0028
<ノータイトル>
ふわり浮かぶ月の重さで、今夜の風はゆらり揺れてる。
耳たぶの赤さは恋の熱。夕暮れも嫉妬する君の声。
カラスはカァカァ鳴いてるけれど、あの子はわんわん泣いている。
慰める言葉はのどに詰まって、呼吸困難を引き起こした。
貝に耳を当てると、海の囁きが聞こえるよ。そう教えてくれたあの人はいない。
もう遠い昔に旅立っていたんだ。
向日葵が咲く丘で、太陽は愛を探してる。
どこにでもある、ありふれた永遠は言った。
「もうすぐ沈むのに、どうしてそこまで熱心なんだい?」
太陽は答えた。
「とても欲しいから。不安定で安定した熱が、僕を私を突き動かすんだ」
ねずみの尻尾は左右に動き、予定に無かった月食が始まる。
「あぁ、世は何を求めているのか」
汚れた水で息をする魚は、世界の見え方を気にしている。
あくびを一つ、子どもは眠る。
優しく溶けた不定形のチョコレートは、ただ甘さばかりを主張し続け、
苦みのデモ行進に吸いこまれてしまった。
「青狸のポケットを奪い去り、望む世界をつくるのだ」
ドアというドアを破壊し尽くすシャツの襟は叫ぶ。
餅の弾力は絶えず反発し、金の王冠は地面に投げ捨てられる。
靴は親指に穴があき、孤独を垂れ流した。
愛など知らない、生まれたばかりの子羊は見つめる。
酸素を求めて体を抱く夢たちを。
黄色い光は暗がりに手を差し伸べ、二人で太陽の元へと向かった。
歌詞の行方は知らないままで、闇雲に我武者羅に歩き続ける若人の群れを、
年老いた蓄音機は静かに見守った。
熱は、赤い魂は、
世界を巡り続け、胎動する球体に、そっと口づけを落としている。
最初、ちょっとリズムがある。すぐに消えるけど。
<個人的MEMO>
『水の色銀の月 2』読了後。




