0044
<ノータイトル>
憂いの青に溺れつつ、
対岸の火に雨を見る。
呼吸の荒さはいつだってハンニバルのせい。
ミミズクの羽が舞う森の中、
最近の趣味は足跡をたどること。
口の裏に縫い付けられたドレミの音符は、
時折優しいキスをする。
不自由さを感じる鎖は常に冷たくて、
あの日の巨木越しに見た太陽の光が見たい。
無自覚なままでトンカチを振るい続ける。
もしもの話は止めてくれよ。いつまでも抜け出せなくなる。
途方もない金星の輪っかの中で球体は嘘をつき続けるだろう。
それがいかに無駄な行為かを知る賢者はいない。
愚者ばかりが墨を吐いているせいで、
光が拒まれているんだ。
西遊記の原書を燃やし尽くして、
水の上がる丘で宙ぶらりんになって、
鼓動はいつの間にか鉄に阻まれて、
不審なマスクが踊りを踊り、
根っからの慟哭の闇病み。
藁の束を握りしめ、
それが無数の棘だと思い込み、
風鈴の音が聞こえる。
区別がつかないまま、人の底に落ちてゆく。
谷は空を知らない。
君も地中を知らない。
蠢く害の紫の毒毒しささえ知らない。
純粋栽培の真面目君は不知火の元に向かう。
まりもが跳ねている。
兎は死んでいる。
呼吸を止めて一秒の間に篩にかけられてしまった。
煮立った鍋の底にいるのは哀れな人形。
ホムンクルスは失った。命を失った。
持っていないのではなく、失ったのだった。
明かりが明滅しているのを眺め、
反射する銀の川が泣いているのだと思った。
おかしくって泣いた。
霧の中で、彷徨い、
震える咽喉が紡いだ言葉。
真理は行方不明。
捜索届は誰も出していない。
虚構のままだと無数にあるのだけれど。
屋根を超えて山を越えて、
飛び続ける羽が欲しいと、
蒼い羽に願った。
ウォルピスカーターさんの『泥中に咲く』を聴きながら、直接打ち込み。




