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彩の彩り《GL》  作者: 湊つぐむ
2/3

中編『類は友を呼んだ。』

サイコホラーの意味とは?

バイトを辞めて、何ヶ月も経って

千紗夜(チサヤ)のことばかり考えてたら、

あの先輩のことなどすっかり忘れてた。


その油断が仇となった。

私は監禁されてる。今の所、誘拐されて

どこかの一室に軟禁?されてるだけで

なにかされたわけじゃないけど…

その先はわからない……


スマホも奪われて助けを呼べない…


(……助けて、…千紗夜……)


心の中で来るはずもない親友に縋る。


何故かあの子なら、

本当に助けに来てしまう気がする。


私が大好きで、私に依存する

可哀想で可愛い私の親友。


千紗夜を助けたのは、

余りにも彼女の目が死人そのもので

《死んだ目で息をしている》それが彼女だった。

当時、小学校から上がったばっかの

子がする目じゃなかった。


その時の感情は今でもわからない。

ただ漠然と、この子を救わなきゃと思ったんだ。


私達は見た目は違えど、中身がそっくりだった。

人見知りが激しくてコミュ症で、

お互いたどたどしくだけど

ちゃんと相手の目を見て他愛ない話しをした。

それも繰り返す内に慣れていき、

次第にお互いを友人と言える仲になる頃には

千紗夜は私に笑顔を向けてくれるようになった。


千紗夜が無理に笑う時があった。

そんな時は必ずどこかしらに打撲や痣があった。

はやくこの子を救えるようになりたい。

切に願った。


千紗夜が無理に笑う。

その表情は儚げで今にも

消えてしまいそうで私はとても怖かった。


いつものようにその表情を浮かべた千紗夜。

だけどなにか違和感を感じた。

今、話しを聞かなきゃ後悔する。

そんな気がした。


「…最近、元気ないね。大丈夫?」


その一言で千紗夜は泣き出した。

静かに涙を流す千紗夜は綺麗だった。


千紗夜が落ち着くまで隣りで、

千紗夜の話しを聞いていた。


それは同じ痛みを味わってるようで辛くて

私が痛いわけじゃないのに

目に雫が溜まるような酷い話だった。


それが千紗夜の今なのだ。


その時、思った。この子を守りたいと。


あとから聞いたが、

あの日、千紗夜は自殺しようとしていたらしい。


…そんなこと絶対、させない。


千紗夜が死ぬくらいなら、

千紗夜を苦しめる者を殺せばいい。


本気で思ってしまうあたり、

私は相当ヤバイ人種なんだろうな…


唯一、千紗夜だけが私と同じで

私の全てを受け入れてくれる存在だった。


私に嫌われまいと造った性格をしてる

友達とは違って千紗夜だけが唯一、

私に悪いことは悪いと否定して

私を心から思って言葉を吐く。

彼女の私に真っ直ぐに返す好意が好きなんだ。

それは勿論、友人として。親友として。

だけどカーストは確実に恋人や家族の上だ。

…まぁ、千紗夜がいれば

当分、恋人はいらないけど。


そんな矢先だった。

バイト先の先輩から薄々、

好意を寄せられているのに気づいた。

あたかもな態度に気づくなという方がおかしい。


告白されて想い浮かべたのは千紗夜の顔。

千紗夜は私が恋人を作ると嫉妬しながらも

私におめでとうと言ってくれる。

それがわかってるから

付き合っては別れてを繰り返す。

千紗夜が嫉妬するのは私じゃなくて私の恋人。

私が恋人に奪われてしまう、

そう思って悲しそうな顔をして、

だけど私が幸せならばと

本音を隠して笑顔でおめでとうと言う。

本当に可愛い親友。


というわけで私は本命というものが

何故か出来ない。好きとかよくわからない。

千紗夜への好きは友情的なものだしね…


だから恋人はとくに憧れるだけで充分なんだ。


元よりその先輩はストーカー気質だったから

告白を断って避けまくって、

バイトを辞めたのを根に持たれてるようだった。


助けを求めるのは、千紗夜。

警察や家族よりも私を心配して駆けつけてきそう


『さいかぁぁぁああ!!

どこぉぉおお?!助けに来たよぉぉお!』


そうそう、こんな感、じ……

…………え?!


