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<ノータイトル>
息がつまる。
雨が降る前の兆候というのは分かりにくいものだった。
少なくとも私にとって。
条件付きの刃が鈍く光る。
橙の閃光が目に見えて色褪せて、ここではないどこかに飛び立つ鳥の後ろ姿。
最終目的地が泥に塗れて、皮肉気にこちらを視ている。
全てをゴミ箱にぶちまけて、あの悪魔に一言告げたい。
右目が潰れ、夕焼けが染みる。
毒の一滴に希望を見いだし、鐘の音の祝福に暴言を吐いた。
認められないことばかりが空中を散歩し、すでに失われた感情の螺旋形。
回転の意味を求めて、さらしを巻いた夏の日。
夕立に逃れた凧揚げ、篩をかける小豆売り、その場しのぎで腹立つ右手の番人。
不浄の再現、耳鳴り止まず。
それだけで、それだけが救い。
後光に唾吐く行為、無理難題の小頭、黙りこくる友人の笑い声。
興味の失せた晒し首、紺碧の切り口、みんな、呪われればいい。




