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「空飛ぶ島」
大げさに叫ぶ鳥たちは、自分たちの領域に別の種が現われたことを知った。
島が浮遊している。
大きな島が、まるで大きな鳥のように空を優雅に飛んでいる。
鳥たちは最初、攻撃を仕掛けていたが、
島が何の反応も示さないことを悟ると、
そこに巣を作り、自分たちの居場所にしてしまった。
羽ばたきが幾日も途絶え、やがて一匹の鳥も飛ばなくなると、
島は空を飛ぶ唯一の鳥になった。
巨体は静かに飛んでいる。
音もたてず、ただただ空を飛んでいる。
雨の日も、風の日も、雪の日も、嵐の日も、
島は空を飛び続けた。
小鳥は生まれなかった。
島は一人で、たった一人で空を飛び続け、
やがて、太陽が沈んだある日、
真っ赤な空と一緒に地面におりた。
小さな声が聞こえた。
地面という母は、島を温かく迎え入れてくれた。
島の一生は、こうして幕を閉じた。
夢の中で「これは夢だ」と初めて分かった日。




