0047
「融解情緒」
奇怪な歯車がくるくる回るのを
日がな一日眺めていた。
燃え尽きることのない灰の炎に手をかざし、
小さく呟くのは破滅の願い。
消える、消えていく言葉の鎮魂歌。
梟の瞳に幸せを見出すのは、
森に潜む優しき緑。
群れることなく寂しげな木の葉の足跡。
箒星の塵に別れを告げ、
昨日の戯言全てをゴミ箱に突っ込んだ。
紙くずの涙を知る者はいない。
誰もそれが大切なものだと思わなかったんだ。
好きだよと言う言葉さえ矛盾をはらみ、
綺麗ごとの夜叉が怨嗟の声をあげる。
私からあげられるものはない。一つとしてない。
それは意地悪からではなく、
単に、私が持たざるものだからである。
夜空でさえ数多の宝石を持つというのに、
私ときたら非生物にすら劣る。
劣等感の仕返しが怖い。
恐れをなした蛙が一匹ゲコリ。
緑の雨降る森の中、賢者に会うことができなかった。
そうやって不幸ばかりを嘆いている。
どうしようもないのだと俯いている。
だってしょうがないじゃいか。
絶えず襲ってくる不安と焦燥と苛立ちと悔恨と、
罪の毒に侵され続けている。
何より伸ばした手のどす黒さに辟易しているのだ。
いったいどうしろというのだ。
無理難題を突き付ける月の影に隠れ、
これからの未来など信じない愚者に助言でも?
不義理などとっくに貯蓄済みだ。
ビックリ箱の奇想天外は売り払ってしまった。
すぐさまやってくるはずのピエロにも愛想をつかされた。
黄色い銀杏の約束は誰も守ってくれない。
静かに溶けさせてくれないか? 世界を巡る風の中へ。
私もあれらの一部になりたいんだ。
言葉を失う事さえ厭わないほどに、
それだけを望んでいるんだ。
あぁ、金木犀の香りが恋しい。
音楽を聞きながら、そのまま打ち込み。




