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魔人大学生 第三話 咲花 望

 「ね・・・ねぇ咲花くん。」


 授業終わりに珍しく楓花から咲花に話しかけてきた。咲花からすれば嬉しい限りだ。この二人の関係は回復学科の生徒たちからすれば、吹っ飛ばした人物と吹っ飛ばされた人物が会話しているの見ると、また何か起こるのかと思い、肝を冷やせざるを得ない。その反面、もしかしたら二人はくっつくのではないかという期待もある。


 「どうした?」


 「あ・・・あの、実は最近私・・・・何だかつけられてる気がするの・・・。」


 「つけられる?尾行されてるってこと?」


 「うん・・・・だから、少し怖くって・・・・。」


 チャンス到来であった。咲花は楓花にかなり好意を寄せているため、これは楓花と二人で帰るチャンスと咲花は確信した。


 「そうか。じゃあ、今日は僕が家まで送ってやるよ。」


 いきなり過ぎた。楓花とあまりにも帰りたいがために、本題をいきなりぶつけてしまった。まだまだ男嫌いが克服できていない楓花にはその一言は強烈すぎた。


 「ふあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!?」


 楓花と映画を見に行って以来の爆楓であった。ここ数日受けてなかったので咲花はすっかり油断していた。咲花は椅子に座ったまま飛ばされた。


 「く、クラビトラ!!」


 何とか咲花は自分の体を浮かせて、落ちるのを回避した。すると、教室の外に避難していた他の回復学科の生徒から拍手された。


 「くそ・・・僕が吹っ飛ばされると見越してみんな早々と教室を出やがって。」


 「ああ・・・・またやっちゃった・・・。ごめんね咲花君。」


 「だ、だいじょうぶだいじょうぶ。幸い、今回はケガなしだし。それでどうする?僕が護衛しようか?」


 「う・・・うん。朱音ちゃんは授業が終わる時間が違うし、待ってもらうのも悪いから、咲花君に・・・・お願いする・・・・ね。」


 かなり恥ずかしがっている。男と二人で帰ることは楓花にとってよっぽどのことのようだ。


   ~~~・・・・~~~


大学の正門を出たころだった。なんというかつけられていることはすぐに分かった。というか、明らかに怪しい人物が楓花を見張っている。マスクにサングラス、ニット帽にダッフルコートを着た人物が建物の陰から楓花をうかがう。この温かい春にしては絶対暑いと思われる格好で、誰がどう見ても怪しい。そもそも隠れる気があるのどうかも疑わしいほどだ。


 「あれだよな。」


 「う・・・うん。」


 「僕ちょっと話しかけてくるよ。見たところ女性だし、何かあっても多分大丈夫。」


 咲花は内心、楓花という女性でありながら対処できていない一例があるため、今の言葉には説得力がないなと思った。

 咲花は怪しい人物に話しかける。


 「あの~・・・どういう理由か知らないけれど、楓花さんを尾行するのはやめてもらえます?」


 謎の人物は何も語らない。


 「聞いてます?」


 謎の人物は私に言っているの?と言わんばかりに自らの人差し指を自分に向ける。


 「はい。あなたに言ってます。」


 「ええっ!?きらりに言ってるの!?び、尾葉?なんのことかな!?きらりはゴキブリじゃないから尾葉なんてついてないよ!?全然魔人とか探してないし!きらりは何にもしてないよ!」


 「きらりさんね。あと、尾葉って言われても僕分かんないから。」


 「き、きらり?ち、ち、違うよ!あたいの名前は・・・えと・・・・斉藤さんだよ!」


 「いや、自分で自分をさんづけする人がどこにいるんだよ。っていうか君、つっこみどころが多すぎてどう対処していいか分からないよ。」


 咲花が対処に困っていたところに、大河内 未来が現れた。


 「また勝手な行動して。ごめんなさい。この子本当に困った子でして、私からきつく言っておきますから。」


 「にひひ。未来ちゃん、またお母さんみたいになってる。」


 「あなたのせいで捜査どころじゃないわよ。あれだけ勝手なことはしないでって言ったじゃない。」


 未来は小声できらりを叱る。


 「で、あの~どうして楓花ちゃんを尾行してたんですか?」


 「あの子が魔人かもしれないから!」


 「バカ!・・・・もう、あなたは隠し事とかできないわけ?」


 「だってこの人いい人そうだもん!もし、魔人に騙されてたりしたら助けてあげなきゃ!」


 未来は大きくため息をつく。もうどうにでもとなれと思い、事の経緯を咲花に話した。


 「なるほど。ということは魔人はいるかもしれないけれど、根拠もなしにきらりさんが勝手に魔人を楓花ちゃんと決めつけて尾行していたと。」


 「そうなるわね。ごめんなさい。念のために聞くけど、楓花さんが魔人だと思う節はあったりする?」


 「いいや。楓花ちゃんは魔人じゃない。というか、いつかばれることだと思うし、言っておくけど、僕が魔人だ。」


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