0007
<ノータイトル>
遠くで光る、星々は語る。
この輝きを見ろ、と。
何億、何千と離れた、その場所へ届くほどの、
この光を見ろ、と。
君たちの足元を照らす光だ、
暗闇は怖ろしい、
時に友となる存在だが、いつもの彼は君たちの希望を脅かしてしまう、
だから私たちが光るのだ、と。
夕空は、静かに、黒一色に染め上げられる。
中には、よく見ると青が混じっていたりもするけれど、
ほとんど黒が占めている。
カラスが空を覆っているのだ。
三千世界、数多の空空が彼等の手に一度は堕ちる。
けれど、
いつかは、やがては夜明けがやってくる。
定められているというだけで。一定の法則に従って。
べっこう飴みたいな宝石を舐めても美味しくない。
しかし、美味しくないと分かっていても舐めずにはいられない。
それもまた、法則のうち。定められたモノの中。
君は笑っている。鎖に繋がれていながら。
不自由しているはずなのに、
そう思っていると、君はこう言った。
「でも、私は自由なんだ」
ねぇ、覚えているかい?
沼に足をとられ、ゆっくりと沈んでいく安堵の顔を。
最後の一言は、
「ようやく、これで終われる」
だったんだよ?