0035
<ノータイトル>
秋根の夢に落ちこぼれ、
闇の間に行き、九重は消ゆ。
正気を失った道化の右手、
丘の上に立つ墓石は涙した。
蒸気に燃ゆる先駆けの駿馬、
情報を採用した後、麒麟の首が伸びる。
土の終わり、空の気まぐれ、
下知を喰いだした竜の剣。
人の手に余るが如き雪の白さに、
目が眩むほどの光を身に受けて、
足の心細さに口が開く。
抜け落ちた常識は管を巻き、
彼岸の彼方に罵倒を浴びせる。
紙に記すべき形がない。
戻らない。
戻らない。
どうしてそこまで果てるのか。
針の音が冷たいので、
砲撃の耳を削ぎ落した。
きっと、きっと、
もう一つの手を伸ばしたかったのだ。
雀の舌にのるだけの糊を、
のの字を書くように、
ゆっくりと精錬し、
急な転覆を繰り返す藤野の昂ぶり。
皆、とうに階段を上ってしまっていたんだ。
どうやっても終わらない夏休み。
気球に乗ってどこまで行こう。
どこまでも行こう。
山彦は答えを返してくれる。
鏡は裏側に到達している。
共鳴したダルマの眼は虚空を映し、
雷鳴を対価に尻尾を生み出す。
契約を結べ。
契約を果たせ。
溶け落ちていく右頬は知っていた。
夏の暑さと、
蚊の暴力を。
君は言っていた。
口裏合わせの災禍を。
病は際限なく広がり、家の内に渦を巻く。
策の無いままに猪突猛進。
鍛治のさざなきに暗む。
そのまま打ち込み。




