑦棚からぼたもち
棚から甘い香りが立ち込めてきた。
ソファから起き上がってゆっくり歩き出す。
ソファで寝始めた時よりもゴミらしきものが増えて、床が見えなくなってしまっていた。
思うように前に進むことが出来ない。
特に棚の前にヤバイほどゴミが積み上がっている。
ゴミを掻き分けても掻き分けても、なかなか辿り着けない。
このニオイと棚のガラスから覗くカタチは、ぼたもちに違いない。
一生懸命、足を前に出す。
そして、やっと辿り着いた。
親友の部屋は汚くて本当に動きづらすぎる。
でも、ぼたもちを食べられるのだから、そんなことはどうでもいい。
そのものを食べようとしたが、なにかがオカシイ。
なんとそれは、実寸大のぼたもち消しゴム香り付きだった。
“ああ。食べたいな、本当のぼたもち”