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<ノータイトル>
荒れた川が叫び声をあげる。
痛い、苦しい。
夢は夢だから良いのだと言っていた追い人は、
何処かに消えた。
煙はずっと空を目指している。
果てなどないのに。
何処までも上へ昇っていく。
紫の果物は毒毒しく見えた。
ので、畦道に放り投げてしまった。
正直に白状すると、どうでもよかったんだ。
石は蹴り上げるものだ、と
誰も教えてくれなかったけれど、
そう思う。
家までの帰り道
ずっと蹴っていたら、ツツジの赤が笑っていた。
それは駄目なことだよ、と言われて、
思わず顔が赤くなる。
おそろいだね、とは言えなかった。