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「ナリソコナイ」
顔を上げて目を背けて、
太陽の滲む丘に吹き荒ぶ風の涙。
やがて空は知るだろう。
大きな悪意の行く先を。
大切だったものは皆死に絶えて、
夕暮れの鳴き声に口を閉ざす。
先に剣を振り上げたのはどちらだったか。
奇妙な沈黙の価値を鉛に変えたのは化物だ。
不在の神に求めるのはお門違いで、
今ある者だけで解決すべきなのに。
祈るだけで、念じるだけで望みが叶うなど嘘で、
叫び声の保有者は拳を握りしめなければならない。
遠くに聞こえる静寂の痛み、
風に揺れる黄金の麦畑、
青色の衣を纏った王様、
手の届かない幸福、
さよならも言わずに彷徨う亡霊、
禁じられた遊びの成れ果て、
微笑みに隠された汚泥の黒。
狂気だけが理性的で、歩みは止まらず、
横たわる不安だけが現実を訴えていた。
鳥は飛べるはずなのに、
自らのいる籠から出ようともしなかった。
そこから見える景色の移り変わりを楽しむだけだった。
踏み鳴らされる大地の足音が響き、
すれ違う視線越しに殺意を交わす。
「今日は良い天気ですね」
「ええ、絶好の殺傷日和ですわ」
そんな会話が交わされたとかされなかったとか。
手拍子の不規則さに辟易し、
振れることもできなかった柔肌に情欲の赤。
奇妙に折れ曲がった右手に根性の別れを。
まだ私が子どもだった頃、
駄菓子屋で見せた浅ましすぎる想いの行くつく先を、
あなただけが知っていた。
アソパソマソ




