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Automatic writing  作者: 半信半疑
49/73

0049

<ノータイトル>


 水面に映る顔には思想があった。

 豊かな黄金の慈悲に縋り、

 亜麻色の髪に委ねた奇跡。

 温情は何よりも甘く、

 犯しがたい誘惑。

 綺麗に折りたたんで、宝箱に仕舞っていた過去。

 黄昏の彼方に見た笑顔は遠すぎて、

 伸ばした手が消えかかる。

 風の尻尾はゆらゆらと揺れて、

 静かに流れる音楽に耳を澄ました。

 濁りのない、

 透明な光が欲しかった。

 呪われるとしても、

 先に痛みがなければ耐えられると思った。

 溶けるような熱はどこにもないのだと知ったのは、

 夕暮れを過ぎた喫茶店の悲しみに包まれた時。

 口の中が渇き、

 嗚咽が零れる。

 目は血を流す歯車。

 君はいない。

 彼は死んだ。

 棺桶は全て燃やされてしまった。

 篝火に飛び込む勇気は無いので、

 車輪に引かれるのを夢見ている。

 オルゴールの響きに取り込まれ、

 迷い込んだ路に誰もいない。

 すでに知っていたことだ。

 あの場所に誰もいないのは。

 真夜中で叫び声をあげるのは全て怪物だと教えられた。

 銀の雨を浴びたのは偶然だけれど、

 霧に紛れたのは必然だ。

 確率の話はしたくない。

 不機嫌な木々は歌を嫌う。

 音色が狂わせるからだ、と。

 正直に言えば、

 どうしてそうなったか何て分かりはしないんだ、

 ただ、果ての無い疑問だけが渦巻いていて、

 遠くに映る永遠に手を伸ばしただけなんだ。

 化け物は知っているよ。

 暗闇の中に虹があることを。

 こっそり教えてもらったんだ。

 社の中で踊りを踊り、

 時の彼方で日が暮れる。

 茜の狂気、

 醜悪な苦しみ、

 呼吸は知らない、

 あの中にいない。

 無人駅に包丁を持ち出して、

 道具を全部だめにして、

 無知に救いを求めた。

 何もしらない哀れな道化に安らぎを下さい。

 揺り籠が静かに軋む。

 穏やかさだけが欲しかった。

 望むと望まないとに関わらず、

 神経は欲望に苛まれる。

 無理を言って済まなかった。

 ごめんなさい、

 その一言が言えなかった。

 私は恥知らずだった。

 極まって、陥れて、陥って、転げまわって、

 泥の中に沈むのがお似合いだと、

 棺桶の主が言う。

 球体は欠けを孕み、

 無様に砕け散るはずだ。

 たとえ、誰にも縛れなかったとしても、

 きっと自壊するだろう。

 虫のいい生意気さを、みんな嫌っている。

 終始笑顔につとめたとして、

 そこに楽しみは転がっていない。

 啄木鳥が啄んだのは、

 お揃いの革紐で、

 あの優しい眼差しはもう、

 二度と見れないのだ。

 夕暮れが泣いている。

 傍には誰もいない。

 誰も見えないまま。

 強張った右手が彷徨う。

 血が滴る。

 砂場に埋もれたスコップは銀色で。

 どこにも死んでいなかったんだ。

 鐘の音が聞こえる。

 死者を弔う鐘の音。

 あの赤は何色だったんだろう。

 もはや、知る由もない。

 知る資格もない。

 私にはその資格がない。

 与えられるはずもない。

 もう、いいんだ。

 静かに眠りたいだけなんだ。


『Lilium』を聴きながら。

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