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迷子の森

「イゴマの森」は「迷子の森」とも呼ばれている。

広大な面積をほこるイゴマの森は奥に行くにつれ木々の種類が増え、薄暗くなり帰る方向がわからなくなってしまうのだ。


だが、迷子にならない方法はある。

森を真っ直ぐ進み、来た道を引き返せば良いのだ。

これが、イゴマの森の依頼がランク2でも受けられる所以である。


というわけで俺たち2人は今、イゴマの森の中にいる。

30分は歩いただろうか、周りの木々の種類が増え、薄暗くなってきた。

だが…


「おかしいですね、ユウト様。何故一本も見つからないのでしょうか」


「おかしい。イゴマ草って簡単に見つかるものじゃなかったのか!?」


2人は苦戦していた。

イゴマ草採取の依頼がランク2のわけはイゴマ草が比較的見つけやすいからでもある。

だが、2人は今だ0本。

はっきり言って異常である。


「俺たちって運がないのだろうか?」


「そうかも…しれませんね」


「まぁ、とりあえずもう少し探すか」


「はい。ユウト様」


気分が暗くなる中、薄暗い森の奥へと2人は進んでいくのであった。



「おいおい、冗談だろ?これ…」


「あっ……………え?」


目の前に立つのは130レベの魔物。

3mはあろう身長、そしてまるで金属のような筋肉や毛皮、醜い容姿に50cm程度の黒く輝く角、まるで悪魔を思いださせるような禍々しい姿。

その名をディアボロ。

しかも…


「俺よりもステータスが高い…だと?」


この時、ユウトの脳内にあの時の光景が浮かびあがった。

自分が愚かだったために、殺してしまった恩人の姿が。

そしてユウトの脳内でその姿とティアラが混ざり合う。


こいつは…倒せない。


「俺が時間を稼ぐ!すぐに追いつくから、ティアラ!逃げろ!」


…ティアラだけでも逃がさないと。


「でも、ユウト様をおいていくなんて…」


「このままじゃ、全滅だぞ!?さすがにそれはまずい。逃げろ、ティアラ!」


…お願いだティアラ。逃げてくれ!


「……はい。ユウト様。絶対、絶対に死なないでくださいね!」


「当たり前だ!」


そしてティアラは後方へと走って行った。


さて…俺も逃げたいところだが。

…どうやら無理そうだな。


ブオォォォォォォォ!!!


耳に残る嫌な声で叫ぶディアボロ。

金属でも貫けそうな鋭い歯が並ぶ口から

、黒い煙が上がっている。


瞬間、ディアボロは角を向け突っ込んできた。


うぉっ!?


避けるユウト。

だが、右腿に軽く掠ってしまう。


ちっ、なんだよこの斬れ味は!


ユウトとディアボロのステータスに差があると言っても、せいぜい100程度だ。

それなのに軽く掠っただけの太腿からは少なくない血が流れて入る。


…こいつは、やばい。早く逃げなきゃ。


ティアラとは別の方法へ走り、逃げるユウト。

祝福のおかげか、体力面では問題がない。

とにかく全力で走る。

ディアボロに比べれば小柄なユウトは木々の隙間をうまくすり抜けて行く。

これがとりあえずの作戦だ。

ディアボロは身体が大きいため木々の隙間をぬうことはできない。

先ほど現れた時も木々をなぎ倒して現れたことで確信がもてている。

さすがに木々をなぎ倒しながらではユウトのスピードに追いつくことはできない。

次第に距離が遠くなっていく。


その時だ…。


不意に止まるディアボロ。

一瞬諦めたのかと思ったが…いや違う!


こちらを向き大きく口をあけるディアボロ。

そこに集まっていく何やら黒いエネルギーのようなもの。


これは…ブレスか!?


次第に黒いエネルギーは集まり大きくなっていき…そして放たれた。


すさまじい威力のブレス。

木々をなぎ倒し、その周りの木々はどんどん黒く染まり、枯れていく。


そして、ブレスがおさまったとき、ブレスの先は……跡形もなく消し飛んでいた。



「んっ。ここは…」


目を開けた先には崖があった。


あぁ、崖に落ちたのか。

とりあえずは…助かったというわけか。


今回のことでわかった。

無謀な戦いが存在するということを。

そしてそのせいで今まで傷つけた人がいるということを。


「はぁ。俺ってバカだな」


そう思いながら、とりあえずは体力回復に専念することにした。


1時間後、俺は歩きだした。

とりあえずはティアラを探さなきゃ。


ティアラの逃げた方角はわかっている。

とりあえずその方向へと歩こう。

そう思い、歩きだした時だった。


「あれ…ユウト様!?」


「え?ティアラ?」


目の前にはティアラが立っていた。


「ユウト様!無事だったのですね!」


抱きついてくるティアラ。

俺は状況をつかめないでいる。


「ティアラ?何故ここに?」


ティアラはうーんとうなった後、口を開いた。


「なにも考えず適当に歩いていたら、ユウト様に出会えました」


「…え?ってことは…本当にたまたま?」


「はい!ユウト様!」


この広大な森の中でたまたま出会うだなんて、何という偶然だろうか。

この時ユウトは思った。


あぁ、これが森に入る時感じた良いことなのかな…と。


「さてと、じゃ帰るかティアラ!」


「はい!ユウト様!」


俺たちは立ち上がり、そして歩き……


……ん?


「なぁ、ティアラ。ここはどこだ?」


「へ?あ、えーっと…どこでしょうか」


吹き出す汗。

それは顔を伝い地面へと落ちる。


……さて、どうしようか。

短いですが、よろしくお願いします!


さて、奇跡の再会を果たした2人はいったいどうなってしまうのか!?


では、次回でまた会いましょう。

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