ワイバーン亜種
遅くなりました。
ではどうぞ!
「ワイバーンの…亜種だと!?」
だれかがそう呟いた。
ワイバーンの亜種…か。
たしか亜種はその種の突然変異だったよな。
なんでも特別な力を持っているとか…。
そんなことを考えていると、
今まで空を覆っていたはずのワイバーンが突然…消えた。
先ほどまで遮られていた光が優人達を照らす。
凄まじい力だ。
ただ普通に見るだけでは確実に見つけられないだろう。
そしてきっと俺らは全滅する…。
だが、それは普通に見る場合の話だ。
俺には鑑定の力がある。
鑑定の力は相手の情報を視る力だ。
鑑定の力を使えば相手の頭上にレベルなどが表示される。
そこから俺はある程度の位置を予測できる。
…よし、やるか。
だが俺以外の冒険者は役に立ちそうもないな。
誰もが怯えた目をしている。
ここで死ぬと諦めている…。
冗談じゃない!
死は嫌だ。
もうあんな悲しみを味わいたくない。
俺の目の前で人が死ぬのはもう見たくないんだ!
だったらもう俺が一人でやるしかない。
俺だけで倒すしかない。
大丈夫だ。
あいつのステータスは俺と大した差はない。
油断さえしなければ…大丈夫だ!
俺はワイバーン亜種へと突っ込んでいく。
今ワイバーンは地面に着地し、体制を整えているところのようだ。
そして俺とは反対の方向を向いているはずだ。
確実に攻撃を与えられるのは今しかない。
狙いは…目だ!
俺は腰にさしていたロングソードを抜き、その勢いでワイバーンの左目を斬りつけた。
ワイバーンにとっては死角からの攻撃。
さらにワイバーンは自分の居場所がバレるはずがないと考えていたため、優人の攻撃はしっかりとワイバーンの目へと届いた。
グォォォァァァァァ!
不意打ちが成功した。
そしてその痛みにより唸り声をあげるワイバーン。
よくみると痛みにもがいている今、透明化する力が薄れているのか、薄っすらとワイバーンの姿が浮かび上がる。
今ならいける、もう一撃だ!
狙いは反対側の目。
先ほどは場所を予測して目を狙った一撃だったが、今は薄っすらとだが、ワイバーンのいる場所がわかる。
だから、目を狙うことなど優人にとっては容易いことであった。
もう一度刀身を抜き放ち、一閃。
その一撃は右目を切り裂いた。
その一撃にまたも唸り声をあげるワイバーン。
そして遂に透明化の力が解けた。
これで普通より少しステータスが高いだけのただのワイバーンとなった。
後は斬っては避けて斬っては避けての繰り返し。
透明化が解けてからワイバーンを倒すまでそう時間はかからなかった。
亜種に出会いながらも死者は0人。
まさに優人の完勝であった。
□
「今回は亜種の討伐、そして死者を0人で抑えることができたのは君のおかげだ。本当にありがとう。そして今回の報酬だが、依頼の金貨5枚と亜種討伐の報酬として金貨100枚、また亜種の素材部位で金貨55枚。合計金貨160枚だ。君は大金に見合うだけの価値のあることをしてくれた。本当にありがとう。そしてお疲れ様」
あの後、ワイバーン亜種を冒険者全員で運び事情を説明した。
街の近くで亜種がでたのは今回が始めてということもあり、一時期ギルド内はかなり慌ただしいことになった。
今回よかったことはもちろん死者が0人だったこともあるが、やはり大量のお金が手に入ったことであった。
これで武具をさらに良いものでそろえることができるのだ。
本当によかったと思う。
俺が大金を手に入れ、ウキウキしながらオススメされた宿に行き、部屋に入ったときだ。
突然脳内にあの音が響き渡る。
『ピロリーン。レベル70になりました。これより勇者の祝福を解放します』
勇者の祝福?
それはもしかして勇者の願望と同じようなチートスキルなのだろうか?
名前からして不死の力だったりして。
いや、素晴らしい回復とかかもしれないし…。
やばいなこれ、夢が膨らむ。
とりあえず…確認するか。
俺は慣れた手つきでステータスを開き、スキル欄を見る。
あった…勇者の祝福。
俺は恐る恐る説明ページを開いた。
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勇者の祝福(Lv.1)
パーティーメンバー全員に発動する。
全ての状態異常を無効化し、一分毎に体力を50回復する。
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俺はステータスをそっと閉じた。
……うん。なんだろうね。
状態異常無効化?それも全て?
体力を50回復する?それも一分毎に?
それに効果範囲はパーティーメンバー全員ときた。
はぁ…。
本当にチートじゃねーか!
さすがに不死まではいかなかったけど充分やばいスキルじゃないか!
ステータス開くまでは強い力だといいなとか考えてたけど、実際ここまで規格外だと逆に引くわ!
はぁ…もう、まったく。
スキルにツッコんでもしょうがないじゃないか。
それにここまで良いスキルなんだ。
今はありがたく使わせてもらおう。
さて、寝るか…。
俺はお世辞にも良いとは言えないようなベットへと横になる。
そして俺はワイバーンとの戦いから今まで起こったことを思い出し、そして自分だけの反省会を開く。
それらがすべて終わり、そろそれ寝ようかと目を瞑った時、俺はこんなことを思ったのだった。
何だか、もう人間をやめ始めた気がする…。
こんにちは!
遅くなってしまいました。
大変申し訳ございません。
何分久しぶりにハイスペックを書いたのでなにかおかしな点がありましたら遠慮なくご指摘ください。
次回は遂にヒロインが登場します。
思わずモフモフしたくなるようなキャラです。
お楽しみに!