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詩のタイトルは無いです。
今後も、タイトルが無い場合は
<ノータイトル>
と表記します。
<ノータイトル>
くらりくらり。音鳴る方へ。
手を打ち鳴らしながら、君の姿がかき消えた。
波のまにまに、涼し気な風鈴の音色。
きらめきは失われた。
歩いているうちに。
泳いでいるうちに。
もがく腕が頬にあたったので、私は大きく振り払った。
黒い虫が大量に湧き出して、辺り一面に暗闇が生まれる。
足元さえも見れない。
地中の土竜は、
一歩踏みしめるごとに生まれた波形を追って、
位置を割り出した。
坊や、もうすでに眠りにつく時間よ。
土塊がそう言うのと同時に、
握りこぶしは破裂し、赤の閃光。
咥え煙草の叔父が呪文を唱える声。
人ことごとく崩れ、山は呑み込み、地に臥せる。
急な上り坂を踏破した先にあったもの、それに用があった。
が、すでに誰かが持ち去っていたようだ。
雨粒が降る。
溶けだす地面。
やがて、私も溶けだした。
かえりたがっていたのかもしれない。