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「垣間見えた幸運」
天使は死んだ。急に死んだ。
天より落下し、地上付近で。
もがいただろうか、羽ばたきは訪れなかった。
蝋は焼け爛れ、足はひん曲がり、指の先の赤で文字を書く。
明日の天気はいかが? 太陽は知らんぷり。
人々は周りを歩き、天使の半径0.5ヘクタールを
緑で埋めることにした。
天使は何も言わなかった。
ラクダのこぶが引き裂かれ、地を潤した後、
はたと天使は起き上がり、空へと帰っていった。
人々は口を大きく開けて、そこから諸々の憎しみと傲慢を吐き出した。
緑は枯れゆき、地は獄を招き入れる。
そう、すでにラッパは鳴っている。
気づいていないだけで、終わりの鐘は壊されているだけで、
我慢のしようもないのだ。
明後日の光は過去へと導かれ、続きは永遠に失われた。
地図を引き裂いた子供は、それらを丸めて口に含んだ。
急な癇癪は玉となって、天空で爆発。
これ幸いと、金貸しは賄賂を贈る。
善と悪の親玉菌は、そこから九千を奪い去り、西へと消えていった。
もう眠りなさい。明日も早いんでしょう?
母がささやく。
聖が曲がる。




