27 激突
馬に跨っていた内の一人が高く上に飛び、空中でクルクルと体を捻りながらゴルドの頭上から一気に急降下し、武器である剣を手に取り襲いかかる。視力が戻ったゴルドは、それに向かいうつ態勢を取り。キーンっと剣がぶつかり合う高音が辺りに響き渡る。
「悪いがゴルドここまでだ」
「やっと現れたと思ったら何をしてるんだ!シャール!」
「あ、あいつは確か……」
誰かと思うとルバガ洞窟でレオンたちに立ち塞がったあの女だった。
「私は、雷鳴を抜ける!それだけだ」
「シャール!俺たちの敵になりたいんだな!?」
「バルゾフ!今回のアレシア姫の誘拐は、反対だった。無謀なんだよ!バルゾフが考えることはいつも!だから、もう私は、付いて行けない!」
「……そうか。寂しくなるよシャール。ゴルド!構わないそいつらを殺せ!」
「シャール!そっちは任せたぞ!」
もう一人。馬に乗っている人物がシャールにそう告げて単独でリーダーのバルゾフの所に向かう。
「あぁ!任せろカーティス!」
カーティスと聞いてシルヴィ、イリス、フィオナの三人は、ビクッと体を震わせて反応した。
「おい!そこの女!今カーティスって言わなかったか!?」
気になったフィオナが大声で聞いた。
「ん?そうだよ!あいつは、お前らのご主人様だよ!」
馬を下りてバルゾフと距離を空けて立つレオン。失った左腕を包帯で覆っているが血がにじんで赤く染まっている。
「お前か!俺たちの計画をめちゃくちゃにしたのは!」
「どうかな。姫が逃げ出してるんだからそっちのミスじゃないか?」
「てめぇ~……ムカつく!全員皆殺しだ!」
バルゾフが自慢の大剣を地面に突き刺すと、その振動で地面が揺れた。
「そんな体で俺様に勝てると思ってるのか!」
「まぁ~大丈夫でしょ。あんた弱いでしょ?右腕あれば十分だよ」
レオンは、刀を握った。その瞬間、少しだけ視界がグラッと揺れ体が重く感じる。レオンは、迷わず鞘から刀を抜くとシューンっと透き通った音がし、刃が光を反射している。
「行くぞぉぉぉぉぉ!」
「来い!」
ブンブンと大剣を振り回しながらバルゾフがレオンに襲いかかった。