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Automatic writing  作者: 半信半疑
13/73

0013

<ノータイトル>


 あの日、

 あの日の夕暮れはいつもと同じだった。

 茜色の空、ゆっくりと飛ぶ蜻蛉の目玉。

 複眼に映る太陽の残りカス。

 希望が燃え、朽ちて溶けた。

 稲穂が静かに揺れているから、

 長く伸びた影が見守っている。

 それを遠くで確認するススキ。

 白い毛が交互に頬を叩いたので、

 私が私だと気づかされる。

 おーい、そこにいるのは誰なんだい?

 山に問いかけるが、山彦はやってこない。

 誰に言ったんだ? 誰に?

 疑問符ばかりが浮かんできて、

 感嘆符は姿を見せないでいる。

 足跡は消えた。

 命の残り火が見えた。

 中央で燃え上がる炎の揺らぎをじっと見つめている。

 明日が来ない。明日は来ない。

 誰に言われたわけでもないのに、

 思わずそんなことを考える。

 夢ならばいいのに。夢だったのに。

 捧げられたイケニエは、

 もはや何もできない。

 ただ、縄で縛られたままじっとしている。

 そうすれば何かが終わるんじゃないかと、

 信じているんだろう。

 重たい石が引きずられてこちらに来る。

 積まれ続けて小さい塔ができた。

 しかし、次の瞬間には、

 崩されてしまった。

 儚きものよ。

 留まることさえもできないのか。



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