0068
「秋の死に場所」
陽気な葬儀屋一人死にかけ、
まな板の上で踊るのはサンバのリズム。
謝肉祭に狂い、肉ばかりをそぎ落とす単純。
妄想癖のオラトリオ、会話に猫を挟む、
不思議な両手を縛り付け
括る日輪の影法師、
占いで嫌なことばかりを突き付けられ
ここが何処かさえも遠い幻。
島の中に楽園を結ぶ、
胸の舌で不快を鳴らす、
触れるものの先端を縊り、
群れの中で溺れる様相。
戻りかけの右足を破棄し、
卍の交差点に立っていた案山子、
全部燃やして灰にして
火の粉の舞う麦畑で浚う黄金。
流れていく明日の鼓動を聞き、
まだ駄目なんだと未来につぶやく。
噓つきの寝言ばかりが耳にまとわりついていて、
もう戻れないのだと思うと涙がこぼれた。
青い衣は脱ぎ捨てて、笑みのままの抽象画。
紫の羽を千切り、赤い花をささげ、
口紅の酔いを醒まし、
静かに懇願する。
するり流れていく昔話に、
心を躍らせた幼子はもういない。
皆 燃えてしまった。
風にさらわれたままで、思想は古く、根が腐る。
思いの丈は短すぎ、破滅の鐘は鳴らし切り、
絶え間ない腹痛に身をよじる、
痛風のなんとねちっこいことか。
芋の苗を全部掘り返した墓荒らし、
三つ指の示し方を忘れ、
右半身の使い方を消去する。
崖の淵から身を投げて、
堕ちていくままに言葉を紡ぐ。
揶揄いの意味を知らず、そのまま暴力をふるった。
投げ捨てたはずの左半身と合流し、
渦の中をじっと見つめる。
小さな魚がこちらを見ている。
足の生えたマグロが泳ぐ。
海の境で素潜りしつつ、貝の法螺話を肴にする。
増えていく愚痴の多さに辟易し、
きょうもまたありもしない被害を捏造する。
回廊が続く、降りる、上る、わからなくなる。
無責任さを糧に、雑草を育てる。
鉢の中には何もない。ただ、空想の木を育てていたかった。
街並みの化粧をはぎ落し、
あぁ、やはり赤色と黒色の狭間だった。
白粉を塗りたくり、奇妙な月の穏やかな光を遮り、
このままで狂えると十月、
明日の蠟燭を吹き消す。