ガチャリ、どれだけ力を

入れても開かなかったドアが開いた。


そこにいたのはストーカーではなく

待ち焦がれていた助けだった。


本当にヒーローはいるんだと

馬鹿げたことを考えてたくらい

その時の千紗夜は

私にとってヒーローのようだった。


『彩花っ!何もされてない?!』


そう言って顔をのぞき込み、

全身を確認してから私を抱きしめた。


いつもは暖かい千紗夜の体温が

やけに冷たくてお陰で少し冷静になれた。


「なんでここが?」


『いいから、見つかる前に早く出よっ!』


わかったのと告げるよりはやく、

千紗夜に塞がれた。



「彩花ちゃん?」


廊下に繋がるドアに手をかけた時、

背後からストーカーの声が聞こえた…


「いけない子だな…また、僕から逃げるの?」


私は恐怖で足が動かなくなった…

彼の手には包丁が握られていたからだ。


『彩花っ!』


包丁を振り上げると同時に

千紗夜が私を庇うように倒れ込む、

ストーカーの手から包丁を奪い、

そして……


『彩花に触っんなっ!!』


男の胸を一刺しして包丁を投げ捨てた……


(……ど、しよ…私のせいで、

ち、さや…が、はんざいしゃに……)


「ごめっ、ごめんなさいっ、わた、私のせ、」


千紗夜は私を落ち着かせるために

また抱きしめた。



『謝るのは私のほうだよーー』


その呟きは小さすぎて聞こえなかった。



『大丈夫!正当防衛立証させるし、

不利な証拠は隠滅しとくからさぁ〜

彩花はとにかく家に帰って警察に行きな?』


「出来れば、一緒にいてほし、んだけど……」


『本当はついて行ってあげたいんだけど

そこまで《もたない》っぽいからさ?

これ片たさなきゃだし、ね?』



それもそうだ。

このままでは親友が罪を背負うことになる。

それだけは嫌だ。

震える足を無理矢理立たせて扉に手をかける。


その時、後から千紗夜に抱きしめられた。

千紗夜が抱きついてくるなんて、

本当に珍しいことなのだが今日は仕方ない。

私も素直に受け入れて甘える。


やっぱり、今日の千紗夜はなんだか冷たい。

今日は雨が降ってたからそのせいかも…

と思ったが彼女は一滴の雫さえついていない。

そう、赤い雫さえついていなかった。


『彩花、大好きだよ。これからも守るから。



ごめんねーー…。』


そう言って背を押されて廊下に出された。

どうやらホテルだったようで、

キーを持ってない私にはどうしようも出来ず、

さっき千紗夜に言われた

通りに家に帰ることを優先した。


ホテルの人に電話を借りれば、

直ぐに家族が迎えに来てくれた。


警察の人も事情聴取で

私に詳しい話しを聞いてきた。


「千紗夜が助けに来てくれたの!

本当にヒーローみたいでかっこよかった!」


そう言うと場の空気が固まった。

…?なにかおかしなことを言っただろうか?


「…えっ、彩花、それは、本当?」


「…?こんなことで

嘘ついてもしょうもないじゃん。」


「あのね…彩花……千紗夜ちゃんは……」


「…大変、申しづらいのですが……」















「………………………え?」
















頭の中でお母さんと

あの警官が言った言葉が谺響(コダマ)するーー












「千紗夜ちゃんはーー

ーーー自殺したのーーーー……」



「《……(イロドリ) 千紗夜(チサヤ)さんは…

本日未明、□●警察署の目前の

○▲ビルから飛び降りを図りましたーー。》」












ストーカーの男だって千紗夜がっ


「あの男は急性の心臓麻痺で亡くなりました。」


包丁に血がついてるはず!


「確かに包丁が近くに落ちていましたが

指紋は男のものしかついておらず、

血も付着していませんでした。」


うそ、だって3回も抱きしめてくれたもん…


(でも…異常に冷たかったのは……なんで、)



『彩花、大好きだよ。これからも守るから。



ごめんねーー…。』


(やめて、……

まるで…お別れみたいな言葉を言わないで……)










『謝るのは私のほうだよーー』


あの時聞こえなかった

言葉が今になって聞こえたーー…






「ぅ、うわぁぁぁああ、ああーーーーーー

あ、あーーあーーーーー!!!」


それから喉が枯れるまで叫んだ…

謝ったって許さない。絶対に。


『私が心を許せるの千紗夜くらい。』

『本当に?嬉しっ、えへへ

私も彩花がいないと死んじゃう。』

『私も千紗夜がいないとダメ』


私には千紗夜しかいないのに、


それを知っていながらなぜ……?






頭の中がぐちゃぐちゃで

もう自分が何を考えてるのかもわからない。










『私を置いて行くなんて許さないから。』







その言葉は一体、誰のものだったのだろうーー?






END?

▼最後にフラグが立ちました。


最終手段とは肉体(カラダ)を失うことで

強い感情(セイシン)だけを頼りに探すこと、助けること。


彼女の自殺は自暴自棄からではなく、

純粋に親友を救うための『手段』だった。


サイコパス的な考えの主人公。

《類は友を呼ぶ》

それは誰のことを指すのだろうかーー。

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