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フィア

「あの…どちら様でしょうか?」


目の前にはウサギの耳と同じものを頭につけた美少女が立っていた。

俺たちの方を見て若干震えている。


「俺はユウト。こいつはティアラだ」


ちゃんと自己紹介をするユウト。

少しニュアンスが違うが、それにユウトが気づいた様子はない。


「あ、はい…えっと…私はフィアです。…それで、なぜここにいるのでしょうか?」


自分の欲しかった答えとは違うものが帰ってきたため、言い方を変えて質問するフィア。


「ん?あぁ、ちょっと道に迷ってな」


「道に…ですか。でも人族の方はイゴマの森の奥地までは来ないはずですが…」


「実はある魔物に襲われた時、逃げていたら道がわからなくなってしまいまして…気がついたらここまで来ていたのです。まさか奥地だったとは…」


「奥地なのか…。まったく、いつになったら帰れるんだか…」


ハァー


2人してため息をつくユウトとティアラ。

そしてその様子をじっと見ているフィア…10m離れた木の後ろからなのだが…。


「なぁ、フィアだったか?…少し距離が遠くないか?」


「私たち決して怪しいものではありませんよー」


それは怪しいやつが使う言葉の様な気がするが…と思うユウトであったが口には出さず心に留めておくことにした。


そんな俺たちの様子を木のかげからじーっと見つめるフィア。

そして口を開く。


「では…何故私のお家を荒らしていたのですか?」


ガーン


フィアの言葉に何も言い返せない2人。

荒らしてはいないが、探っていたのは事実だからだ。


黙る2人。

そしてその様子をじーっと見るフィア。


そんな、2人を見るフィアの様子に若干ビビる。

なんだろうか、ものすごくおっとりとしている子にじーっと見つめられた時に感じるこの威圧感は。


と、とりあえず何か言わなければと焦るユウト。

そして苦し紛れにこう言った。


「じ、実はなこの付近に落とし物をしてな。それを探しているところ…だった…んだ…」


あまりにも適当すぎる言い訳。

言った後に自分でもこれはないわーと思うほどだ。

やっちまった感が強い。

だが…


「まぁ、そうだったのですか〜。では、私も手伝いますので一緒に探しましょう〜!」


苦し紛れの言い訳を信じるフィア。

あまつさえ手伝うとまで言ってくれた。

あまりにもピュアすぎて何だが罪悪感に襲われるユウト。


「お、おう。ありがとな」


フィアが俺たちの方へと駆けてくる。

そして…


あうっ


…こけた。


その様子を見つめる2人。

罪悪感に襲われながらも、どこかほっこりする2人であった。



あの後、ユウトは拾うふりをして落とし物を見つけたことにした。


その様子を見て、「よかったですね〜!」とまるで自分のことのように喜んでくれたフィア。

そしてその様子からユウトにはどんどんと罪悪感が蓄積されていく。

ユウトの顔には苦笑いが張り付いたままであった。


そんなこんなで、一応話をする程度にはなれた3人は、フィア手作りのイス(?)に座り改めて自己紹介から始めることにした。


「じゃあ、まずは俺からだな。俺はユウト・クラシマ。種族は人族で、冒険者をやっている。ランクは4だ。主に使う武器は長剣だ。よろしく」


「私はユウト様の奴隷、ティアラと申します。種族は狼人族です。ユウト様には買っていただいただけではなく、呪いまで解いていただきました。主に使う武器は短剣です。よろしくお願いしますね、フィアさん!」


ティアラの尻尾が揺れている。

やはり同じ獣人族の者に会えて嬉しいんだろうか。


「私はフィアと申します〜。種族は兎人族です。えーっと、確か半年?んー?一年?前からここに住んでいます。主に使う武器は弓です。よろしくお願いしますっ」


半年と一年だとだいぶ差があるんだが…

まぁいいか。

そんなわけで3人の自己紹介が終わった。


その後ユウトはフィアにあいつについて聞いてみることにした。


「なぁ、フィア。ディアボロって言う魔物知ってるか?3mくらいの身長で50cmくらいの角が生えてるやつなんだが」


聞いてみるがフィアも知らないらしい。

まず一年近く住んでいるがそこまで強い魔物には会ったことがないようだ。


「では、そのディアボロと言う魔物に2人は襲われ、命辛々ここまで逃げてきたというわけですね〜。まさかイゴマの森にそれ程強力な魔物が居るとは思いもしませんでしたよ〜」


ディアボロと言う強い魔物がこの森にいると言う中々恐ろしい事を話しているはずが、性格や口調のためか、何故か明るく楽しい話をしている様に感じてしまう。

そんなフィアを見て、やはり心がほっこりとするのであった。


その後3人はたわいもない話をした。

そしてその中でティアラが、そして俺が気になったことをフィアに尋ねた。


「なぁ、フィア。フィアは何でこの森の中に住んでいるんだ?」


…と。


最後の切り方が悪い気もしますが、お許しください笑。


では、次回でまた会いましょう。


また今日の22時50分頃、新作を投稿しました。

内容の方は異世界から地球に転移してきたエルフの少女と主人公の一真、そして彼らを取り囲む人々で繰り広げられるラブコメディーとなっております。

こちらの方もよろしければどうぞ。

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