0029
<ノータイトル>
紅の燃える坂、慈しむほほえみを張り倒し、弓は引かれて西消えた。
殺伐とした湖の番人二人、番いの夢を引き裂いて、窓辺の餅は詰まり気味。
午前の基地はたえず静寂して、のっぽの黒服、逃れ行く光。
口直しのデザートアイスは砂漠にぽつり。
狂言吐きの嘘つき人間は、サーカスブランコでゆあんゆよん。
右に左に揺れ揺れ揺れた。
狭間に何かが煌いて、それでも鳩はくるっぽー。
振り子時計の音は切れ切れ、中央の囁きは遠い彼方。
上限の無い隙間にカエルは飛び込み、鐘はけたたましく鳴らされた。
テロメアの崩壊、回帰する怪奇現象。
倒れない人形、ヒトガタの偽り。
嘘ついたら針のます約束はずっと続いて、夕暮れの真っ赤はゆっくり落ちていく。
沈む沈むよ、昇る昇るよ。
咳止めはないよ、全部使ったから。
最近の砂金は川底に潜り込んでいる。
貝のお家は必要ないってさ。
君の為だと叫んだ欲望は、テカテカと汗まみれ。
何も見えていないのだ。
君の持つ銃も、燃える血潮も。
おけらだってアメンボだって、地を這って、泣きはらして、
誰もいない暗闇に消えていくのさ。
サラサラの血は止まることを忘れて、ずっと動きまわっている。
何もかも忘れて、ただそれだけ続けて。
チロルのチョコの個包装をゆっくり丁寧に剥がしていくと、
中に包まれていたのは人の瞳。
人人人の瞳がやつを見る。
原っぱの落ち武者は頭の矢を抜き、地に座す。
抜けていく緑の風は爽やかで、とても心地良くて、
自分がいることすら忘れそうになって、遠くの陽炎はそれをじっと見ていた。
上機嫌に笑う鳥は大空に羽ばたき、翼を陽で焼いた。
さぞ健康的な小麦になっただろう。
◇20190324
・一行目、さすがに「ほほえっみ」は打ち間違いだろうと思ったので訂正。




